【伝統芸能】<新・笑門来福 春野恵子>大河ドラマ同時代並行視聴 描き方比べ芸に生かす前回に続いて「大河バナシ」。ハマるとやばいんです、私。熱中してます、過去の大河ドラマ。 滝田栄さんの「徳川家康」(一九八三年)を見ているうちに、時代を遡(さかのぼ)ってみたくなり、中井貴一さんの「武田信玄」(八八年)と内野聖陽さんが信玄の軍師・山本勘助を演じた「風林火山」(二〇〇七年)の二作品、同時代を並行視聴。 勘助は一五六一年の川中島の戦いで亡くなるので、先に見終わった。内野さんは「JIN-仁-」の坂本龍馬や「とんび」でも大好きな役者さん。二十八日が最終話の「きのう何食べた?」の賢二役とのギャップもなんのその。柴本幸さん(強くて美しくて素晴らしいのだ)演じる由布姫への切ない恋に、どれだけもらい泣きしたことか。あと千葉真一さん演じる武田家家臣・板垣信方の討ち死にシーンの格好よさったら。(息子の)新田真剣佑(あらたまっけんゆう)さん、真栄田郷敦(まえだごうどん)さんファンの女子たちにも見てほしい。 「武田信玄」は四十三話まで視聴、一五七〇年代に入っている。信玄の正室三条の方の侍女・八重を小川真由美さんが演じているのだが、その怪演ぶりが素晴らしく。当時まだ二十四歳の堤真一さん演じる武田義信を見ることができたのも嬉(うれ)し。 この二作品は一五三〇年代から物語がスタートするのだが、五〇年代以降になると「利家とまつ」(二〇〇二年)、「功名が辻」(〇六年)、「おんな太閤記」(一九八一年)、「天地人」(二〇〇九年)などもあるので、同時代並行視聴も大忙し。合間に浪曲の舞台で「落城の淀君」をかけることになったら、それぞれの作品で淀君と千姫の関係をどのように描いているのかを見比べたりも。千姫をいかに大坂城から落ち延びさせたのかなども、それぞれ異なるので面白い。 浪曲「田宮坊太郎」をかける前には、坊太郎が江戸で剣術指南を受ける柳生飛騨守(宗冬)も出てくる「春の坂道」(一九七一年)を。中村錦之助さん演じる柳生宗矩(宗冬は宗矩の三男。宗冬の兄である柳生十兵衛は原田芳雄さんが演じている)が主人公。これはいま最終話しか見ることができないのだが、これが、ほぼ宗矩と家光(演ずるは当時の市川海老蔵さん)の二人芝居。圧巻。一話しか見られなくても見応えあり。 月末の舞台では久しぶりに明智光秀の家臣・斎藤利三の演目をかけるので、浪曲の中で語る本能寺の変のあとの利三の動向を見たかったのだが、詳しく描いているものはなく。来年の「麒麟(きりん)がくる」ではどう描くか。しかし、キャスト発表の中に利三の名前がない! 追加発表をドキドキしながら待っている。プリーズ。 (浪曲師)
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