朝ドラに欠かせない、ヒロインの恋愛模様。幼なじみとの恋、三角関係、道ならぬ恋など…作品ごとに描き方はさまざまです。切ない恋愛模様やプロポーズなどが印象的な作品を、前編・後編にわたってご紹介します。
「朝ドラ 恋愛模様<前編>」はコチラ ≫
後編では、以下の作品をピックアップ。作品名をクリックすると該当部分に移動します。
■第61作「あすか」 ■第55作「ふたりっ子」
■第46作「君の名は」
■第37作「都の風」
■第34作「澪つくし」 ■第32作「ロマンス」
■第20作「風見鶏」
朝ドラに欠かせない、ヒロインの恋愛模様。幼なじみとの恋、三角関係、道ならぬ恋など…作品ごとに描き方はさまざまです。切ない恋愛模様やプロポーズなどが印象的な作品を、前編・後編にわたってご紹介します。
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後編では、以下の作品をピックアップ。作品名をクリックすると該当部分に移動します。
■第61作「あすか」 ■第55作「ふたりっ子」
■第46作「君の名は」
■第37作「都の風」
■第34作「澪つくし」 ■第32作「ロマンス」
■第20作「風見鶏」
奈良・明日香村で生まれたヒロイン・宮本あすか(竹内結子 幼少時代:榎園実穂)と、速田俊作(藤木直人 幼少時代:浅利陽介)、綾瀬 舞(佐藤仁美 幼少時代:杉本友莉亜)は、同級生の仲良し3人組。俊作は文武両道の少年で、少女たちの憧れの的。それはあすかと舞も同様で、2人にはいつしか俊作への恋心が芽生える。一方の俊作は、あすかに思いを寄せていた。
しかし、あすかは母が実家の和菓子店を継ぐため、家族で京都へ行くことに。俊作や舞と離ればなれになってしまう。
のちに、実はあすかと舞がいとこ関係にあることが判明する。京都にやって来た舞は、あすかと一緒に暮らすように。
やがて高校生になったあすかたちは、俊作と再会。あすかと舞の俊作への思いは消えていなかった。
高校卒業後、俊作と舞は大学へと進学し、あすかは俊作の励ましもあり、和菓子職人の道を志す。
俊作に安心感を抱いていたあすかにとって、俊作は良き相談相手になっていた。あすかに頼られて嬉しい俊作。そんな2人の様子を見て焦った舞は、あすかに自分と俊作がうまくいくように協力を依頼する。舞の思いに気を遣い、嫌々ながら協力してしまうあすか。
そんなあすかを励ましたのが、同期の見習い職人・清川徹次(井之上チャル)だった。実は徹次は、あすかに思いを寄せていたのだ。
舞のために身を引こうと、あすかは俊作と舞に「徹次と付き合ってる」とウソをついてしまう。俊作は落ち込み、舞は喜びをあらわにする。
あすかと俊作の気持ちが通じ合わないまま、俊作は舞と婚約。改めて俊作への思いを実感したあすかは、ショックを受ける。そんなとき、再び徹次から告白されてしまう。「ハカセ(俊作のあだ名)の代わりでもいい」と言われ、あすかは徹次と付き合うことに。
実はあすかと俊作は、舞と徹次には内緒で休みの度に明日香村を訪れ、遺跡発掘をしていた。あすかは考古学者である俊作を手伝い、俊作は舞との結婚が舞の父から猛反対されていることをあすかに相談していた。
やがて、2人の密会が舞と徹次にバレてしまう。「誤解だ」と説明する2人だが、舞は聞く耳を持たない。「一度疑ったらもう無理」と言い、俊作を突き放す。徹次もまた、「もう今までのようには付き合えない」とあすかに告げ、それぞれ別れを選択する。
のちに、お互いに傷をなめ合った舞と徹次が急接近。とんとん拍子で2人の結婚が決まる。
一方、遮るものがなくなったあすかと俊作は、これからの人生にはお互いが必要だと改めて実感する。幼いころから好きだったことを伝え合い、ようやく結ばれるのだった。
