文化庁は27日、優れた芸術活動を表彰する2018年度芸術祭賞の受賞者を発表した。本県関連では、大衆芸能部門で遠野市出身の東北弁落語家六華亭遊花(ろっかていゆうか)さん(52)=宮城県名取市=の独演会、テレビ・ドキュメンタリー部門でテレビ岩手(榧野(かやの)信治社長)制作のドキュメンタリー番組「山懐(やまふところ)に抱(いだ)かれて」が優秀賞を受賞した。

 遊花さんは11月8日、東京の上野広小路亭で「六華亭遊花独演会」を開き、民話を基にした「つづら嫁ご」、古典落語をアレンジした「試し酒」、創作落語「夫婦豆腐」を上演。女性が主役、東北が舞台という落語を3席そろえ「女性のたくましさ、哀(かな)しみを描いた。巧みな話芸、味わい深い東北弁が醸す滑稽と情で、豊かな世界を創造した」と高い評価を受けた。

 遊花さんは「自分が女性なので、女性目線の3席を選んだ。東北の風景を感じてもらえたのであればありがたい」と喜ぶ。

テレビ・ドキュメンタリー部門優秀賞「山懐に抱かれて」の一場面(テレビ岩手提供)

 「山懐に抱かれて」は、田野畑村の酪農家、吉塚公雄さん(67)一家を24年間にわたり取材したドキュメンタリー番組。11月21日未明、CMなしの90分間で放送した。美しくも厳しい自然の中で、時には対立しながらも自然放牧の山地酪農に挑む家族を追い続けた。

 一貫して取材した同社編成局の遠藤隆エグゼクティブプロデューサー(62)は「家族が常に寄り添い、向き合っている姿にひかれた。約四半世紀にわたって取材させてくれた吉塚さんに心から感謝します」と語る。吉塚さんは「遠藤さんだったからできたこと」と喜びを分かち合う。