7月1日の朝、大型バスが「新装」された事業所の玄関前に着くと、出勤の社員が次々に降りてきた。この日、東京電力が原発建設のため青森県東通村に設けていた出先事務所が、「青森事業本部」に格上げされた。社員は20人増え70人体制に。本社の常務執行役、宗一誠(そういっせい)氏(55)が本部長に就き、現地に常駐する。
会議室に集まった全社員に、宗氏が訓示した。「安全で最新鋭の原子力発電所を造り、地域の未来に貢献しなければならない」
建物の隣には、杉林に囲まれた808万平方メートルの原発用の敷地が広がる。東京ディズニーランドの約16倍で、東北電力と約半分ずつ持ち合う。2005年末に運転を始めた東北電力の原発は、11年3月の東日本大震災と東電福島第一原発事故で止まり、再稼働できていない。
一方、東京電力の敷地では、この2カ月前に着手した国内最大級の出力138万キロワットの原発建設工事が中断した。東北を中心に深刻な被害をもたらした当事者がいま、その再開に向け地ならしを始めた。
今年3月末、東電は村に2億円をふるさと納税として寄付すると表明した。事故で経営危機に陥った東電は国有化によって救済され、被害者への賠償に必要な9兆円を無利子で借りている。そんな立場のため、寄付行為は事故後の事業計画で、「原則廃止」にしてきた。
なぜ、態度を変えたのか。その理由を考えるため、東通村を訪ねた。
建設予定地の周辺には、建設作…
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