大阪に生まれ育った双子の姉妹・野田麗子(菊池麻衣子)と香子(岩崎ひろみ)。優等生な麗子に対して落ちこぼれな香子は、唯一才能を認められた将棋に没頭していく。
天才棋士・森山史郎(内野聖陽)との対局に敗北した香子は、プロ棋士を目指すことを決意。永世名人に弟子入りし、プロへの道を踏み出した香子は、師匠の家でライバルの森山と再会。実は森山は、香子の兄弟子だったのだ。運命を感じた香子は、ライバル視していたはずの森山に恋心を抱くようになる。
将棋の成績が伸びずに悩む香子に、森山が「あなたの将棋は臆病だね」とアドバイス。その言葉で攻めの将棋スタイルに変えた香子は、快進撃を続ける。そして、恋愛でも臆病だった自分に打ち勝つため、思い切って森山に思いを告げる。
一方、周囲からマドンナ的存在として扱われながらも、本当の幸せを求めて悩む麗子。落ちこぼれでも伸びやかに生きる妹・香子をうらやましく思っていた。麗子は、自分に思いを寄せる幼なじみの黒岩政夫(伊原剛志)を都合よく使いながら、別の男性とデートを重ねていく。
やがて麗子は、財閥の御曹司・海東壮平(山本太郎)と大学で出会い、付き合うことに。のちにプロポーズされるが、自分の家族に関してウソをついていたことがバレてしまい、麗子を信じられなくなった海東から別れを告げられる。
落ち込む麗子の目に、仲良さそうにしている香子と森山の姿が映る。嫉妬した麗子は、森山を誘いだす。突き放されてしまうが、行く当てがなかったため森山のアパートに泊めてもらうことに。
翌日、森山の家に泊まったことを麗子から告げられた香子は、ひどく戸惑うのだった。その日以来、森山のアパートに入り浸るようになった麗子は、徐々に森山に惹(ひ)かれていく。
自分の将来に悩んでいた森山が突然、「将棋をやめるかもしれない」と香子に告げて故郷へ帰ってしまう。後を追いかけた香子は、「森山さんのいないところで将棋をしたくない」と叫び、海に飛び込む。溺れる香子を助けた森山は、思わずキス。その後、2人は船小屋の中で互いの思いを語り合った。
香子の説得により将棋界に復帰した森山は、師匠に「香子と結婚を前提に付き合っていきたい」と宣言。突然のプロポーズに驚く香子は、戸惑いつつもそのことを麗子に報告。「良かったね」と言いながらも、森山への思いが捨てきれず、ひとり泣く麗子だった。
結婚まで考えていなかった香子は、森山のプロポーズを受けるべきか悩んでいた。そのことを政夫に相談していたところに、突如師匠が倒れたという連絡が入る。
2人で森山のアパートへと向かうと、自分の気持ちを抑えられなくなった麗子が森山に抱きついていた。麗子を「どれだけ周りの人間を振り回したら気が済むんだ」と叱りつける政夫。どんなことがあっても優しかった政夫の初めての怒りに、麗子は心打たれる。
相変わらず森山との結婚について悩む香子。森山から一緒に故郷へ行こうと誘われるが、行く気がしない。そこで動いたのが、麗子だった。政夫に頼み、香子を森山の元へ連れて行かせた。何が一番幸せな結末か、麗子も分かっていたのだ。
以前に思いを語り合った船小屋で、森山は改めて香子にプロポーズ。香子もようやく結婚を決意する。
香子と史郎の結婚式当日。麗子はこっそり政夫を呼びだし、「私も今日、マサくんと結婚する」と言い出す。誰よりも自分のことを思い、愛してくれているのが政夫であることに、麗子はようやく気づいたのだ。突然のことで驚く政夫だったが、もちろん快諾。
香子たちの披露宴会場に、ウエディングドレス姿の麗子と政夫が現れる。こうして、合同の結婚式が開かれ、ふたりっ子は一緒に花嫁となった。
昭和20年5月24日、東京。激しい空襲の中、ヒロイン・氏家真知子(鈴木京香)と後宮春樹(倉田てつを)は運命的に出会う。お互い名前を聞けぬまま、半年後に数寄屋橋で再会する約束をして2人は別れる。
