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(なつ)「どうか 皆さんお元気で。さようなら。千遥」。
♪~
(信哉)そっか…。
千遥ちゃん写真も残したくなかったのか…。
(咲太郎)でも この写真があって俺も なつも感謝してるよ。
本当に いい写真を残してくれた。
ありがとう 信。
千遥ちゃんの幸せを祈ることしかできないのかな 俺たちは。
今までと同じだよ…。
だけど これからは確信を持って祈ることができる。
それだけでも うれしいよ 俺は。
そうだな。うん。
なっちゃんは 牛舎にいるのか?
ああ なつは出かけた。
昔の友達に会いに行くって言ってた。
(信哉)昔の友達…?
・(靖枝)陽ちゃん。
(天陽)おう。
(靖枝)はい。ありがとう。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
なっちゃん…なっちゃん!
(天陽)帰ってきたんかい?うん… 久しぶり。
本当 久しぶりだな… 何年ぶりだい?
3年ぶり?そうか… もう そんなになるかい。
天陽君 結婚おめでとう。
うん ありがとう。
お~い やっちゃん!
なっちゃんだ。 柴田牧場の。
東京で 兄貴と一緒に漫画映画を作ってるあのなっちゃん。
ああ! 初めまして。 靖枝です。
初めまして。あの 天陽君とは幼なじみで…。
あ… 祝電を頂いてありがとうございました。
あっ いえ… 仕事で 式には行けなくてすいませんでした。
陽ちゃん うちに上がってもらったらいいべさ。
そだな。 母さんも喜ぶし。
あっ… ううん あのちょっと寄っただけだから。
せっかくだし… ねえ。うん。
(靖枝)ゆっくりして下さい。
(タミ)なっちゃん相変わらず何もないけど 食べて。
わあ… おばさんのそばがき 懐かしい…。
(正治)なっちゃん 牛乳… はもう さんざん飲んだか。
ありがとうございます。
今は 牛が2頭いるんだわ。
もっと数を増やしたいんだけどね。
まだ サイロも建ててないし牛小屋も広げないとな。
それは お前が絵に使ってるからだべ。
お義父さん したって それも大事だから。
分かってるけど…。(笑い声)
ありがとうございます…。
おいしい!なっちゃん 里帰りは初めてかい?
うん… 実は 妹が来たんだわ。
(タミ)妹?
もしかして 千遥ちゃんのことかい?
そう。本当かい!
子どもの頃 別れたままだった妹さんか…。
えっ 柴田の家に来たんかい?
そなの…。
妹は 今度 結婚するみたいでそんで 別れを言いに来てくれたんだわ。
(タミ)結婚するのかい?
妹さんは いくつになったの?
18です。(タミ)そうかい…早いもね 時間がたつのは。
別れを言いに来たって どういうことだ?
うん… 千遥は 今ある人の養女として暮らしててね昔のことは 結婚する相手の家の人には知られたくないからもう二度と会うことはできないって。
(靖枝)そんな…。
(タミ)そういうことで差別されることがあるって聞くからね…。
戦争の被害者なのにな全く おかしな話だわ。
でも 千遥ちゃんには会えたんかい?
いや… 結局 すれ違いで会うことはできなかったけど…千遥の気持ちは受け止めれたし私の気持ちも受け取ってもらえた。
うん… そうか。
そう思う。
東京で なっちゃんは結婚するの?
え? 何言ってんの おばさん。
そったらこと考えてもないわ。
(正治)そんな話はいいべや。
今の仕事が面白くてそのことしか考えてないから。
そんなに楽しいか? 漫画映画の仕事は。
うん… あっ 今度原画を任されることになってねまあ 短編だけど。
そんで すぐ東京に戻らなくちゃなんないのさ。
また しばらく会えなくなるんか。
うん。 で… でも ほらもう寂しくないっしょ。
牛も 2頭に増えたし…。
(笑い声)
うわ! これが 展覧会で入賞した作品?
