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賃金削減策

<役員報酬カットの方法>

役員報酬の切り下げは比較的簡単に行うことができます。取締役会を開催して、役員報酬の引き下げを決議すればOKです。それを議事録に残しておく必要があります。

役員報酬の切り下げ
議事録は典型的な書式がありますので、それを活用してください。税務上、役員報酬の引き下げが問題になることは少ないです。役員報酬を引き下げれば損益計算書は利益化するからです。役員報酬を実際に引き下げてから3ヶ月経過したら、社会保険料の「月額変更届」を取締役会議事録の写しと共に社会保険事務所に提出してください。これで社会保険料を引き下げることができます。
役員自身のリストラ
次の行うのは、 役員のリストラです。役員自身のリストラには非常勤役員を退任させること、無能役員を解任することなどがあります。非常勤役員の退任とは、名目だけの役員や数合わせで役員になっていて、何がしかの報酬を支払っている人には、役員を辞めてもらうことです。株式会社なら最低3人、有限会社なら1人の役員で十分です。無能役員の解任とは、社員から役員に昇格させた人で役員としての能力に欠けている人を解任することです。
解任する時期は、任期満了になるときが最適です。任期満了なら再任しなければ、自動的に退任になります。任期途中でどうしても辞めてほしければ、任期満了までの報酬を支払って解任すれば済みます。
解任するにあたって理由は必要ありません。注意すべきは取締役○○担当としておいて、労働者性を持たせておいてはならないし、雇用保険や労働保険の対象からも外しておくことです。また決算書上でも「役員報酬」として整理し、法人税申告書の添付書類である内訳明細書でも役員報酬として明記しておくことが必要です。

経営不振で賃下げする方法

<賃下げや減給の方法>

一般的には次のような方法があります。

1.減給処分
就業規則上の懲戒規定による減給処分。一回の減給額が平均賃金の一日分の半額を越えてはならず、かつ、一賃金支払期をおける総額がその期における賃金総額の10分の1を越えてはならない。

2.返上
管理職従業員などが本人の意思により賃金の一部を返上する措置(本人の意思があればOK)。

3.役職交代による手当減額
役職手当が支給されており、役職が変わった場合、当然それに見合った手当に変更される。手当が引き下がることもあれば、役職を外れた場合は支給なしとなる。

4.職務給の減額
職務給を採用している場合、職務が変わることで職務給も変更になることは当然のことであり、職務変更により職務給が引き下げる。

5.年俸制
年俸制は労働者の業務等に応じ、交渉の結果として賃金の減額があり得ることを予定している制度であり、年俸制の根拠規定があれば、賃金減額は当然あり得る。

6.職能給の減額
基本的に職能給の減額はないが、合意による減額ルールがある場合は、減額が認められる。

7.賃金制度見直しによる減給
仕事内容に変更がなく、制度が変わったという理由、あるいは新制度での格付けが変わったとの理由で賃金を引き下げることは違法との判例があるが、合意があればOKとなる。

8.年齢による賃金カット
一定年齢以上は○○%カットというような賃金カットは労働者の合意があればOKとなる。通常は定年延長等の代替案として合意させる。使用者側の一方的な賃金カットは違法との判例がある。

9.業績不振による賃金カット
業績不振で整理解雇を防ぐための賃金カットについては、労働者の合意が得やすい。また、就業規則不利益変更の合理性に該当する可能性が高い。


雇用契約も契約の一種ですから、契約内容である賃金などの労働条件を変更するには、原則として使用者・労働者双方の同意があれば問題ありません。したがって、労働者の同意のない一方的変更は無効となりますので、労使双方が合意すればよいということです。

実務的にはどうする?

具体的な賃金引下げは、就業規則を変更する必要があります。この変更については、「合理的」な理由があれば認められます(昭和43.12.25最高裁判決)。「当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これを同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない}(同)としています。
したがって就業規則変更にあたっては、過半数を占める労働組合があれば、その組合の同意が必要です。事業場に過半数で組織する労働組合がない場合には、就業規則の意見聴取等の相手方となる、事業場の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という)を選出する必要があります。過半数代表者の適格性と選出方法は、平成11年4月の労働基準法の改正に伴い、命令(施行規則)で明確になりました。その内容は、「過半数代表者の要件を明確にしてその選出方法及び職制上の地位等を適正なものとし、併せて過半数代表者の不利益取扱いをしないようにしなければならない」(平成11.1.29基発第45号)としたことです。上記の命令では、過半数代表者は次のいずれにも該当する者でなければならないものとされています(同規則第6条の2①)。労基法第41条第2号に規定する監督、又は管理の地位にある者でないことと同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であることが要件となっています。

