【大相撲】白鵬、横綱の貫禄で新鋭・朝乃山をねじ伏せる 「邪魔してやりました」2019年7月9日 紙面から
◇名古屋場所<2日目>(8日・ドルフィンズ アリーナ) 全休明けの横綱白鵬(34)=宮城野=が伸び盛りの若手に厳しさを教えた。結びの一番で、横綱初挑戦となった東前頭筆頭の朝乃山(25)=高砂=と対戦。万全の取り口で圧倒し、上手投げで土俵にはわせた。連勝スタートで43度目の優勝へ好発進。朝乃山は1勝1敗となった。弟弟子の炎鵬(24)=宮城野=も軽快な相撲で大型力士の魁聖を送り出し、2連勝とした。 白鵬の上手投げに朝乃山が宙に舞う。177キロの巨体も、白鵬にしてみればさほど問題ではないということか。「そうはいかんという、いい相撲を取りたい」と宣言していた通り、うまさでも力強さでも期待の新鋭をねじ伏せた。 支度部屋へ戻ると「邪魔してやりましたね」とニヤリ。相四つの相手に一度も上手を取らせなかった。場所前に出稽古に来た朝乃山と手合わせしていたからか、足技の二枚蹴りを出すなど、じっくりと料理した。 「気付いたら(朝乃山が)浮いてましたね。今思えば(上手を)取らせてもよかった。でも勝負ですからね、勝たないと意味がない」と余裕たっぷり。「壁になったかなあ。これでまた成長するでしょう」。格の違いを見せつけた。 休場していた夏場所で朝乃山が優勝。その姿を見た白鵬は「何となく相撲のスケール、体形が似てなくはない」と、自身と重ね合わせたほど将来を期待している。だからこそ、出稽古に来てくれたときは素直に喜んだ。この日もあらためて「こっちには(現役生活の残り)時間がないからね」と、稽古場でも本場所でも胸を合わせることで何かを伝えていければと考えている。 次々と新たな優勝力士が誕生し、若い力士たちが「優勝」を口にするようになったことにも「それでいいと思います。そうならなきゃいけない。遅いくらい。ようやく、という感じ」と受けて立つ考え。ただ、「優勝」への道のりが簡単ではないことを誰よりも経験している横綱だ。押し寄せる世代交代の波を全身で受け止め、立ち続ける。 (岸本隆)
|