だが、真知子は叔父のいる佐渡に引き取られ、半年後に約束の場所へは行けなかった。真知子が現れず落胆した春樹は、故郷・志摩へ。
やがて真知子は知り合いのツテで、春樹にあてた詩を雑誌に掲載してもらえることに。
「君の名は……と たずねし人あり その人の 名も知らず――」
その詩の一字一句が春樹の心に訴えかけた。詩を書いた「氏家真知子」という女性は、あのときに別れた人なのではないかと直感した春樹は、真知子に手紙を書く。
しかし、春樹からの手紙は真知子の叔父の怒りに触れ、燃やされてしまう。かろうじて焼け残った住所と名前を頼りに真知子は手紙をしたためるが、春樹はすでに志摩ではなく東京にいた…。
叔父から強いられる見合いを断り切れなくなった真知子は、東京に住む浜口勝則(布施 博)と見合いをする。勝則の母に反対され一度は破談となるが、勝則は真知子を好きになってしまう。
春樹と出会った5月24日からちょうど1年が経った。数寄屋橋で春樹を待ち続ける真知子。しかし春樹は約束の場所を目の前にして事件に巻き込まれ、ひん死の重傷を負ってしまう。
勝則に春樹の存在を正直に打ち明けた真知子は、2人で春樹を探しに志摩へ。しかし、そこでも再会は叶わなかった…。
志摩で勝則の優しさに触れた真知子は、なかなか会えない春樹を諦め、勝則と結婚することを決意。
2人の婚礼は11月25日に決まる。その前日、24日は半年ごとに訪れる春樹との約束の日だ。数寄屋橋へ向かった真知子。そこには春樹が立っていた。大空襲の日から1年半、夢にまで見た再会のときを迎える。
しかし、勝則との婚礼を翌日に控えた真知子は、もう春樹からの熱い言葉を受け入れることができない。真知子の結婚に絶望する春樹だった。
真知子の勝則との結婚生活は散々なものだった。真知子と春樹の関係を勘違いする勝則は、真知子に嫉妬をぶつけてはののしった。さらに、姑(しゅうとめ)からも冷たくあしらわれてしまう。
そんな中、真知子のお腹の中に新しい命が宿る。しかし、勝則も姑も全く喜んでくれない。
寂しさと悲しさに耐えきれなくなった真知子は、海に身を沈めようとする。だがそこを、1人の男性に助けられる。春樹だった。
事態の責任が自分にあると感じた春樹は、「お腹の子を僕と2人で育てましょう」と真知子に告げるが、お腹の子のことを考え、真知子は夫の元へと戻る。
だがのちに、真知子は誤って川に転落し、流産してしまう…。
姑に言われるがまま家を出ることになった真知子の元に、春樹から「北海道にいます」という便りが届く。列車に飛び乗り、北の大地へと向かう真知子。もう悔やむものなどあろうはずがなかった。再会した2人は、互いの変わらぬ思いを自然に悟った。
やがて、真知子の居場所を見つけ出した勝則が、北海道へやって来る。はっきり別れを告げる真知子だが、勝則は激怒。全く離婚に応じる気がない。
やがて、東京の裁判所から召喚状が届く。勝則が同居請求の訴えを起こしたのだ。裁判は当初、真知子側が有利に見られたが、残酷きわまりない勝則側の法廷戦術により、真知子たちは打ちのめされていく。真知子は自身の離婚申し立てを取り下げざるを得なかった。
しかしその1年後、突然勝則から「春樹以外の男性と結婚するなら離婚に応じる」という条件が提示される。別の男性と偽装結婚することを企てた真知子たちは、勝則に離婚届に捺印させることに見事成功する。
ようやく真知子と一緒になれると思った矢先、春樹に海外赴任の話が持ち上がる。しかも無情にも、その条件は “単身赴任”だった。愛と仕事に挟まれる春樹は仕事を選び、再び真知子と離れ離れに…。
春樹がヨーロッパへ発ってから4か月、真知子は働きながら春樹の便りを楽しみに過ごしていた。
