VOICES FROM NIHONMONO

ARCHIVE

選んでください。

SAKE COMPETITION 2019

先日開催された、
世界一おいしい日本酒を決める「SAKE COMPETITION 2019」に注目。
このコンペティションは「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、
新しい基準を示したい」という理念のもとスタートしたもので、
審査するのは全国の技術指導の先生方やその推薦で選出された蔵元、さらに日本酒業界で活躍されている有識者の方々です。

部門は純米酒部門・純米吟醸部門・純米大吟醸部門・吟醸部門(大吟醸 含む)・Super Premium部門・スパークリング部門・海外出品酒の全7部門。
日本全国、そして海外の酒蔵から出品され、その数は世界最多とも言われています。

日本酒業界、そして日本酒ラヴァーから注目を集めるこのコンペティションで
1位を受賞したお酒、そしてその裏に隠されたストーリーを、受賞された蔵元にたっぷりと伺いました。

まずお話を伺ったのは
SuperPremium部門1位、高木酒造 高木顕統さん
純米吟醸部門1位、廣木酒造本店 廣木健司さん
純米酒部門1位、宝剣酒造 土井鉄也さん のお三方。

※SuperPremiumは特定名称酒に限らず720mlで小売価格が10,000円(外税)以上、1800mlで15,000円(外税)以上の清酒
 純米吟醸とは、精米部門が60%以下のお米で作られたお酒、
 純米酒は米、米こうじ、水を原料に作られたお酒です。

部門は違うものの、?木さんにとっては3度目の受賞。
受賞したのは年に一度出荷されるという、蔵を代表するお酒「龍泉」でした。
寝ずにこうじを作り、極力雑味を押さえるなど丁寧に作ったと言います。

廣木さんが出品したのは「飛露喜 純米吟醸」というお酒。
ご本人としては、最も信頼できる方々に評価されないと意味がなく、今回の受賞はとても嬉しいものだったそうです。

また、土井さんにとっては尊敬する存在の?木さん、廣木さんと受賞できたこと、
そして地元向けに作っているお酒が評価されて嬉しかったのだとか。

また廣木さんによると、
?木さんが作り出す銘柄「十四代」が今の日本酒の歴史を作り出し、
「十四代」の真似にならないようにすることが課題だったとか。

そんな、酒造りの同士から尊敬のまなざしを向けられる?木さんは仰います。
「日本酒はその年、その年の作品。酒に込められたうれしさや喜びを感じてほしい。」と。
また、日本酒業界には世界に羽ばたこうとしている若い世代が沢山いるので、
応援してほしい、とも仰っていました。

続いてお話を伺ったのは
吟醸部門1位、中勇酒造の中島崇文さん
純米大吟醸部門1位、清水清三郎商店 清水慎一郎さん
ダイナースクラブ若手奨励賞 萩野酒造 佐藤曜平さん。
JAL空飛ぶSAKE賞 青木酒造 青木知佐さん。

受賞されたお酒の特徴や、受賞した感想をそれぞれ伺いました。

青木酒造 青木さんによると、受賞したお酒「御慶事」は、喜び事の場で飲んでほしい、とう願いを込めて作られたお酒。原料となるお米「雄町」のジューシーを活かした味わいです。「心ががホッとするような酒を目指していきたい」と目標を語ってくださいました。

中勇酒造が受賞したお酒「天上夢幻」は、登山好きだった先代が、登頂祝いに試作品のお酒を飲んだ際、
その場にいた方が「天の上で夢か幻を見ているかのよう」と味わいを表現したことから命名されたのだとか。

清水清三郎商店の清水さんは、お米の出来があまりよくない中、初めてチーム制で酒造りに取り組み、思い通りにならないこともありながら完成させたとか。苦労が実った受賞、若い蔵人の励みになればと仰っていました。

萩野酒造が受賞したお酒は「萩の鶴」。5、6月の新緑の季節、田んぼの風景が広がるような爽やかさをイメージしたお酒なんだそうです。

これからの日本酒業界を牽引する皆さんに、日本酒の魅力をどのように伝えていきたいか伺うと…
清水さんは、海外の人にも向けてワイングラスでの飲み方を提案、定着させていきたいとの事。
また青木さんは、お酒の広め方に正解は無いので、業界内で凝り固まらずに新しい視点で考えていきたいとおっしゃっていました。

お酒のいち種類ではなく、文化としての伝え広めていきたい、という熱い思いに溢れるお話。
酒造りに込められた想いやストーリーを知る事で、味わいもまた変わるのではないでしょうか。