プロ注目の144キロ左腕、前橋商の井上温大投手(3年)が、初戦の富岡戦に先発登板、打たせて取って8イニングを6安打1死球1失点にまとめた。ネット裏では、中日、巨人など9球団35人のスカウトが視察。DeNAの計測で最速142キロもマークし、将来性をあらためて印象づけた。
背番号1で臨む初めての夏は、1回先頭にいきなり中前打を打たれて始まった。「1番をつけて迎えた夏、いつもと違う緊張もあったが、調子がよくない中で勝てる投球ができた」。2、3回も先頭にヒットを許しながらも、緩急2種類のスライダー、カーブも使いしのぐと、4回からは本来のペース。公式戦で自己最長となる8イニングを投げ、6点リードになったところで交代した。
貴重な高校生左腕候補とあって、スカウト部長クラスも視察。松永編成部長ら3人でチェックした中日は、担当の正津スカウトが「指先の感覚がいい。ピッチャーとしていいものを持っている」とあらためて評価。
5日前に、思わぬアクシデントもあった。住吉信篤監督(45)がアキレスけんを断裂、松葉づえでベンチに入った。「甲子園まで行けば、監督の足もよくなると思うので勝ち続けたい」。同校OBの漫画家・あだち充さんの漫画「タッチ」「MIX」を愛読する左腕は次をみすえた。 (小原栄二)