水路に仕掛けたミシシッピアカミミガメの捕獲用の籠を引き上げるレンコン農家ら=鳴門市大津町大幸

 全国有数のレンコン産地の鳴門市大津町で、外来種ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)による食害被害が収まりつつある。生産農家や県、JA大津松茂などが2012~18年の7年間に1万353匹を駆除し、個体数が減少した。農家は「今の状態を維持できれば、深刻な影響は出ない」とみている。

 大津町では約80戸の農家が約160ヘクタールの畑でレンコンを栽培。出荷量は年間2千トン前後で、県産レンコンの3割を占める。

 アカミミガメの被害は08年ごろから目立ち始めた。レンコンの茎や新芽を食べられ、10年の県の調査では収穫量が前年より3割減った畑もあった。

 食害被害を抑えようと、地元農家らは12年から本格的にカメの駆除を開始。12年の捕獲数は2863匹だったものの年々減少し、18年には564匹と5分の1以下になった。

 県立農林水産総合技術支援センター(石井町)は、駆除が一定の成果を上げていると評価。「捕獲をやめると個体数が再び増えかねないので今後も続けたい」としている。

 捕獲には、畑や水路に設置した籠(縦45センチ、横65センチ、高さ25センチ)を使用。衛星利用測位システム(GPS)でカメの行動パターンを分析したり、ふんを採取して食性を調べたりと、効果的な駆除方法も研究した。

 駆除に参加したレンコン農家の林邦廣さん(70)は「大量にいたカメが明らかに減った」。住民団体・大幸地区資源保全協議会の濱堀秀規代表(57)は「コウノトリや在来種が共存できる環境づくりのため、外来種が増えすぎないよう力を合わせたい」と話している。 

 ミシシッピアカミミガメ 北米原産で緑がかった体と、目の後ろにある赤い模様が特徴。15個前後の卵を年2、3回産み、繁殖力が強い。甲羅の長さ30センチほどに大型化する。