だがそんなある日、過労がたたり病気にかかってしまった真知子が、危篤状態に陥る。連絡を受け、春樹が緊急帰国。思い出の数寄屋橋に近い病院の一室で、懸命に真知子に声をかける春樹。その声で、真知子は奇跡的に目を覚ます。
数寄屋橋での運命の出会いから時は流れて7年目。昭和27年12月、2人はめでたく結婚式の日を迎えたのだった。
ヒロイン・竹田悠(加納みゆき)は、京都・室町の繊維問屋、竹田屋の三女として生まれる。悠は年に1度行われる祇園祭を毎年楽しみにしていた。
スケッチブックを持って、祭りで使われる鉾(ほこ)の絵を描いていると、突然後ろから「うまいもんですね」と声をかけてくる人物が。
その涼しげな目に、悠は一瞬で恋に落ちてしまう。
のちにその男性は親友の兄で、帝大を目指す一高生・沢木智太郎(柳葉敏郎)という人物であることを知る。智太郎は自分とは違う世界に住む、手が届かない人…叶わぬ恋だと思いながらも、悠は会うたびに思いを募らせていく。
やがて智太郎との関係が悠の父に知られ、猛反対されてしまう。「悠に婿養子をとって後継ぎにさせる」と言いだす父。智太郎への思いが捨てきれない悠は父に激しく抵抗し、家を出ることを決意。
母の紹介で、悠は家から離れた大衆食堂に住み込みで働くことに。そこへ智太郎が会いにやって来る。彼の故郷を訪れるなどして、仲を深める2人。
しかし、そんな2人の様子を父から監視されていたことが判明する。父から離れるためには、自分1人の力で生きていくしかないと思った悠は、誰も知らない場所へ行くことに。智太郎にも告げず、悠は大衆食堂の女将に紹介された奈良の旅館へ。そこは、食堂の常連である新聞記者・吉野雄一郎(村上弘明)の実家だった。実は、秘かに悠に思いを寄せていた雄一郎の計らいだったのだ。雄一郎の気持ちには全く気付かないまま、旅館で一生懸命に働く悠は、辛い思いをしながらも徐々に認められていく。
やがて戦争が始まり、智太郎は自ら志願して戦地へ行くことに。悠にもそのことを伝えたいと思った智太郎は、悠の居場所を探し出す。悠が離れてから2年半、彼女を忘れたことは一度もなかったのだ。智太郎は長い間悠を放っていたことを謝罪し、必ず帰ることを約束。「待つなと言われても待っています」という悠の答えを聞いて、智太郎は戦地へ。
その後、雄一郎にも赤紙が届く… 。そのとき悠は雄一郎を励ますため「生きて帰ってきてください…待っています」と告げる。だがその言葉が真実の言葉ではないことを雄一郎は知っていた。いつかそれが真実の思いになることを願っていた。
雄一郎が出征してまもなく、悠の元に智太郎が所属する戦隊が玉砕したという情報が入る。悠の親友である智太郎の妹からは「あきらめて他の人と幸せになってほしい」と言われるが、智太郎の死を受け入れられない悠は、信じて待ち続ける。
やがて、雄一郎が無事に戦地から帰還する。雄一郎の母は失意の息子を元気にさせるため、「雄一郎と結婚して旅館の跡を継いでほしい」と悠にお願いする。「1年待ってほしい」と返事をし、智太郎の帰りを待つ悠。だが結局、智太郎が帰ってくることはなかった…。そして雄一郎との結婚を決意する。
穏やかな日々を過ごしていた悠の前に、信じられない人物が現れる。奇跡的に生き残って復員した智太郎だった。思わず悠を抱きしめようとする智太郎。だが悠はその胸に飛び込んでいけず、言葉もなく立ち尽くす。悠の結婚を知り、がく然とする智太郎。
「かんにんして…かんにんして智太郎さん…!」去っていく智太郎の背に、悲鳴に近い悠の叫び声が覆いかぶさる。そのとき「早くあとを追いなさい」と、いつの間にか後ろにいた雄一郎が悠の背中を押す。思わず走り出す悠。しかし、智太郎に「一緒に連れて行って」とは言えず、待ち続けた末の悲痛な別れとなってしまう。
その後、実業家になった智太郎と偶然再会。悠は智太郎と雄一郎との間で揺れ動き続けてしまうのだった…。
