【ゴルフ】石川遼、1年3カ月ぶり首位発進 豪雨災害の鹿児島で開催「感謝」2019年7月6日 紙面から
◇日本プロ選手権<第1日>▽5日、鹿児島県指宿市、いぶすきGC(7212ヤード、パー71)▽曇り、29・2度、南南西2・3メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽144選手▽観衆1465人 約3年間ツアー優勝から遠ざかっている石川遼(27)=カシオ=が7バーディー、1ボギーの65と爆発。プロ日本一を決めるメジャー大会初制覇に向け、6アンダーで首位発進した。首位に立つのは昨年6月のダンロップ・スリクソン福島オープン3日目以来、初日トップは昨年4月の東建ホームメイト杯以来。6月にシニア入りした藤田寛之(50)=葛城GC=と韓国の黄重坤(ハン・ジュンゴン)もトップに並んだ。 石川にとっては感謝の6アンダーだ。折り返し直後の1番で第1打をOBにして唯一のボギーを打ったが、それ以外はほぼ完璧な内容。その背景には、大会を支える人たちへの思いがあった。 「こんな中でも試合ができるのは、本当にありがたい」。前週から九州南部を襲った豪雨災害で、会場の指宿市も避難勧告が出され、本来の開幕日だった4日は中止になった。選手の中には開催自体を疑問視する声が上がり、石川も選手会長として「こんな状況の中でやるのは…」という意見を主催の日本プロゴルフ協会・倉本昌弘会長に伝えた。 避難勧告が解除されたことで開催が決まり、大会ボランティアの人たちも出てきてくれた。だからこそ石川は、いつも以上に「ベストを尽くす」と気合が入った。 大会コースは過去に回ったことがなく、雨で練習ラウンドもできなかった。ぶっつけ本番。しかし、知らない所にボールを打たないという危機管理能力が働いた。スタートの10番パー4からドライバーショットがさえ、4メートルのバーディーパットを決めた。続く11番はグリーン奥カラーから3メートルをパターでねじ込んだ。圧巻は2・5メートルにつけた6番以降。8番でも1メートルにつけ、最終9番では11メートルを決めて、4ホールで3つ伸ばした。 指宿でのレギュラーツアー開催は15年ぶり。初日から石川を見たいというギャラリーが集まった。「ボランティアさんやギャラリーの方がここに来る道で何もないことを祈るだけ。今はただ、大会が無事に終わればいい」。災害を乗り越えて行うプロゴルファー日本一決定戦だからこそ、石川には勝つ意味がある。 (大西洋和)
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