いだてん感想あらすじ 大河ドラマ・朝ドラ他

『いだてん』感想あらすじ視聴率 第26回「明日なき暴走」

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MVP:女神シマ

実在の人物を差し置いて、人見絹枝大躍進の象徴扱いです。
これぞMVPでしょう。

 

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逆MVP:弁舌のいだてん

「あいつはよく酒を飲む。そういう意味では酒豪版ヘラクレスだ!」

そんなセリフがあったとします。
別にそう言われた人物は、マッチョでもなければ、ヘラクレスのように強敵を倒したわけでもない。

となると、こういうツッコミが入ることでしょう。

「それなら酒の神・ディオニソスでいいんじゃないの」

田畑は「弁舌のいだてん」だそうです。

ホッホッホ、出ておじゃれ、作劇上の都合。
姿は隠しても、臭いでわかりまするぞ。

※錯乱気味かつ『柳生一族の陰謀』が見たくなっておりまして……

それならば、別の神様を持ち出せばよいだけのことでしょう。

「顔がいい。とっちゃん坊やだから採用」

という、しょうもないセリフも、

「あいつは恵比寿様めいたところがある」

とでも落としておけばよいでしょうに。

なんとなく福々しい恵比寿めいているから採用という背景があれば、短命という【不幸】な結果に驚く描写にも、まだ整合性がつきました。
自分が福の神だと思って、滑った行動をとるのであれば、整合性がつけられなくもありません。

落語「火焔太鼓」よりも、ふさわしいオチのつけ方も探れたでしょうに。
ダメ男の田畑でも、金だけは集められる、これは福の神だ! とでもできたでしょう。

そういった話にしないで、どうして韋駄天なのか?
理由は、これしかありません。

「ドラマのタイトルだから、作劇の都合上です」

『いだてん』というタイトルからして、陸上の金栗ありきで今にして思えばいただけなかった……という気がしてきます。

陸上競技だけのドラマならよいものの、これでは多くの競技最高峰である五輪大河としては、矮小化しすぎでしょ。
タイトルだけではなく、本作は一部後半から、作劇上の都合で物語を動かしすぎです。

フィクションですから、作劇上の作為はありです。
それが強引ではなく、意味があることだとわかればよいのです。

それが本作は雑で御都合主義だから、ため息しか出てきません。

 

総評

『柳生一族の陰謀』を、大河にしないものでしょうか。
そんなことを期待してしまう。

あぁ、現実逃避してしまって、申し訳ありません。もう少しオマケがあります。

「いったい第二部のテーマは何なのでしょうか?」

先週書いた【有害なファン】は日本だけのことでもありません。

この大ヒットドラマ原作者も【有害なファン】たちには悩まされているようです。

また、一部のファンが最終シーズンの作り直しを求め、米オンライン署名サイトchange.orgでキャンペーンを展開していることに話題が及ぶと、「インターネットには、コミックやSFファンを中心とした、古き良き同人誌とファンダムの時代にはなかった毒性がある。意見の対立から大きな論争に発展することはあっても、近年ネットで見るような狂乱状態に陥ることは、決してなかったからね。実に嘆かわしいことだと思うよ」と、SNS時代におけるファンの意思表示の在り方に苦言を呈した。

大変そうですね。

海外から日本の話に戻しまして。
『いだてん』に可児役で出演中の古館寛治さんが、SNSでこう絡まれていたそうです。

「NHK大河という、公共放送の看板番組に出ておきながら、政治的に偏った発言を繰り返すのはいただけないので、各所通報しておきました」

「『いだてん』と併記で政治批判をしている」

一体どうなっているのやら。

【公共放送の看板番組=政治中枢と一致している】
という思い込みを持つ人がいること。これは重要なことではありませんか。

大河批判をしたある方は、こう言われたとか。
「それはこの国を批判することに等しい」

大河ドラマとは何なの?