千葉・銚子で老舗のしょうゆ醸造店「入兆」当主とめかけとの間に生まれたヒロイン・古川かをる(沢口靖子)。女学生のとき、かをるは漁港の浜辺で油絵のモデルをやっていたところ、1人の漁師と出会う。漁師の名は、吉武惣吉(川野太郎)。かをるの指に刺さったトゲを、歯に挟んで引き抜く惣吉。その瞬間、かをるの心に淡いときめきが芽生える。
後日かをるは、あのときの絵が惣吉に買い取られたということを知る。しかも惣吉は毎日その絵を眺めているらしい。かをるは胸が熱くなると同時に、悲しさを覚える。自分がしょうゆ店の娘であることを知れば、あの人は見向きもしないだろう。“陸(おか)者”と、“海者”の世界に分かれて対立する銚子において、両家はライバル関係だったのだ…。
雪が降るある日、かをるは神社の石段で足を滑らせて転んでしまう。そこへ、助けにくる1人の男性が。惣吉との夢にまで見た再会であった。家までおぶって送ってくれた惣吉はとても優しく、そしてその背中はたくましくて温かかった。
かをるは自分の生い立ちと、もう会えないことを正直に話す。だが惣吉は「また会えるよ」と言い、かをるの手を強く握る。その手から、かをるは惣吉の心情を感じ取るのだった。
やがてかをるは、惣吉と同級生である義弟を通じて「6月18日午前10時に灯台で待っている」という惣吉からの伝言を受け取る。迎えた当日、ウソをついて家を出ようとするが、ちょうどそのとき、継母が倒れたという知らせが…。結局その日は惣吉に会うことができなかった。
かをるが出したおわびの手紙の返事を待ちわびていると、「惣吉が見合いをしたらしい」と義弟から聞かされる。あの日、もしかして惣吉は自分を呼び出して別れを告げるつもりだったのではないか…かをるは、そうとも知らず手紙を出した自分を滑稽に思ってしまう。
ある日、義姉を連れて外へ出かけたかをるは、惣吉と偶然再会し、惣吉の見合いがウソだったことを知る。「対立関係にある漁師としょうゆ店の娘。今のうちに忘れないとお互いに別れられなくなる」と、惣吉は思ったのだ。かをるは「それじゃ、私を妹にしてください」と、つい心にもないことを言ってしまう。
やがて、かをるに縁談の話が舞い込む。惣吉のことを諦めなければと思い、縁談を受けようとするかをるに、「惣吉の船が遭難した」という知らせが…。一心不乱に浜に向かうかをる。だがそれは、かをるの気持ちを確かめるために義姉がついたウソだった。
惣吉の無事に安心したかをるは惣吉と向き合い、縁談の話を打ち明ける。「……幸せになれよな」と言う惣吉にがっかりするかをる。そして先日の自分の発言を撤回する。「妹なんかいや!」と涙を浮かべながら、惣吉に自分の思いを訴えかける。かをるを強く抱きしめる惣吉。そしてかをるは、生まれて初めての口づけを交わした――。
義姉が一計を案じ、かをるの縁談は破談となる。だがそこで、かをると惣吉の関係が父・坂東久兵衛(津川雅彦)にバレてしまう。
かをるとの結婚を申し込むため、「入兆」を訪ねる惣吉。だが当然、門前払いをくらってしまう。「どれだけ時間がかかっても、分かってもらえるまで面会を求める」と言う惣吉の言葉を聞き、いつまでも待ち続けることをかをるは約束する。惣吉の本気の気持ちだけで幸せだったのだ。
一度だけ、惣吉は面会を許される。久兵衛は惣吉の人柄を認めた上で、「漁師をやめて、うちの養子になるなら結婚を許してもいい」と告げる。だが惣吉も吉武家の総領。その条件を飲むわけにはいかなかった。
やがて、かをるが無実の罪に問われて警察に捕まってしまう。かをるの無実を分かっていた久兵衛だが、その一件を受けて「かをるを今日かぎりで勘当する」と言いわたす。その目を見て、かをるはすべてを悟る。父は勘当という形で惣吉との結婚を許してくれるつもりなのだ。