<役職手当カットの方法>

方法は3つあります。①役職者から本人の意思により、役職手当の一部又は全部を返上させる方法、②役職を交替させて役職手当を減額させる方法、③就業規則(賃金規程)を変更して役職手当の一部又は全部を減額する方法があります。

①役職手当の返上
この方法は経営陣の役員報酬を自ら減額したうえで、管理職に手当を返上するように要請します。そして、管理職従業員などが本人の意思により賃金の一部を返上する措置をします。当然本人の真意であれば、合意とみなされますので、合法です。パナソニック(旧松下電器産業)はこの方法で平成13年9月に実施しています。

②役職の交替による役職手当の減額
役職手当が支給されており、役職が代わった場合、それに見合った手当に変更されるのは当然のことです。手当が引き下がることもあれば、役職を外れた場合は0になることもあります。この方法は会社に人事裁量権がありますので、合法です。出来の悪い管理職の降格を含めて検討してください。

③就業規則の変更による役職手当の減額
管理職手当を就業規則上、廃止したり減額したりすることは、従業員にとって原則として不利益変更にあたるので、変更の合理性が必要です。「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」(みちのく銀行事件:最判平12.9.7)としていますので、慎重に行う必要があります。

<通勤手当、住宅手当、家族手当、精勤・皆勤手当カットの方法>

通勤手当については、社員の通勤実態と手当の中身を調査することが第一にすべきことです。そのうえで就業規則を改正して、「通勤手当は会社が最も経済的・合理的と認める経路で計算するものとし、上限は○万円とする。」としてください。住宅手当、家族手当、精勤・皆勤手当については、減額・廃止することは従業員にとって不利益変更にあたりますので、合理的な理由が必要になります。廃止する代替措置として、業績・能力主義で会社や本人の成績がよければ基本給や賞与が上がる仕組みに変更して、同意を得るようにしてください。

通勤手当
通勤手当は、通勤の実態に基づいて払わなければいけません。細かなことのようですが、積み重なれば大きな金額になります。たとえば、社員の中には通勤手当と実態と異なる経路で申請してくる人がいます。交通経路を電車とバスに乗って通勤して来るとして、実際はバイクや自転車で通勤して来る場合があります。こういう事例をきちんと調べて、正しく通勤手当を見直します。通勤手当は実費支給ですから支給するのは当然ですが、就業規則を見直すことも必要でしょう。

住宅手当・家族手当
ただ廃止するだけではモチベーションが下がってしまうので、その代わりに業績・能力主義で会社や本人の業績がよければ基本給や賞与が上がるという前提が必要です(もちろん悪ければ下がります)。また、廃止の仕方も基本給に一定割合を組み込んだり、固定給の代わりに一時金として支給するなどの協議が必要です。
精勤・皆勤手当は決まった時間に会社に来て仕事をするのは当たり前ですから、廃止してください。廃止には就業規則の変更が必要です。

<基本給カットの方法>

基本給の引き下げは、原則として困難であると考えてください。どうしても基本給を下げたいときには、本人の同意をとりましょう。

基本給の引き下げ
職能等級制度においては、基本給を構成する要素は、年齢給と職能給です。基本給の重要な要素を占める職能資格の引き下げ、措置としての降格は、いったん到達した職能遂行能力の認定を引き下げる措置であり、その前提にないことです。職能資格制度のもとでの資格等級の引き下げ(降格)による賃金減額ですが、個々の労働者の等級の格付けが特別な根拠規定がなくても、人事権の行使として使用者が自由に行えるかが問題になります。
しかし、職能資格は一般に基本給(職能給)と連動していることから、裁判例は、このような降格による賃金の減額については、就業規則等において、使用者が資格等級の見直しによる降格をなし得る旨の根拠規定が必要であると解しています(アーク証券事件:東京地判平8.12.11)。
また、就業規則を変更してこうした根拠規定を設ける場合でも、反対の従業員を拘束するには、上記のように、当該規則変更が合理性の要件を満たす必要があります。
基本給の引き下げは、将来退職金の減額につながるので社員から多くの反対が予想されます。労働組合がある会社であれば、労働協約で常時使用される労働者の4分の3以上が基本給の引き下げに同意すれば可能です(労働組合法17条)。しかし、中小企業において労働組合があるところは少ないので、基本的には個別合意が必要となります。どうしても基本給の引き下げに反対する社員がいれば、不法行為にならない範囲で人事権を行使して、役職の剥奪もしくは厳しいノルマを課して生産性を向上させるのがよいでしょう。

