岐路に立つ香港、抗議続けば一体化加速と中国政府がメッセージ
Bloomberg News- 香港は流動化したり内部で摩耗したりしている余裕はない-人民日報
- 暴力行為はデモ隊の信頼性を損ねる可能性-全球化智庫の王輝耀氏
香港での1週間の混乱を経て、明確なメッセージを中国政府は決めたようにみえる。抗議活動が続けば、香港を特別としている全てが失われるリスクがあるとの内容だ。
中国共産党の機関紙、人民日報は1面の論説で、香港の立法会(議会)に1日に突入した抗議参加者を「極端激進分子」と非難。こうした行為は経済・社会的発展を妨げ、「国際的なビジネスの中心地としての香港の評判を損ねる」恐れがあると論じた。
こうした論調は、一段と豊かになって力をつける中国が香港を飲み込もうとしているという香港市民の懸念に訴える。一部のデモ参加者が破壊行為に及んだことに触れる中国政府からのメッセージは、懸念される状況は抗議活動によって、むしろ加速する可能性の方が高いというものだ。
「グローバル経済の状況が根底からの調整を経験し、国際競争が一段と激しさを増す中で、大きな課題に直面している香港は流動化したり内部で摩耗したりしている余裕はない」と人民日報は記した。
立法会に入ったデモ参加者(7月1日)
中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する抗議活動は、一般市民のみならず企業からも広範な支持を得て、改正案を審議停止に持ち込んだ。英国から中国への返還22年となった1日、数万人が立法会の周辺で毎年恒例の抗議活動に参加したが、夜になって一部のデモ隊が立法会を占拠し、警官隊と衝突する事態となった。
香港のテレビ局TVBは3日、立法会占拠に関連し警察が少なくとも13人を逮捕したと報道。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは4日、さらに数十人の容疑者が特定されており、「近く」次々と逮捕される見込みだと、法執行関係者の話として伝えた。
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官(7月2日の記者会見)
北京のシンクタンク、全球化智庫(CCG)を創設した王輝耀氏は「抗議活動参加者は今、モラル的に優位な立場を失うリスクに直面している」と指摘、「これが転換点になるかもしれない。こうした暴力行為はデモ隊の信頼性を損ねる可能性がある。欧米社会の誰もが、抗議活動を擁護するのは難しくなるだろうし、この活動を支持した人々も敬遠するようになるだろう」と述べた。同氏は中国国務院に助言している。
原題:Beijing’s Message to Hong Kong: Get in Line or Face Irrelevance(抜粋)