【大相撲】誠にふがいない… 御嶽海よ、何が大関だ2019年7月8日 紙面から ◇北の富士評論「はやわざ御免」私の頭の中では、白鵬独走優勝しかないので、少々冷めた感じで初日を迎えた。初めはテレビの放送の方も、今ひとつ気持ちが乗らない。だからどうでも良いような感じで、気を紛らしていたのは、プロとして許せない行為といえる。それでも炎鵬の鮮やかな出し投げのさえを見て、次第に気分が盛り上がってきた。 新入幕の貴源治が錦木の猛攻をしのいでの逆転も気に入った。今場所は敢闘賞でも狙ってもらいたい。 正代が実力者の玉鷲に堂々たる相撲で勝った。特に立ち合いの踏み込みが良く、玉鷲の強烈な突き押しを残し、反撃の寄り足は今までにない力強さを感じさせた。あり余る素質を持ちながら、受け身の取り口に終始して、せっかくの大器も宝の持ち腐れになろうとしている。このような積極的な相撲を身につけるとあっという間に強くなるのは間違いなし。何なら私が保証してもよい。 それでも強くならなかったら、運がなかったとあきらめるしかない。冗談はこれくらいにして、今場所は白鵬しだいで優勝のチャンスがある。欲を出せ正代。 さてと、私が優勝候補に挙げた御嶽海は誠にふがいない相撲で、碧山にいいところなしで負けてしまった。それも頭も下げすぎて、立ち合いにはたかれ、ばったり前に落ちてしまった。何が優勝だ。何が大関だ。しっかり本気で稽古をしないからこのザマだ。今の大関陣は今や壊滅状態だ。まさに非常事態である。大きな期待が自分の双肩にかかっていることを、もっと自覚するべきだ。2日目からの立ち直りを願うだけだ。 その大関陣だが、栃ノ心は先場所と全く同じ相撲で遠藤にしてやられた。遠藤に右で前みつを引かれると、われを忘れて強引に寄って出る。待ってましたとばかり、遠藤は右から出し投げで鮮やかに仕留めた。 豪栄道も朝乃山に返り討ちにあってしまった。朝乃山に立ち合いから圧倒され、俵を伝って逃げ回ったが、右下手をがっちり引かれて万事休す。全く元気なし。千秋楽までもつのか心配である。朝乃山は一段と強くなったようだ。これで2日目の白鵬との一番が大いに楽しみになってきた。先に左上手の浅いところを引けたら勝機も出てくる。白鵬は阿炎の突っ張りに少しばかり手を焼いていた。それだけに番狂わせの予感がする。 鶴竜と高安は意外と思ったより良い内容であった。少しだけ安心する。 さあ、飯を食べに行こう。朝から昨夜のうなぎの残りで、がっちり飯を食ったのに、昼を抜いてしまったので腹ぺこである。まだ、きしめんを食べていない。日曜日だから外に出ずにルームサービスにするか。福岡のホテルのように、もつ鍋があるとありがたいが、それは無理というもの。それでは豚ロースのみそカツにしよう。決めた。酒はやめとこ。 (元横綱)
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