【芸能・社会】ジャニー喜多川さんの逸材を見抜く目 グループのネーミングセンスも抜群2019年7月10日 0時39分
ジャニーさんの「すごい」ところは枚挙にいとまがないが、何よりもまず、逸材を見抜く目だ。ジャニーズ事務所には自薦と他薦を含め、多数の履歴書が届く。不定期で開かれるオーディションでは、合同のダンス審査などがあるのだが、審査前の段階から表情や動き、キャラクターからキラリと光る原石をすでに見つけているというのだ。 「人間はそれぞれみんないいところがあるの。不思議なことに。たとえばマッチ(近藤真彦)なんて、写真見せたって『何、この子?』って。でも何て言うのかな、ハートが伝わってくるんです」とジャニーさんは語っていた。さらに、落選を言い渡された後に急転直下もある。元KAT―TUNの赤西仁は落選となり、自分の番号札を返却しようと、「おじさん、どこに返せばいい?」と近くにいた大人に話し掛けた。その相手がまさかのジャニーさん。たまたまその番号札が1番だったことに運命を感じたのか「ユーも残っちゃえば?」と言われ、審査結果がひっくり返ったという。 次は、独特かつ抜群のネーミングセンスである。例えば、海外の人にもすぐ覚えてもらえる日本のバンドにするため、「東京」を外国人の発音風にしたのが「TOKIO」。しかし、それ以外にも、国分太一の「国」、城島茂の「城」、松岡昌宏の「松」など、結成当時のメンバー全員に和をほうふつさせる漢字が入っていたことも由来のひとつだ。「Kis―My―Ft2」は、結成当時のメンバー7人の名字のイニシャルに加え、タップダンサーのグレゴリー・ハインズが尊敬するサミー・デイビス・ジュニアの靴にキスをしたという逸話をもとに、そういうグループに育ってほしいという深い意味が込められている。 関西ジャニーズJr.にはコミカル要素が満載。かつて存在したグループで、メンバー4人の頭文字を取った「OSSaN」(おっさん)がいた。「BOYS」というグループには、B(僕たち)O(大阪)Y(ヤンキー)S(少年)という隠しメッセージを入れた。東京発のJr.グループ「美 少年」は、もともと「東京B少年」という名前だった。実はこのグループに対抗し、ジャニーさんは「関西A少年」を作ろうとしていた。東京の“美少年”に対し、関西の“ええ少年”である。この構想をもとに、今年2月に誕生したのが「Aぇ!group」(ええグループ)。ジャニー社長が名付けた最後のグループとなる。 最後の「すごい」は、やはり演出家としての才能だろう。「目で楽しめるエンターテインメントを作る」がモットー。その代表例がジャニーズのお家芸であるフライング(宙乗り)だ。ワイヤにつるされた出演者が客席の頭上に飛んでくることで、究極の臨場感を体験できる。そして、どの演目にも必ず「和」の文化を取り入れる。ニューヨークに何度も足を運び、時代の先端をいくショーの要素を学んでは和太鼓や扇子仮面、殺陣など日本が誇る文化と融合させ、桜も重要な要素として取り入れる。これが唯一無二の「ジャニーズワールド」だ。(江川悠)
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