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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】「自分をコントロール」できた時、博志は方程式に返り咲く

2019年7月6日 紙面から

阿波野(右)、赤堀の両コーチの指導を受けながらフォームの確認をする鈴木博=浜松球場で(谷沢昇司撮影)

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 楽しみにしていた地元開催が流れてしまった。

 「家族やヤマハ時代にお世話になった人たちが来てくれる予定だったんで、やりたかったですけどね…」。鈴木博は降り続く雨を見上げ、少し笑った。

 ロドリゲスが故障離脱し、R・マルティネスはキューバ代表に合流するため16日にはチームを離れる。再構築する勝利の方程式の中心に、鈴木博がいる。これが理想。だが、現実は厳しい。復帰戦(3日、巨人戦)でことごとくストレートを痛打された。

 翌4日。出番はなかったが、悩める豪腕に救いの手を差し伸べたのが大野雄と柳だった。練習中の会話で、2人はほぼ同じことを伝えている。「おまえはいったい、どんなピッチャーなんだ?」ということだ。それは、彼ら自身が過去に行き詰まったとき、先輩から問い掛けられた言葉でもある。

 「ヒントはもらいました。でも(現状を)打破するのは自分なんです。スライダーはいい。カットボールも悪くはありません。(3日に)空振り三振を取ったのはチェンジアップです。あとは…。自分をコントロールするのは自分なんですよね」

 自分の現在地を把握し、近い将来に立つべき場所も彼には見えている。誰が見ても鈴木博は強いストレートでねじ伏せる投手である。その球が打たれる現実を「打破」するには、「自分をコントロール」できるようになるしかない。

 1軍の打者は恐ろしい。球速は出ているのに狙い打たれてしまう。つまり、スピード以外の何かが欠けている。制球か? いや、時として投手は忘れるが、彼らの目的はストライクを取ることではなく打者を抑えることだ。球威と制球。どちらもある方がいいに決まってはいるが、威力のあるボール球で抑えることはあっても、威力のないストライクで打ち取れることはない。ストライクがほしいという自分を制圧できたら、鈴木博は勝利の方程式に返り咲く。

 (渋谷真)

 

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