<営業手当支払による残業手当のカット>

出張や外回りの営業のように事業場外でなされる業務は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難になる場合がしばしば生じるので、このような場合に合理的に対処するために、労働時間を「みなし制}により算定できます。

残業時間と営業手当が相当すること
営業活動は外勤で比較的自由になされますから、管理者の指揮命令が及ばず、所定の労働時間の範囲内におさまらないこともあります。このように外勤などの職種で勤務時間を計算しがたい場合は「みなし労働時間制」といい、所定労働時間働いたとみなす制度があります(労基法38の2①)。
しかし、この「みなし」では、所定労働時間を働いたとみなすだけで、時間外を予定していません。営業マンにとっては不満が残ります。また会社としても不十分です。実態に即して「10時間働いた」とみなす規定を作る必要があります(同条但書)。こうすれば勤務日数20日として1日2時間のオーバータイムで残業は40時間。これがほぼ営業手当に見合えばよいわけです。なお、1ヶ月の上限基準は45時間と定められています。

就業規則ないしは協定を結ぶこと
残業代や手当の支給は重要な労働条件です。トラブルが起きないように口頭ではなく就業規則や社員代表との協定を締結してください。
就業規則では次のように明記します。
「営業社員は外勤や出張等により会社外で勤務し勤務時間を算定しがたい場合は、営業業務遂行に通常必要な時間外勤務したものとみなす。上記の時間外手当相当分については営業手当として支給する。」
また、協定を締結すればより明確になります。

<残業代の規制>

残業の上限枠を設けることが必要です。残業するには、上司の事前の許可を必要とするシステムにします。これでかなりの残業が規制できます。

事務職であれば、昼間のあいだおしゃべりをしていたため、残業せざるを得なかったとか、営業マンなら喫茶店でさぼっていたため、夜に仕事をしなければならなかったという例が結構多いのです。1ヶ月の残業時間枠を決めて、さらに残業をするには所属長の事前の許可を必要とさせ、無許可残業は一切認めさせないようにします。本人の無能力のために残業しなければならないときは、厳しく叱りつけてください。残業が多いともちろん賞与の査定が悪くなることも明言します。

①残業は許可制とする
残業は納期などお客様の要求を満たすために必要です。定額支給の範囲を超える残業は許可制にします。

②残業は月45時間を限度とする
労基法の改正により時間外労働の延長時間の限度は、1ヶ月では45時間となりました。規制があるからというわけではなく、人間は長時間集中して働けるものではありません。能率が下がります。また、活力・労働力の再生産に支障をきたし、明日の仕事に差し支えます。

③変形労働時間制等を採り入れる
1ヶ月単位・フレックスタイム・1年単位などの変形労働時間制や裁量労働のみなし労働時間制を活用することも、残業の削減や生産性向上が期待できます。

④成果や能力を重視する給与体系に移行する
生活保障給のうえに成果賃金を付加することにより、「長時間労働」から能力の向上による「短時間労働」への転換が期待できます。

<昇給の停止方法>

就業規則を「昇給は本人の能力、職務実績、勤務成績、人事考課、勤務態度等を勘案して年1回以上行うことがある」と変更しておけば、会社は昇給義務を免れることができます。

昇給は一律に行わない
社長の判断で昇給を停止するのは、経営危機のときには合理的なことですただ、優秀な社員で将来見込みのある者まで昇給を停止してはいけません。あくまで社長が社員を査定した結果として、昇給のある者とない者のアクセントをつけることが大事です。
たしかに昇給を停止されたら、社員のモチベーションが下がるのは当然でしょう。まずは社員が納得するまで、昇給を見送らざるを得ない事情を説明してください。中小企業であればテーブルを囲んだ社員懇談会などの場を作って、誠意を持って、しかもフランクな雰囲気で十分説明することです。①業績が低迷している理由、②自社の現状と昇給が出来ない理由、③業績回復のためにどのような手を打とうとしているのか、④そのためにはどうしても社員の協力が必要であること、⑤業績がどこまで回復したら、昇給を再開するのか、⑥将来会社がどのような形で社会に貢献しようとしているのか、などについて、できるだけ具体的に示すことが重要です。社長自ら誠意を持って説明すればほとんどの社員は必ず理解してくれるはずです。給与の多い少ないは働く社員にとって確かに大きな要素ですが、ただそれだけで仕事に取り組む姿勢が変わるとは思いません。自分の仕事が会社や社会に貢献していると思えば、給与の多い少ないにかかわらず、社員は熱心に働いてくれるものだと信じてあたってみてください。もちろん、これだけ説明しても給料が上がらないなら退社する」という社員も出てくるでしょう。こういう社員は、慰留せずに辞めてもらった方が賢明でしょう。