そういう疑念に対して、古舘さんを持ち出す擁護はできます。
彼自身が狙ってそうしていると言いたいわけではありませんが。ただ、ガス抜きや偽装の役目を果たすかもしれないということ。ここは要注意でしょう。

2010年代前半から、大河ドラマはどうにも奇妙な状況が発生しています。

今年は、近代史であり政治的状況にも近接しています。
政治と無関係と言い切る方が無理があるのです。

少なくとも、作り手ではそこを問題視していないと判断できます。

先週と今週は主人公が政治家から金を取ってくる行為が、英雄的なこととして描かれました。

仕事ぶりは無能なのに、政治家頼りで資金ゲット。
ソシャゲの廃課金プレイヤーが札束でブン殴って威張りちらすようなことを、やらかすわけです。

「どうだ明るくなっただろう」
風刺画みたいな世界を、大河で見せられるなんて驚きましたわ。

◆成金の風刺画「どうだ明るくなったろう」ごっこができる 紙にはさむと光るLEDの工作がナイスアイデア 

政治家金がらみで談合する。
物事を有利に進める。

これはNHKにおける最近のトレンドなのでしょうか。NHK大阪制作の前作朝ドラでも、政治家の鶴の一声でライバルを蹴散らす主人公が描かれました。

「さぁ、みなさん! 政治家に媚を売ってライバルを蹴散らしましょう!」

そういう姿こそ、2019年に生きる日本人にふさわしいと示したいとか?
あるいは自己正当化?

「うるさい、こじつけはもう聞きたくない。大河と政治は無関係だ!」

そんな反論はわかりますので、熱いニュースを紹介しておきましょう。

◆児童朝礼に「愛国の歌姫」、大阪 市立小、市民団体が不適切と抗議 | 2019/7/3 - 共同通信

大阪市立泉尾北小(小田村直昌校長)

この「小田村」って、何か思い出しませんかね。

彼はなんでも……

吉田松陰の妹「寿」と夫「小田村伊之助(楫取素彦)」の玄孫にあたるという小田村さん。今夜は大阪暮らし7年となる民間人校長先生の奮闘ぶりをあれこれ伺いたいと思います。
おとなの文化村より引用)

幕末男子ならぬ、政治大河の作り方。

吉田松陰……愛国……大阪……せわぁない。
おにぎりでも食べて落ち着かなくちゃ。

「でもそれはあくまであのおにぎりドラマのことでしょ! 本作は無罪だし!」

……と、お思いでしすかね。それはどうでしょう。

◆苦戦続きのNHK大河『いだてん』が第2部から面白くなる2つの理由

また、田畑とライバル関係で描かれている朝日新聞の同僚・河野一郎(桐谷健太)も、後に政治家に転身し(現・外務大臣の河野太郎のおじいちゃんだ)、1964年の東京オリンピック担当大臣を務める人物。

「わあー、あの彼のお孫さんなんだー! すごぉーい」

この河野って、金栗の教え子でしたよね。
一部主役の教え子で、二部主役のライバルって、ある意味最強じゃないですか。

東京オリンピック招致をテーマにドラマを作るとしまして。
金栗にせよ、田畑にせよ、適切な人物であったのかという疑念は湧いてきます。

金栗は、経歴とエピソード的にわからなくもありません。
しかし田畑はどうですかね。
なぜ第二部主人公もアスリートではいけなかったのか?

そろそろ結論を言いましょう。

「第二部のテーマは【政治】じゃああああ!」

これですな。
第一部と第二部で何が変わったか。

そんな記事も目を通していますが、演出、主役、そういう問題じゃないでしょう。

オリンピックにまつわることは何もかも純粋なスポーツですか?
そうではありませんね。

アスリートが主役の金栗ならば、まだそれも通じるかもしれません。
しかし、招致がテーマであれば、これはもう【政治】の世界です。

オリンピック負の歴史~スポーツと戦争&政治は切っても切れない関係なん?

「 ...

続きを見る

【政治】ドラマそのものが禁止されているわけではありません。
時代がどうあれ、政治に触れずに歴史ドラマを作ることそのものに無理があります。

おもしろい政治ドラマならば、見たいものです。
『ブラックスキャンダル』、『ペンダゴン・ペーパーズ』あたりはよかったですねぇ。

それと比較して、本作ってどうです?

