【大相撲】対抗馬がいないから… 白鵬がガチガチの大本命2019年7月6日 紙面から ◇北の富士の大相撲展望7日から名古屋場所が始まる。大いに期待してください、と言いたいところだが、どうやらそんな調子の良いことを言っている場合でもなさそうである。既に報道されたように大関貴景勝が休場する。私はハナっから休場するだろうと予想していたので、驚きはしなかった。それでも、直前までは万全宣言をしていたので、あるいは出場もあるのかと思ったりもしたが、師匠の懸命の説得に休場を決めたらしい。 よくぞ、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は止めてくれた。仮に出たところで、先場所の二の舞いであったろう。それどころか、力士生命にかかわるような状態になるかもしれない。 私は、再出場して敗れた先場所の相撲で、さらにけがを重たくしたと考えている。まだ若いからむちゃをする。親方も大変だろうが、この際、じっくりと治療に専念するよう、指導をしてもらいたい。そして、9月の秋場所で再起を果たしてもらいたいものだ。けがさえ完治すれば、10勝はそれほど難しくはないだろう。 それでは、今場所を占ってみたい。毎度のことだが名古屋入りが遅れ、稽古は見ていない。例によって舞の海君や数人の敏腕記者の情報から、私の動物的な感性でまず優勝力士を予想してみたい。先場所は豪栄道と鶴竜を大本命と本命に挙げ、見事に大外れで大いに面目を失った。 それでは発表します。優勝は白鵬。ガチガチの大本命である。 なぜならば、対抗馬がいないのだ。鶴竜は初日を目前にして腰痛を訴えている。高安も以下同文。豪栄道はよほど肩が痛いらしく、稽古ができない状態だと聞いている。残る栃ノ心も膝に水がたまり、稽古不足らしい。さらに貴景勝が休場とあっては、既に白鵬の優勝は決まったも同然ではありませんか。 白鵬にしたって、それほど稽古をしているとは思えないが、出てくる以上は自信満々であるのは間違いない。上位陣は、既に述べたように病人やけが人ばかりである。とても優勝候補に推せるわけがないではないか。 残るは若手の奮起しかない。中でも御嶽海は優勝も経験し、三役も既に十数場所連続で務めている。意欲的に出稽古を敢行するなど元気らしい。しかし、稽古では相変わらず、それほど強くないらしい。本場所で勝てば文句はないというのが彼の持論のようだが、そんな甘い考えでは大関昇進もいつになることやら。もっと若手力士の先頭に立つ意識を持ってもらいたい。苦言ばかり書いたが、優勝を狙ってもらいたい。可能性は十分にある。 玉鷲も優勝経験者で、実力者でもある。白鵬を恐れぬ気力もある。突き押しが決まれば、彼にもチャンスは十分だ。 先場所の覇者・朝乃山は大いに期待したいところだが、今場所は勝ち越すだけでも十分である。出稽古では白鵬の張り手を食らい、脳振とうを起こしたと聞いた。本場所の土俵で借りを返すくらいの相撲を見せてもらいたい。 こうして何人かの優勝候補を挙げてはみたが、どうも説得力に欠けている。白鵬に独走を許さぬよう、対戦する力士たちの頑張りに期待するしかない。 幸い東西の新小結、阿炎と竜電はけがもなく元気で稽古に励んでいたようだから、勝ち負けを考えずに思い切り暴れてもらいたい。若手はそれで十分である。 令和になって初めての名古屋場所だけに、もっと景気の良いことを書きたかったが、現実は厳しい。白鵬が43回目の優勝を遂げる色が濃くなってしまったが、簡単にそうさせてはいけない。白鵬も人間である。絶対はない。今場所が面白くなるもならぬも、白鵬と対戦する力士の双肩にかかっている。暑さに負けず、夜の錦をウロウロせずに頑張ってもらいたい。 私は62年目の名古屋となる。あと何年来られるか分からないので、せいぜいうまいものを食べ、きれいな女性の尻でも追っ掛けようと意欲満々である。既に名古屋入りしてから2度もウナギを食っている。うまいステーキも食べた。今年は、名物にうまい物なしと言われているが、みそカツや煮込みうどんも食べてみよう。きしめんは、もう何十年も食べていない。今夜はあっさりとしたものを食べようと思う。そうだ、きしめんにしよう。 それでは15日間、よろしくお願いします。 (元横綱)
|