<労働時間短縮による賃下げ>

仕事量の減少に伴い、労働時間を短縮して賃金を下げても問題ありません。たとえば、現在週40時間制であれば35時間に引き下げ、賃金を削減させます。当然、就業規則の変更を行います。この場合、不利益変更を指摘される可能性があるので、社員の合意を取り付けておきます。

仕事量が減少すればそれに見合う生産時間になり、労働時間が減ることは当たり前のことです。労働時間が少なくなれば、必然的に賃金が下がります。このことは「ノーワーク・ノーペイ」の原則にも合致します。

厚生労働省の見解
当時の労働省労動基準局賃金時間部労働時間課長が、平成9年2月7日、全国中小企業団体中央会・日本商工会議所・全国商工会連合会・全国商店街振興組合連合会の中小企業④団体に次のような見解を示しました。「週40時間労働制への移行に伴う月給者に対する賃金の取り扱いについては、基本的には労使間の話し合いで解決すべきものであるが、週40時間労働制の移行に伴う賃金の改定にあたっては、時間当たり賃金が減少しない等労働時間の変更との関係からみて合理性があるものであれば、労働基準法の適用上問題とならない。」
また、平成9年3月31日基発第213号通達の第2留意事項として、次のような労働省労働基準局長名通達を発しています。
《昭和56年2月26日付け基発第114号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の施行について」の考え方に基づき回答したところであるが、その趣旨はあくまでも、賃金の決定については労使の交渉に、その決定の合理性についても当事者の判断に、委ねられるものである。なお、賃金の改定を行った場合においても、法定労働時間を超えた労働については割り増し賃金の支払いが必要であるので、念のために申し添える。》

<成果報酬賃金制度導入による賃下げ>

成果主義では「どんな能力を持っているか」より「その仕事でそんな成果を上げたか」を重視します。多くは目標管理という手法を行い、一定期間における目標達成度を評価して報酬に反映させます。どんなに高い能力を持っていても、それが仕事の成果となって現れなければ報酬に反映させません。ですから、能力過剰や能力ミスマッチによるコスト高はなくなります。

目標達成度などの成果評価(業績評価)は、賞与に反映されるのが一般的です。しかし最近では、管理職を中心に基本給の一部に成果給や業績給などと呼ばれる成果主義賃金を導入したり、成果評価によって大きく増減するような年俸制を採用する事例も出ています。
成果主義賃金制度では、賃金が大きく上がることもあれば、逆に下がることもあります。能力は短期間で極端に下がることはなく、むしろ着実に向上していくのに対して、仕事の出来栄えである成果は、仕事の内容によっては短期間で上下に変動することがあり得るからです。

成果主義賃金導入の注意点
①成果型の賃金をなぜ導入するのかをはっきりさせる。
②成果主義の賃金を導入する対象者は、業務に責任を持たされ、権限があり、裁量度が高い上級管理職及び専門職とし、ある程度収入が下がっても、生活に支障のない賃金レベルの人に限定する。
③評価基準や賃金決定基準を明確に定める。
④評価については、評価者訓練等を十分に行うとともに、本人が納得いかない場合、苦情を届け出られる機関を設置する。
⑤目標設定においては、評価者、被評価者が協議の上、お互いに納得できる年間目標とする。
⑥最低保障の賃金を明確にしておく。

<二軍人事賃金制度などの導入による賃金抑制>

役職任期制
役職任期制は、あらかじめ一定の任期を定めて役職に就任させるというものです。役職任期制は任期が決められ任期中の業績次第では再任されないため、役職者により緊張感を与えるというメリットがあり、デメリットとしては、任期中の業績や役職者としての能力の評価をどのようにするかということが難しいということが挙げられます。

