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2019-07-07

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・渋谷で、南伸坊さんと『私のイラストレーション史』
 を語る対談をしたあと、幕張メッセに向いました。
 矢沢永吉が贈るフェス「ONE NIGHT SHOW2019」です。
 午後4時から8時30分までの4時間半の祭りでした。

 氣志團、MIYAVI、東京スカパラダイスオーケストラ、
 奥田民生、KREVAというメンバーが、
 次々に登場しては会場を沸かせるのですが、
 やっぱりねぇ、トリの矢沢永吉というところで、
 異次元の世界が出現するんですよ。
 舞台のセットを整える時間がちょっとあって、
 照明が落ちてバンドの演奏がスタートすると、
 期待に満ちた緊張感が満ち潮のように上がってきます。
 そこにボス(親分)のYAZAWA登場なのですが、
 約2万人の観客には彼の顔の表情は届かないわけです。
 しかし、そのかわり正面の大型スクリーンで、
 ずっと矢沢永吉の顔の映像が流れ続けます。

 永ちゃん自身の緊張感もあるのかもしれませんが、
 彼のステージのはじまりは、やや怖さがあります。
 表情にも身振りにも猛獣のような凄みがあるのです。
 主役登場ですから、うれしいに決まっているのですが、
 観客たちも、ここでは矢沢永吉への畏怖を味わいます。
 ステージがはじまってから3曲ほど歌い終えるまでは、
 冗談のようにですが、「人を殺したような目だ」と
 形容した人もいたくらいの凄みの矢沢です。
 しかし、そこにときどき、ふっと
 こどものような笑顔も混じってくるのがたまらない。
 声は、年齢を感じさせないどころか、
 1つ年を重ねるごとに太く大きく出てくるようです。

 会場全体が、矢沢永吉に呑み込まれるという感じです。
 男も女も、老いも若きも、猛獣に捕獲されるのです。
 そして、なによりおもしろいのは、
 「会場のみんなが矢沢に捕まった瞬間」を、
 会場のみんなが目撃しているのです。
 「おれが矢沢に捕まったとき、俺はね、
 みんなも矢沢に捕まっているのを見たんだ!」なのです。
 これは、何度立ち会ってもおもしろい時間です。
 もちろん、帰り道はみんな笑顔になるんですけどね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
まだ読んでない方は、リラックスしてる永ちゃんもどうぞ。


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