「花粉分解」光触媒マスク販売4社に景表法違反で行政処分。一部企業は不服表明

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消費者庁が景品表示法に基づく行政処分を命じた4社の主な商品。

光触媒を用いたマスク商品の「花粉を水に変える」などの表記には根拠がなく、景品表示法(景表法)に違反するとして、消費者庁は7月4日、DR.C医薬、アイリスオーヤマ、大正製薬、玉川衛材の4社に対して、再発防止措置や対策を講じるよう措置命令を出した。処分を受けた一部の企業は、処分を不服としている。

「花粉を水に変える」と表記したマスクについては、2018年3月ごろに研究者たちから「裏付けができていないのでは?」などの指摘が相次いでいた。消費者庁の担当者も「そういった情報は把握しておりました」と話した。

光触媒による分解効果はあるものの即効性はなし

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消費者庁から景品表示法違反で行政処分を受けたアイリスオーヤマの「光の力で分解するマスク」。

出典:消費者庁

処分対象となった1つ、アイリスオーヤマの「光の力で分解するマスク ふつうサイズ5枚入 PK HB5M」(既にに販売終了)は、マスクを着けることで太陽光など光の触媒効果でマスクの表面に付着した花粉、ウイルス、細菌、ハウスダストを二酸化炭素と水に分解して体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように表示していた。

同社は処分を受け、ホームページ上で次のように謝罪した。

該当製品をご購入頂いたお客様をはじめとする関係者の皆様には、信頼を損なう結果となり、心よりお詫び申し上げます。今般の事態を重く受け止め、今後、このようなことが起きぬように再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。

同社の担当者によると、当該商品のマスクは、光触媒のフィルターは協力メーカーと開発し、マスク自体の生産は中国・大連の自社工場で行っていた。2018年8月27日から2019年6月30日の発売期で累計4万5237個を販売した。「何時間ということは弊社も把握はしてはいないのですが、時間をおけば光触媒の効果はあります。ただ、マスクを着けた瞬間に効果が得られると(消費者に)認識させてしまっていた。(効果の)誤認を私たちがしていた」と説明した。現在は販売終了している。

同製品を購入した一般消費者に向けた案内は、消費者庁からの承認が得られ次第、掲載する予定だという。

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消費者庁から景品表示法違反で行政処分を受けたDR.C医薬の「花粉を水に変えるマスク」。

出典:消費者庁

同じく処分を受けたDR.C医薬の対象商品は、消費者庁の公開資料によると18商品。DR.C医薬はホームページ上で次のように謝罪。

この度は、弊社マスク(以下「対象マスク製品」と申します。)のパッケージ上の「花粉を水に変える」等の表現に関し、消費者庁から措置命令を受けましたことにより、お客様ならびに関係者のみなさまに、多大なるご心配をおかけしましたことをまずは深くお詫び申し上げます。

その一方で、

弊社が受けました措置命令は、対象マスク製品のパッケージ上の一部の表現につきまして、消費者庁に、弊社が提出した根拠資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったことにより受けたものであり、それらの表現が事実と異なっていると積極的に事実認定されたものではありません。

弊社といたしましては、製品の広告表現に関しては、消費者の皆様に誤解を生じることのないように、文献や外部機関に委託して行った試験結果等に基づいた適正な表示に努めており、対象マスク製品の表示の根拠につきましても消費者庁に対して真摯に説明をして参りましたが、十分な理解を得ることができませんでした。(以下、略)

と表現。NHKの報道によると、新規の出荷は取りやめているという。

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行政処分に不服の企業も

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玉川衛材の「吸着分解マスク」。

玉川衛材は消費者庁の求めに応じて、資料を提出したが、表示の合理的な根拠とは認められないと判断されたという。納得していないことを匂わせながらも、対応していくとした。対象商品は2商品。

本措置命令に関して消費者庁から指摘された内容は、本製品のパッケージ表示が虚偽表示であったというものではなく、あくまで当該表示の裏付けとなる合理的な根拠が十分ではなかったというものであり、本製品の光触媒効果自体が否定されたものではありません。

今後におきましては、パッケージの文言の追加や修正を実施するなど、適切に対応してまいる所存です。

大正製薬のマスク「パブロンマスク365」

消費者庁から景品表示法違反で行政処分を受けた大正製薬のマスク「パブロンマスク365」

出典:消費者庁

一方、大正製薬は、同社ホームページ上で、法的措置を検討するコメントを発表。争うかまえをみせている。対象商品は3商品。

本日、消費者庁から当社に対して当社製品パブロンマスク365(以下、パブロンマスクといいます)の光触媒の効果に関する表示について問題があるとして、措置命令が出されました。

当社としては、パブロンマスクについては、光触媒が有するウイルス、細菌、花粉の除去の効果に関する科学的根拠に基づいて製品開発を行い、その合理的な根拠に基づいて製品パッケージ表示していると認識しており、消費者庁から措置命令が出されましたことは誠に遺憾であります。

今回の措置命令の指摘事項は、当社が消費者庁に提出した科学的根拠を全く無視した内容で、合理的なものでないと考えております。今後、法的に採り得る対応・措置を検討中です。

(文、大塚淳史)

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