[香港 3日 ロイター] - 動乱の香港で、抗議活動をする若者らに混じり、旧宗主国である英国の国旗を振る銀髪の老婦人がいる。「ウォンおばあちゃん」こと、アレクサンドラ・ウォンさん(63)だ。
香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する抗議活動が行われている。この中でウォンさんはデモの最前線に立ち、警察と対峙(たいじ)する。
英国旗は、香港からほど近い深センで買った。「中国国旗しか見せてくれなかったので、英国旗はあるかとこっそり聞かなくてはならなかった。すると、奥から出してきた。聞かないと出て来ない」
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最近のデモで、一部の抗議者らは英国旗を振るようになり、暴徒が乱入した議会でも広げられた。
ウォンさんは言う。「植民地時代が懐かしい。とても良い時代だった。未来を見た」
香港で最も貧しい地域の一つである深水ホ(シャムスイポー)で育ったウォンさん。住宅市場の高騰により13年前、深センに移り住んだ。「もちろん、深センには住みたくない。いつも悲しくなるが、香港には住めない」
抗議運動のために香港へ来るのは、往復5時間かかることも。交通費は100香港ドル(約1380円)以上もかかる。民主主義を支持するTシャツを着て行くが、本土へ戻ると、監視を逃れるため普通の服に着替える。
「私には子どもがいない。だから何も怖くない」とウォンさん。「私は誰も心配してない、香港の若者の未来だけが心配だ」
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