満身創痍(そうい)でも、初の大役が力を与えてくれた。場所前に右肩を痛めた炎鵬は、立ち合いで得意の左差しの形に持ち込むと、最後はけがの影響を感じさせない右からの上手出し投げ。豊ノ島との小兵対決に完勝した。
本場所で初めて、露払いとして兄弟子白鵬の横綱土俵入りに加わった。無事に役目を果たして土俵を下りると、引き揚げで「独走」してしまうハプニング。横綱から「速いよ」とたしなめられて「肩の力が抜けました」と苦笑い。ひと息置いた取組で、落ち着きにつながった。
右肩はテーピングが痛々しいが「昨日より今日。一日一日、良くなっている。不安は少しずつ取り除けている」。白星が何よりの良薬になる。 (志村拓)