フィギュアスケートの世界選手権が3月29日、ヘルシンキで開幕する。来年の平昌五輪の出場枠がかかり、例年以上に注目が集まるけれど、それはひとまず横においておきたいと思う。僕は演技を見るとき、スコアのことは考えず、見たままを感じ、この演技が自分の心にどうタッチしてくるか、に集中している。そういう点から、あくまで僕が見る視点から、今大会の注目ポイントを紹介させていただきます。
■フェルナンデスの個性、チャンのうまさ
僕にとってのポイントは「色気」。単に「セクシー」という意味ではなく、僕が考えるのは心に響いてくる魅力ということ。「色気」にはいろいろな種類があると思って見てみると、違ったフィギュアスケートの楽しみ方を見つけられるかもしれません。
まず、昨季世界王者のハビエル・フェルナンデス(スペイン)。「すごいきれい! 美しい!」というタイプではないけれど、印象に残る。ハビエル自身、大ざっぱというか、ラフな性格だけれど、誰にも愛される個性があって、何を演じても愛嬌(あいきょう)が出てしまう。これはマネしたくてもなかなかマネできない。
ブライアン・オーサーコーチがハビエルをよくわかっているから、毎年違ったジャンルの曲を選んで、彼のよさを飽きさせない形で見せてきたのではないか。結果も出ているここ数年は自信や風格も出てきて、ハビエルは別人のような選手になってきたと思う。
■滑りの細やかさ光るチェンの地力
2014年ソチ五輪銀メダリスト、パトリック・チャン(カナダ)の今季のフリーは好きです。スケーティングのうまい彼はずっと「王道」の選手。プログラムの選曲も王道を外さず、クラシックや米国のジャズが多かったが、今季は「ジャーニー」(カナダの世界王者ペアの男子、エリック・ラドフォードの作曲)、コンテンポラリー系の曲を選んできた。以前、ショーでコンテンポラリー系の曲を滑った時、「すっごく合う。もっとやったらいいのに!」と思っていたので、とてもうれしい。
2月の四大陸選手権を優勝したネーサン・チェン(米国)のショートプログラム(SP)も好き。バレエ「海賊」ですが、「ザ・バレエ」というような有名な曲なのに、あまりフィギュアスケートでは使われない。踊りこなすのが難しいからだと思う。それを17歳のチェンがサラッと滑ったので驚いた。それでいて細かいところまで気を配ってきれいで、色気も出している。フリーは4回転ジャンプを5回も入れているので、まだジャンプに気をとられているな、という印象があるけれど。
目に見えた成長や勢いを感じる選手には得点が出やすい傾向がある。如実に感じたのは1月末の四大陸選手権を制した金博洋(中国)だ。「ジャンプだけ」という印象を変えた。素の良さを引き出すプログラムの巧みさも
シーズン前半戦が終了、いよいよ各国で平昌五輪選考会が始まる。
女子は世界女王エフゲニア・メドベージェワを筆頭に、ここまでは技術力の高いロシア勢が目立つ。前半のハイライト、グランプリ(GP)ファイナル
フィギュアスケートの世界選手権が3月29日、ヘルシンキで開幕する。来年の平昌五輪の出場枠がかかり、例年以上に注目が集まるけれど、それはひとまず横においておきたいと思う。僕は演技を見るとき、スコアのこ
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