うん。 こっちが最初ので こっちが去年の。
あっ 私も馬の絵を描いてたんだわ 東京で。
あっ 見たよ 映画。
帯広の あのディズニー見た映画館で…「牛若丸」。
本当… わざわざ ありがとう。
まあ 別に見なくてもなっちゃんが 楽しんで描いてるならそれでいいんだけどね 俺は。ハハッ…。
昔の友達は ありがたいね。
いつまでも応援してくれて。
あっ十勝農業高校の演劇部で一緒だった居村良子さんと 門倉 努がいるべ?
うん よっちゃんと番長?うん。
あの2人が 今青年団で演劇やってんだわ。
へえ~ 本当?
その舞台美術を また頼まれて俺が 背景を描いたんだ。
天陽君もやってんの?うん。
その舞台を 妻も手伝ってたんだわ。
あ…。それで仲よくなって気付いたら 好きになってた。
そう。うん…。
いかったね。 いい人が見つかって。
まあ 結婚して喜んだのは俺より 母さんや父さんだったけどね。
ふ~ん。
俺も いかったと思ってる。
やっぱり 開拓農家の娘だしここでのつらいことも一緒に楽しめるから。
そう…。(天陽)うん。
コーヒーいれましたよ。
(天陽)おお ありがとう。ありがとうございます!
いえ… どうぞ。
頂きます。(靖枝)熱いかもしれないけど。
はい 陽ちゃんも。ああ ありがとう。
頂きます。
おいしい…。
いかった! ハハハ…。
したらな。うん。また来て下さい。
お邪魔しました。
♪~
じいちゃん ただいま。
(泰樹)おお お帰り。
私も手伝う。いや… いいから。
天陽に 会うてきたんか?
うん…。
そうか。
いいお嫁さんだった。
うん。
千遥の結婚もあんなふうになるといいな…。
うん。
やっぱり手伝う。
♪~
じいちゃん…。うん?
もし 私が ここに残って酪農を続けてたらじいちゃんは うれしかった?
そったらこと考えんな。
そったらこと考えるなつにはなってほしくない。
けど じいちゃん…私だって 寂しいんだわ…。
じいちゃん…寂しくて… 寂しくてたまんないんだわ…。
じいちゃん…。
(泰樹)なつ…。ん?
わしだって寂しい…。
お前が おらんようになってずっと寂しい…。
寂しくて たまらん…。
じいちゃん…。
人間は 一人で生きようと思えば寂しいのは当たり前じゃ。
それでも一人で生きなきゃならん時が来る。
誰といたってもだ。
家族といたって一人で生きなきゃならんもんだ。
だから支え合う。
離れていたって 支え合える。
わしとお前は 支え合ってるべ?
うん…。
千遥に会えんで寂しいのはわしも同じじゃ。
ありがとう。
天陽は どうだっていい…。
ハハ…。
そんなこと言わず 天陽君もお願いします。
そうか ハハ…。
♪~
(剛男)念のため 帯広にある旅館を当たってみたんだけど千遥ちゃんの名前はなかったな。
そうですか… すいません。
父さん ありがとう。
いろいろと ありがとうございました。
明日 東京に戻ります。
もう帰っちゃうの?はい。 なつも仕事が忙しいようなので。
実は 私も…。なつも帰っちゃうんかい?
ごめん。 すぐ取りかかんなくちゃなんない新しい仕事が出来て。
あっ 実は 私も 今…。何だかな… 残念だな…。
いや なつだけでも ちょっとはゆっくりできるかと思ったのに!
(富士子)しかたないしょ仕事なんだから。
(戸が開く音)・ただいま。
うん? この声は…。
(夕見子)ただいま。
夕見!おお!
何さ この家は。
女は働いて飯を作り 男は座って飯を待つ。
相変わらず 遅れてますもね。
去る者がいれば 来る者もいる。
なつよ 寂しさを乗り越えて…。
夕見子 お帰り!
来週に続けよ。