アメリカ映画と比べるのは、ちょっと厳しいか。

軍師官兵衛』で演技力が光っていて、本作にもこれから出演する松坂桃李さん。
彼の出演邦画が話題ですよ。
その作品と比較してみて、どうでしょうね。

 

本作は、そういう硬派な政治臭はありません。
むしろ、最近話題となったとある広告じみた薄っぺらさを感じるのです。

あの広告には違和感を覚えているのに、本作はそうではないと思い込みたいとすれば……それはどうでしょうか。

この雑誌よりもユーザー年齢層が上で、権威がある。
そういう意味では、大河を使うというのは、なかなかうまい手ではあります。

◆自民ViVi広告、私たちはつけ込まれた 若者の違和感:朝日新聞デジタル

はい、そんなわけでなんだか臭い第二部ですが。

失速したおかげで、今はすっきりしています。
この問題だらけの作品が楽しければそれはそれで、ギルティプレジャー(※倫理的に問題があるとわかっていても、楽しめるもの)でしたから。

てなわけで楽しみ方を模索しましょうか。

本作に残された道は、舞台裏を実録路線映画にすることじゃないですかね。
むしろそちらの方が面白そうだなぁ、と。

『仁義なき大河 代理戦争』とか、どうでしょう。

 

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関連ニュース観察日記&予想タイム

失速して、つまらなくなったらなったで、何か楽しいことを考えたくはなります。
本編の深読みしがいがあると、そこで力が尽きるのですが。

中身がスカスカだと、ネットニュース観察をしてしまうんですね。

◆「いだてん」はオワコン NHK早くも「麒麟が来る」必勝態勢

こういうニュース。
そろそろ出て来るだろうなぁとは思っておりました。

現場の雰囲気が悪化していて、人も減り、脚本もなかなか届かず、演出も揉めて……辛いことは想像できます。
巻き込まれたスタッフ、ましてや出演者は別の話です。

それに出演者が、その辺の都合を言えないのも息苦しいと思いますよ。
海外ドラマだと、脚本の質が低下した、納得できないということを、出演者が赤裸々に語れるものです。

記念すべき朝ドラ100作目で絶対に負けは許されない『なつぞら』と、明智光秀という最後の大物キャラを主人公にしての『麒麟が来る』。
そちらに一軍が引き抜かれている感がヒシヒシと……。

◆『いだてん』、第25回の感想ファンアート「絵だてん」がツイッターに続々投稿

いや、ファンアートそのものがどうこうでなくてですね。

「そろそろネットニュースでファンアートハッシュタグを取り上げるころでしょう」

と先週指摘したら、的中してしまった。

◆こんな大河見たことない いだてん、視聴率が計れない熱:朝日新聞デジタル

視聴率は低いけれど、ファンの熱気がすごい――。
この論調に切り替えたと先週書いたわけですが、ネットニュースだけではなく、大手新聞までやってきました。
田畑の職場ですしね。

この一点をもってしても、朝日新聞の本作プッシュ記事は胡散臭くなるというものではあります。

要するに、母数が減った分熱狂的なファンだけが残り、盛り上がっているように見えるだけのことです。

「測れない熱」=「計測できないもの」に頼ることは危険。
まるで、旗指物をいっぱいさして、森の中を行軍するみたいな話でもあります。大軍勢に見えるんですけど、実際に戦うと兵力を水増ししているから……というもの。

本作のソフトの売り上げはどうなるのでしょう。
そもそもが出演者の事情によって、発売も危うい状況だそうですが、円盤の売上での貢献はファンあるあるですよね。

◆瀧降板が大打撃に…「いだてん」DVD販売どうなる

ここで、計測できる数値を視聴率以外であげてみましょうか。

それはファンブックおよびグッズです。
例年恒例のサントラ、ムック、ノベライズといったものではない枠です。

コミカライズ、キャラクター本、写真集です。

本当に熱気があって、かつ売上に貢献できるのであれば、発売されるものですが、ざっと見たところ、まだ動きはないようです。
一部メモリアルブックはないのでしょうか。ここも今後注目したいところです。

他社からの関連書籍も、例年と比較して少ない印象を受けます。
要は、儲からないコンテンツってことなのでしょう。

あとひとつ、観光効果も大事です。

『真田丸』や『おんな城主 直虎』は、視聴率ではない、この面で人気がありました。

◆大河歴代最低視聴率「いだてん」 金栗地元の2施設で明暗の裏

落ちる金勘定って、正直なところ下品ではありますし、近代テーマであるからには不利ではあると思います。金勘定をすると、消費できるコンテンツ扱いが顕著になって、よろしくないとも感じております。