役職定年制
役職定年制とは、一般に定年延長に伴い旧定年年齢あるいは一定年齢で管理職ポストを離脱し、その専門的能力をもって専門職などに異動する制度です。役職定年制の定年の決め方には、全ての役職について一律に決める方法と職位ごとに決める方法があります。メリットとしては役職者の高齢化を防ぎ組織の活性化を図る上で効果があり、デメリットとしては能力に個人差があるが、規定された一律の年齢で一様に区切ってしまうところに問題があります。

二軍人事賃金制度
二軍人事賃金制度とは、一定の年齢(たとえば35歳・40歳・45歳)で、本人に道を選択させる制度です。現在の賃金制度(職能給)によって、目標を達成し続ける自信があるか、それとも二軍賃金(たとえば職能給の6割~8割程度でライン管理職につかない)に路線を変更して、定年までいくかを選択させるシステムです。その目的は能力評価を自己評価させる形式となっている点です。二軍人事賃金制度にリカバリー制度を入れれば、大器晩成型の人材を発掘する可能性があります。しかし一方では、二軍の人材が姥捨て山になってしまうデメリットもあります。

<降格・配置換えによる賃金減額>

使用者には労働者を企業組織の中でどう位置づけ、どのような役割を与えるかを決定する人事権があるのですから、思想・信条や社会的身分などを理由とするものでない限り、その権利の行使として不適切な管理職を降格することは自由になし得ると解されます。したがって降格にともなって賃金を引き下げることは、一般的に当然の措置といえます。

降格の意義・様態
降格については、職位を引き下げるものと、資格を低下させるものとがあります。また降格には、懲戒処分としてなされるものと人事異動(配転)としてなされる場合があります。

人事権による役職・職位の降格
配転としての降格については、裁判例は一般論としては、人事権の行使は、基本的に使用者の経営上の裁量判断に属し、社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用にあたると認められない限り、違法とはいえないとし(医療法人財団東京厚生会事件:東京地判平9.11.18)、その裁量判断を逸脱しているか否かを判断するにあたっては、使用者側における業務上の必要性の有無及びその程度、能力・適性の欠如等の労働者側における帰責性の有無及びその程度、労働者の受ける不利益の性質及びその程度、当該企業における昇進・降格の運用状況等の事情を総合考慮する、としています(同判例)。
たとえば、これにより降格が有効とされた例として、エクイタブル生命保険事件(東京地決平2.4.27)では、営業所長を営業所の成績不振を理由に営業社員への降格と懲戒解雇が有効とされ、星電社事件(神戸地判平3.3.14、労働判例584号61頁)では、降格処分は、使用者の人事権の裁量的行為であり、就業規則等に根拠を有する懲戒処分にはあたらないとしたうえで、勤務成績不良(飲酒運転による免許停止、商品事故の報告怠慢、酒気を帯びて就労したこと等)を理由として部長の一般職への降格が有効とされました。

<裁量労働制導入と残業代>

たとえば、研究開発などは業務の性質上、その業務の具体的遂行方法については大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、使用者の具体的な指揮監督になじまず、通常の方法による労働時間の算定が適切でない場合も多くあります。そのような業務は、その業務を通常、処理するためにはどの程度の時間を労働するとするのが適当であるかについて労使協定をしたときは、その時間を労働時間したものとみなす、という制度があります。これを「裁量労働制」といいます。この裁量労働制には、「専門型業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。

裁量労働制
裁量労働制はみなし労働制の一つであり、一日の労働時間を労使協定で定める時間数だけ働いたものとみなして給与を支給するという制度です。たとえば、取材記者等の場合には、仕事の相当分が社外において行われるために現実に何時間働いたかを管理することができません。また、仮に管理できたとしても「何時から何時までを労働時間とする」といった規定を適用するということは、活動内容からしても著しく能率を低下させるおそれがあります。というのは、取材先の都合に合わせて動くことになるので、夜遅くまで働かなければならないこともあれば、午前中は特に仕事がないといったことも起こりえるため、そういうときにフレキシブルに労働時間を調整できなければ大変能率の悪いことになるからなのです。そこで、一定時間を勤務時間とするよりも、一日の労働時間を一定とみなして、後はどこでどんな時間帯に働いてもよいことにしよう(労働者の裁量に任せよう)というのが裁量労働制の考え方なのです。
尾の制度が適用された場合、実際に何時間働いたかということは問題にされないわけですから、従業員は時間に束縛された働きから解放されます。何時間働いたかではなく、どれだけ成果を上げたかが評価の対象となるから、誰もが自分の仕事の生産性を高めて、短時間では仕事を終えようとする工夫することになるのです。もし、その仕事が楽しくてやりがいに満ちており、もっとももっともっと働きたいという人がいれば、長時間働いたところで一向に構いません。
その人に「時短時代なのだから仕事をするな」などという必要はなく、本人の努力が成果に現れさえすれば、きちんと評価され、報われる制度です。ただこの制度は、現在までのところ適用職種が限定されており、どんな職種に適用してもよいことにはなっていません。今のところ「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類に限定されています。