災い転じて福となり、かをるは吉武家に嫁ぐことが決まる。苦しくも切ない恋が、ようやく実った。
しかし、かをるの幸せな結婚生活は長くは続かなかった。惣吉の遭難、流産、再婚相手の戦死、惣吉の生還など…。壮絶な人生を送っていくことになるのだった…。
大金持ちになって故郷に錦を飾るべく、北海道から単身上京した主人公・加治山平七(榎木孝明)。世話になるガラス工場で、平七は工場長の娘・大倉さよ(小宮久美子)と出会う。
平七とさよは浅草に出かけ、フランスの活動写真を見に行くことに。
夢中で活動写真を見ていた平七だが、ふと自分の背後に視線を感じる。振り返るとそこには、天使のような女性がいた。小島はる(樋口可南子)である。2人の視線は強く交わり、お互いに相手の気持ちを瞬時に理解した。恋が生まれた瞬間だった。
だが2人は長く見つめ合ってはいられなかった。館内にいた男が騒ぎを起こしたのだ。平七がその男を捕まえると、実はその人物は大実業家の息子で、帝大生の香木真之助(辰巳琢郎)という人物であることを知る。こうして、平七・真之助・はる・さよの4人は出会った。
真之助から「いいものを見せてあげるよ」と家に誘われた平七とはる。香木邸へ行くと、そこには活動写真の撮影機と映写機が。初めて触れる機材に感動する平七。
それからほどなくして、真之助が撮影機を持って平七がいるガラス工場に現れる。平七・はる・さよを誘い出し、この日から4人の撮影ごっこが始まる。それは同時に4人の青春記でもあった。
平七とはるは愛し合っていた。そんな2人の気持ちを十分承知した上で、はるの気持ちを自分に向かせようとする真之助。そしてさよは、自分の複雑な感情を胸に秘めたまま、じっと平七を見つめるだけだった。
やがて、その撮影ごっこは真之助が勝手に親のお金を使ってやっていたことだと、親にバレてしまう。真之助は謹慎となり、4人の撮影ごっこも強制終了。
その後、平七はガラス工場の経営破綻によって、活動写真の撮影所で働くことに。
のちに活動写真の監督となった平七と真之助は、しのぎを削るライバルとなる。
仕事で無理難題を押しつけられ、困り果てる平七。そこではるは真之助に、「なんでも言うことを聞くから平七を助けてほしい」と懇願する。考えた末、「ぼくの嫁さんになってくれ」と条件を提示する真之助。はるは平七を思うがゆえに、真之助との結婚を決意。
一方、活動写真の撮影に夢中になっていた平七は、真之助の元へ行ってしまったはるを諦め、自分を支えてくれていたさよと結婚。
しかし、その後もはるをめぐって平七と真之助は幾度となくぶつかることとなり、離婚・再会・4人での再出発…と物語は展開していく。
高等女学校を卒業したヒロイン・松浦ぎん(新井春美)は、 4年ぶりに故郷の和歌山・太地へ帰る。
ある日浜辺に出たぎんは、沖に転覆したボートにしがみついている外国人の青年を発見し、助ける。彼はハインリッヒ・ブルックマイヤー(蟇目 良)というドイツ人だった。
ブルックマイヤーは父の代からのパン職人であることや、徳島の収容所から脱走して太地の浜に流れ着いたことなどを、たどたどしい日本語でぎんに話した。見知らぬ異国の話に、ぎんの心は強く引きつけられていく。
商船学校に入りたいという弟を連れて神戸にやってきたぎんは、その地でブルックマイヤーと運命的な再会を果たす。
捕虜ではなくなっていたブルックマイヤーは、名古屋のパン工場に技術顧問として迎えられているらしい。つかの間の再会を楽しむ2人。そこでブルックマイヤーは「資金が出来たら神戸でパン店を開業する」とぎんに約束して去ってしまう。
やがて、ブルックマイヤーが約束通り神戸にやってきた。互いを思い続けていた2人は結婚し、ドイツのパンのお店を開店。ともにパン作りの道を歩んでいくのだった。