とはいえ、観察対象としては興味深いところ。
引き続き、ニュースその他諸々の観察と予想は続けます。

そして、こちら。
本作周辺って本作をかばいながら、歴史好きと歴史ドラマ好きを殴りに行くからすごいムーブですね。

◆(ニュースQ3)いだてん、歴史好きよりドラマ好きが支持?:朝日新聞デジタル

近年の駄作大河が、
「考証ミスにつっこむ歴史オタクうざ〜」
という態度を取っていることに、憤りを感じてきましたが、それも極まれりです。

この記事の問題点をサクッと整理しますと。

・近現代史は「歴史」ではないという開き直り

・歴史好きを切り捨てている

・ドラマとしては出来がいい、ドラマ通であればわかるという、そんなファン心理に甘えた論調

はっきり言いますと、本作は、近現代史を描いたフィクション、海外ドラマと比較した上でのドラマとしての出来、スポーツを扱ったフィクション、どの観点から見ても出来がよろしくありません。

歴史ドラマとしてスタートを切った大河。
『ゲーム・オブ・スローンズ』のヒットを見て、『真田丸』のスタッフは「歴史ドラマなら大河こそ経験がある」と奮い立ったそうです。

その一方で、『西郷どん』や本作は、「歴史はごにょごにょ」と逃げを打つことしか考えていないようでして。大河を終わらせるのは、そういうナメくさった態度でしょう。
歴史ファンを小馬鹿にする歴史ドラマ界隈。斬新過ぎてもう意味不明です。

次は先週の見落としニュース。

◆中村七之助、兄に続き『いだてん』出演 三遊亭圓生役「一生懸命やりたい」 | ORICON NEWS

出た。テコ入れですね。
こういう家族共演で、しかも前面にに出す。
『徹子の部屋』を彷彿とさせる展開というのは、わかりやすいものです。

NHK大阪前作朝ドラでも、当初はさほどでもなかった主演女優両親のテレビ露出が増えていきました。
そして、主演女優の父出演もあったものです。

本作出演者が、NHKだけではなく民放トーク番組に出て、家族愛をアピールし始めたら、これは相当追い詰められているということではありませんか。

視聴率低下を受けて、テコ入れをはかった。
どうせなら、第一部の方が盛り上がった。

そんな工作が、今後はもっと出てくるでしょう。

しかし、そういう瞬間最大風速を狙う動きは、ドラマの質を落とします。
一発ギャグのようなものですから、緻密な構成に水を差すものです。クドカン氏の作風からして、やりたくもないことでしょう。同情します……。

ファンダムも、そういうムードは大歓迎でしょうね。
NG場面や、ともかくドタバタとはしゃぐ出演者とクドカン氏さえいればそれでいいムードになりつつあるようですが。

これは危険ですね。
NG場面が見たいというのは【文化祭ノリ】ということです。

プロット本編には魅力がないけれど、その場でワイワイ騒いだら楽しい。
冷静に考えれば、野球部員が屋台で作るクレープよりも、プロが作るもののほうが美味しいに決まっている。

それでも文化祭のクレープが美味しいのはナゼ?
その場のノリですね。雰囲気に流されているわけです。

そういうノリに、プロが迎合したらいかんでしょ。

『いだてん』は国際展開もできないどころか、BBCあたりが嗅ぎつけてニュースにしたら苦笑される。
そういうシロモノになりつつあると感じます。

最後に予想タイムです。

・「男性の裸体」と「女性の水着姿」にドッキリ! というネットニュースが出る

・そして役者の露出度がバンバンあがる

・「神回!」というネットニュースが出る

・家族共演系の、もう見飽きたテコ入れがますます活発化

・夏から秋にかけて、視聴率以外かつ重大深刻なバッドニュースが出る

いくつ当たるかな。

まぁ、これはもうさんざん突っ込んできましたが、エロやグロが見たいなら、もう今はVODがあるからそちらでいいんですよ。

※これを3分から見よう! 大河を見ている場合じゃねえ!(閲覧注意)

文:武者震之助
絵:小久ヒロ




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【参考】
いだてん/公式サイト

 



-いだてん感想あらすじ, 大河ドラマ・朝ドラ他

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