専門業務型裁量労働制
(1)対象業務
①新製品、新技術の研究開発等の業務
②情報処理システムの分析又は設計の業務
③記事の取材又は編集の業務
④デザイナーの業務
⑤プロデューサー又はディレクターの業務
⑥①から⑤のほか、中央労働基準審議会の議を経て、厚生労働大臣の指定する業務(コピーライターの業務、公認会計士、弁護士、税理士、一級建築士、不動産鑑定士、弁理士などの業務)
(2)対象労働者
(1)の対象業務に従事する労働者
(3)導入手続き
専門業務型裁量労働制を導入するためには、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合と、ないときは労働者の過半数を代表する者と、労使協定を結び、次の事項について所轄の労働基準監督署長に届け出ます。
①対象業務の範囲、②業務の遂行手段、時間配分の決定等に関し、具体的な指示をしない旨の記載、③労働時間の算定については協定によることの記載、④みなし労働時間をどれだけとするかについての記載、⑤有効期間についての記載

企画業務型裁量労働制
(1)対象業務
①経営企画担当部署
②人事・労務担当部署
③財務・経理担当部署
④広報担当部署
⑤営業企画担当部署
⑥生産企画担当部署
(2)対象労働者
(1)の対象業務に従事する労働者であって、本人が適用に同意した場合に限ります。
(3)導入手続き
企画業務型裁量労働制えお導入するためには、当該事業場に労働者と使用者が結成する労使委員会を設置し、その委員全員の一致で、次の事項について決議しなければなりません。
①対象業務の範囲、②対象労働者の範囲、③みなし労働時間をどれだけとするかについて、④労働時間の状況に応じた対象労働者の健康・福祉確保のための措置、⑤対象労働者からの苦情処理に関する措置、⑥労働者の同意の取得及び不同意者の不利益取扱いの禁止、⑦その他決議の有効期間(1年以内)、記録の保存について(3年間保存しなければならない)など。
なお、この労使委員会を設置したとき及び決議については、所轄の労働基準監督署に届け出なかればなりません。また、制度がスタートした後は、定期的に所轄の労働基準監督署に実施状況を報告しなければなりません。

<賞与カットの方法>

賞与は毎月の給与とは異なり、就業規則に「賞与は毎年6月と12月に支給する。ただし、会社の業績により支給しないことがある」旨の規定を定めておけば、会社の裁量で賞与を不支給としたり、大幅に減額することができます。ただし、社員のモチベーションの問題もありますから、事前にその通知をしておくべきでしょう。

賞与・一時金の法的性格
賞与ないし一時金は、日本では夏と冬のボーナスという形で支給されるのが通例で、就業規則の中に賞与等に関する規定を設けるのが一般的となっています。たとえば、「賞与は毎年6月及び12月に会社の経営成績を考慮して支給する。」などの例があります。
賞与は行政解釈では「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」をいい、「定期的に支給され、かつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず」賞与とみなされません(昭22.9.13基発17号)。問題は、労働協約や就業規則で賞与を支給する旨の抽象的規定を置いていても、具体的に支給額や支給率が確定していない場合に、判例では、使用者の決定あるいは労使間の合意がなければ請求権は発生しません(ヤマト科学事件:東京地判昭58.4.20)。
支給日在籍事項
賞与支給日に在籍していないことを理由に賞与を支給しないことが許されるかという点については、支給日在籍要件を予め規定している場合には、そのような条項は有効とするけんかが確立した法原則となっています(梶鋳造事件:名古屋地判昭55.10.8)。最高裁もこの条項の合理性を肯定しています(大和銀行事件:最一判昭57.10.7)。








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