【ドラニュース】【龍の背に乗って】ロメロためて打たれる「最悪」回避しなきゃ2019年7月5日 紙面から
先発のロメロは4イニングで7与四球。これ以上見たいとは思わなかったが、日本記録ペースではあった。 「エッ! 16? そんなのがあったの? 試合に出てた? いや、覚えてないわ…。そうか。途中までなら今日もそんな試合だったんだ」 伝説が生まれたのは1994年7月1日。近鉄の野茂英雄が1試合16与四球の最多記録を塗り替えた。毎回与四球。三振か四球か。トルネードが吹き荒れるのは、なぜか宿敵の西武戦が多かった。このときも当時西武の伊東ヘッドコーチは出場していた(四球はなし)が、記憶からはスッポリと抜け落ちていた。 「なぜ同じ相手にやられるのか。(球種を)そろえているからでしょ。毎回、ミーティングで話し合っているのにそれができない。僕も守っているときは最悪を考えて配球していた。満塁。仮に歩かせても1点。最悪のケースを考えていたのかってことですよ」 坂本勇に5球すべてストレートを投げ、フルスイングされた。前回の対戦(6月2日)でも2発を浴びている。ロメロと坂本勇の対戦は10打数4安打、3本塁打、7打点。なぜ最悪を回避しない。この言葉はロメロ、加藤どちらにも向けられている。 「行き当たりばったりじゃダメ。(坂本勇も)そういう打者じゃないでしょ。最小限を用意しておかないと」 25年前の野茂が伝説となり得たのは、16個も四球を出したからだけではない。代名詞の三振こそ8にとどまったが、5安打、3失点。完投勝利を飾ったからだ。ベンチにタオルを投げさせない執念。走者がたまっても打たせない気迫。蒸し暑かったであろう西武球場で、191球を投げきった。ためて打たれる。誰が考えたって「最悪」だ。待っているストレートを投げたがるのは勝手だが、3発浴びればわかるはず。「もう後半戦は始まっている。ここからの負けは取り返しができない」。伊東ヘッドのもどかしさが、僕にも伝わってきた。 (渋谷真)
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