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【萬物相】請求権と司法壟断

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 故・金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相は回顧録の中で「韓日国交正常化交渉」を自らの政治人生で最も記憶に残る出来事として取り上げている。金鍾泌氏は「民主主義は血を食べる前にパンを食べることで育つ」との考えを示した。「民主主義の恩恵を受けるにはまず経済建設」という信念故に「李完用(イ・ワンヨン)以上の売国奴」という非難も甘受したという。当時の韓国政府は学生らによる大規模なデモや野党の激しい反対を抑え、1965年に韓日基本条約を締結した。李明博(イ・ミョンバク)、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)、金徳竜(キム・ドクリョン)、李在五(イ・ジェオ)などの政治家たちは当時、学生デモの先頭に立ち、警察に身柄を拘束されている。

 この韓日基本条約で結ばれた四つの協定の一つが請求権に関するものだった。韓国政府はこれによって日本から「無償3億ドル(現在のレートで約320億円、以下同じ)、長期低利2億ドル(約220億円)相当の物資」を受け取った。韓国の輸出総額が年間2億ドルにも満たなかった時代のことだ。この資金によって浦項製鉄ができ、京釜高速道路などが建設された。

 請求権協定には強制徴用被害への保障についても明記されている。強制徴用者を103万人と計算し、個人の請求権については「国として請求し、個人については国内で対応する」という内容だ。被害者に代わって資金を受け取った韓国政府が、個別に保障し解決するという意味だ。ところが日本から受け取った資金のほとんどは国内での開発に使われ、被害者に支払われたのはわずか92億ウォン(約8億5000万円)だった。2005年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が立ち上げた官民合同委員会がこの問題を再び検討し、7万2631人に総額6200億ウォン(約570億円)の慰労金が支払われた。

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