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奈良“金魚電話ボックス”著作権裁判 芸術家の訴え退ける

更新:2019/07/11 17:45

 金魚の産地、奈良県大和郡山市の商店街に置かれていた作品「金魚電話ボックス」をめぐって、美術家の男性が「著作権を侵害された」と訴えていた裁判で、奈良地裁は「作品の同一性は認められない」などとして男性の訴えを退けました。

 全国有数の金魚の産地・大和郡山市で、4年前に商店街に設置され人気を集めていた金魚電話ボックス。この金魚電話ボックスをめぐり、福島県の美術家・山本伸樹さんは「自分の作品と酷似している」と主張して去年9月、商店街を相手に慰謝料など330万円を求める裁判を起こしていました。

 一方、商店街側は「著作権は侵害していない」と争う姿勢を示しながらも、トラブルを避けるため去年4月に電話ボックスを撤去していました。

 7月11日の判決で奈良地裁は、「電話ボックスを水槽に見立て金魚を泳がせる発想自体はアイデアにほかならない。表現それ自体ではなく著作権法で保護する対象には当たらない」と指摘。「作品の同一性は認められない」などとして原告の訴えを退けました。

 「違った結果になりまして、非常に落胆はしています。日本の著作権法と、表現の現場の現状との明らかなかい離から生じる問題。(今回の裁判が)一つの論争のきっかけになってくれれば、提訴の意義があります。」(原告 山本伸樹さん)

 判決を受け商店街側は「妥当な判決だったと思う。電話ボックスの再設置については白紙状態です。」とコメントしています。

 一方、原告の山本さんは控訴する方針です。


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