かつての鞘師は「モーニング娘。」という看板を背負い、そのエースという役割を演じなければならないことも多かったでしょう。それこそ歌にも注力しなければならないし、ファンの期待にも応えなければならない。でも、“サポートダンサー”という立場であれば、妙なプレッシャーもなく、ただただダンスに打ち込むことができる。自らの技術を存分に発揮する“ダンス職人”として、パフォーマンスができる――。いろいろな呪縛から放たれて、シンプルに“ダンスと一体化”する鞘師の姿が、そこにはありました。
筆者はモーニング娘。に加入したときから、長年にわたって鞘師のパフォーマンスを見ていますが、これほどまでに充実した顔で楽しそうに踊っている鞘師を見たのは、初めてかもしれません。少なくとも3月に『ひなフェス』で見せた緊張感のある鞘師のパフォーマンスとは、異なるものでした。どちらが優れていたとか、どちらが素晴らしいとか、どちらか格好いいとか、そういうことではなく、BABYMETALで踊る鞘師はとにかくリラックスしていた。本人が最高に楽しそうにしているんだから、それだけで十分なのではないか? そう思わせるステージだったのです。
今後、鞘師がそれこそ“RIHOMETAL”となって正式メンバーとなるのか、それとも単なるサポートダンサーとしての一時的な助っ人なのかは不明です。そもそも、BABYMETALはオフィシャルの情報として、鞘師里保がサポートダンサーとして参加しているとはアナウンスしていません。つまり、今言えることは「BABYMETALのステージに鞘師里保が立った」ということではなく、「あのステージで誰かしらが圧倒的な存在感でダンスを披露した」ということだけです。