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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】QS14分の10も…大野雄が目指す「勝てるイニングイーター」

2019年7月7日 紙面から

5回表1死一、三塁、石川にスクイズを決められた大野雄(右)=ナゴヤドームで

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 勝敗を分けた5回、大野雄には声が聞こえた。

 「セーフティースクイズのところですよね。普通より難しいのが転がってきたら、一塁に投げて2死二塁(で山田哲)と頭の中にはありました。木下(拓)の『ファースト!』って声も聞こえたんですが、どこからか『ホーム!』と…」

 1死一、三塁で投手の石川。セーフティースクイズもうまく転がされたのも想定内だった。惑わされたのは捕手の指示とは別の声。「走者が(三本間で)自重しているのかなと思い、バックトスしてしまいました。一度ホームを見て、本当にそうなのか確認してからでも遅くなかったんですが…」。捕手の指示を無視したわけでも間に合うと判断したわけでもない。犠打野選。勝ち越し点はともかく、やってはいけない3点目へと傷口は広がった。ヤクルトのフェイクか単なる空耳か…。今となっては確かめようもない“指示”だった。

 今永(DeNA)、大瀬良(広島)、千賀(ソフトバンク)に続いて今季の投球回数が100イニングに到達した。野球界ではこうした投手をイニングイーターと呼ぶ。先を行く3人は15試合だが、大野雄は14試合。最短の降板イニングも今永(5イニング)、大瀬良(4イニング2/3)、千賀(6イニングが5度)に対し、大野雄は6イニングが2度。ただし…。

 今季5勝6敗。通算54勝59敗。今永(8勝4敗、QS率80%)、昨季最多勝の大瀬良(6勝6敗、QS率80%)、千賀(9勝2敗、QS率93.3%)ほど勝ってはいない。8イニング3失点は胸を張れる「結果」だが「内容」は…。5回は中村へのストレートの四球に始まり、打率1割に満たない広岡につながれ、石川に決められた。

 「僕は(QSが)14分の10ですよね。でも8イニングを3失点でまとめる競技じゃない。それはわかっているんです」。平均値よりは間違いなく上だが、エースの手前で苦しむ左腕。目指すは勝てるイニングイーターである。

(渋谷真)

 

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