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【社会】

ハンセン病訴訟 控訴せず 参院選中、異例の方針

<解説>

 ハンセン病元患者の家族訴訟で、安倍晋三首相は控訴しないと表明した。政府は重大な人権侵害を受けた被害者の救済に向けた道筋を早急に示す必要がある。

 六月二十八日の判決は、らい予防法の隔離政策によって、家族も学習機会が奪われたり、結婚差別を受けたりしたことを認め、国も差別・偏見を取り除く措置を取らなかったことを違法と判断した。

 専門家ではない原告が国を加害者と見極めることの難しさにも理解を示し、請求権の時効も認めなかった。原告側に歩み寄った内容ともいえ、判決直後には霞が関の官僚から「控訴は既定路線」との声も上がっていた。

 ハンセン病を巡り、国は同様の訴訟で原告となった元患者の家族=鳥取県在住=と争い続けてきた。原告は一審鳥取地裁、二審広島高裁松江支部で請求を退けられ、最高裁に上告している経緯がある。それだけに、今回の政府の方針は極めて異例といえる。

 控訴していれば、政権の人権感覚を問われる可能性があり、参院選への影響を懸念したとみられる。

 一方、元患者の家族がいったい何人いるのか、原告側の弁護団も把握していないとされる。政府には、差別被害を受けた家族の掘り起こしに努めるとともに、どのような人が救済対象となるのか明確な基準を示すことが求められる。 (共同・葛西謙)

 

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