福井ひな4羽、7月下旬には巣立ち 坂井で誕生のコウノトリ
坂井市内で誕生した国の特別天然記念物コウノトリのひなの状態を確認するため、県などは八日、生態調査を実施した。ふ化から四十日がたち、特徴的な長いくちばしや黒い風切り羽が見られるなど順調に育っていることを確認。調査では四羽のひなを確認し、個体識別のための足環(あしわ)を取り付けた。今月下旬には巣立つとみられ、行動の追跡に役立てる。 県によると、四羽は五月二十七日以降にふ化したとみられ、調査は足環装着が望ましいとされるふ化後四十~四十五日に合わせて実施。県や坂井市のほか、専門的見地を持つ兵庫県立コウノトリの郷公園、高所作業車を提供した北陸電力などから約四十人が参加した。 営巣している高さ約十四メートルの電柱の上へ、高所作業車で担当者が接近。ひなが飛び出さないよう巣を網で覆い、一羽ずつ抱きかかえて地上に降ろした。羽毛や血液の採取、体重測定の後、足の関節に黒や赤色などの足環を器具で装着し、約一時間後に四羽とも巣に戻した。その間、親鳥は巣の周囲を飛び回るなどして上空からひなの様子を見守っていた。 県によると、四羽の個体識別番号は「J0257」「J0258」「J0259」「J0260」で体重はそれぞれ四千三百グラム、四千百五十グラム、四千グラム、四千五百五十グラム。採取した羽毛と血液は持ち帰って鑑定し、約二週間で性別が判明する。愛称などの命名は予定していないという。 巣からひなを取り上げたコウノトリの郷公園の船越稔主任飼育員は「巣は約一・五メートルで内部もきれい。太い木々でしっかりと組まれて厚さもあり、四羽が巣立つまで育てられる十分な大きさ」と説明。「ふ化後四十日を過ぎたひなは三千五百~四千グラムが一般的だが、坂井市のヒナはいずれも四千グラムを超え、とても良好。餌が豊富なことが要因では」と優れた自然環境にも触れた。 県内での野外のコウノトリの巣立ちは一九六一(昭和三十六)年に小浜市で確認されたのが最後。県は引き続き、四羽が巣立つまで静かな環境を守るよう配慮してほしいと呼び掛けている。 (藤井雄次) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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