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牧師からのメッセージ


聖書と日本の美


わたしはあなたがたに言います。

自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもになれるのです。 天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。 自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょう。マタイ5:43~46

上記の聖書の言葉はクリスチャンでない方にも良く知られています。一般的には、「自分の敵を憎め」ですが、イエス・キリスト様は、「自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」とおっしゃっています。 なぜなら、「天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。」とおっしゃって、全ての人に対しての優しさを示しておられます。 このイエス・キリスト様のことばを無意識に実践している歴史が日本人にはあるのです。

例えば、歴史を振り返ってみますと、有名なのが上杉謙信と武田信玄の川中島の戦いにおいて、謙信が敵である信玄に必要な塩を送ったという話は有名です。まさに敵を愛する行為と言えましょう。 日露戦争時、勝利した乃木希典は、ロシアの戦死した兵隊の鎮魂碑を建てました。それから2年後に日本兵の為の鎮魂碑を建てているのです。 現代感覚から見ると逆なのではないかと思われます。しかし、彼にとっては、正々堂々と戦った相手を大切にするといった、日本の武士道の精神に従ったと思われます。 こんなところにも「自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」と言う言葉が実行されているのです。

1924年2月ジャワ島北で日本艦隊と連合国艦隊15隻との間で海戦がありました。英巡洋艦と英駆逐艦が沈没し、乗組員400数十名が漂流し生存限界に達ていました。 そこを偶然通りかかった日本の駆逐艦「雷」が発見し、艦長の工藤俊作は直ちに救助活動をして漂流者422名を救助したのです。しかも艦長は、英国海軍の全員を甲板に集め、英語で「本日。貴官らは日本帝国海軍の名誉あるゲストである」と健闘を称えたのです。
「雷」の乗組員が220名のところ422名の敵兵を救助したのです。敵兵が一隻の船に約二倍いることは、非常に危険状態でした。しかも軍艦には食料、水等の制限があり、乗組員の危険を冒してまでも敵兵を救助したのは、艦長の英断でした。 それに比べ、アメリカの日本本土空襲は、60余の都市の一般人への攻撃でした。焼夷弾による空襲や広島・長崎への原爆投下は民間人の大虐殺でした。民間人への攻撃は国際法で禁じられているで犯罪です。道徳観も無視し、数十万の民間人を虐殺したのです。
そんなアメリカに対して、1945年4月に当時の大統領ルーズベルトが急死したとき、当時の日本の首相・鈴木貫太郎は敵国に労りの弔電を送っているのです。 日本はこんな美感を持っているおかしな国です。でも、そんなおかしな日本と言う国は「敵を愛す」「敵を赦す」と言う最も難しいことを実行している民族でもあるのです。

私はこんなおかしな国に生まれた事をこの上もない喜びと感謝しています。しかし、日本の戦後は欧米化され、精神的な事を無視し、物質的・合理的にしか考えられず、心に余裕も信念も失われ、次に起きて来るのは争いや戦ではないかと心配しています。

日本人の中にある美しさを再発見し、平和な国日本を創り上げていきたいものです。

このページの公開日・更新日

公開開始日 2019年4月26日