誰?
ドワンゴに2014新卒入社してwebエンジニアやってた人です
とか書きました
保守性のある設計が得意で、途中からwebフロントエンドに特化する生存戦略をとってました(今思うとこれは自分の市場価値を上げる面では失敗でしたが)
これは何?なんで書いた?
僕が鬱病になる過程と闘病記みたいな感じです
2019年2月にドワンゴを休職したので、これを残すことで自分の心を整理し、少しでもこういう病気や精神が狂っていく人への理解が得られれば良いなと思って書きました
完全に自分語りなので、「人間のバックグラウンドにはこういう事もあるんだな、周りの人もつらいバックグラウンドを抱えているかもしれないな」と思ってもらえればいいです。この記事から僕の落ち度や弱い点を探してマウントを取ることはやめてください
あと大量の 退職・入社・退職しませんエントリ がある流れに乗って休職エントリがあってもいいかなと思った、という感じ
- https://gist.github.com/masarakki/510f77fa1e0cd602241b577f212f8bc5
- https://anond.hatelabo.jp/20190701083530
- https://anond.hatelabo.jp/20190701151446
時期は忘れ気味で不正確だったりするので許してください
5年間で会社組織に食らった恩と恨みは腐るほどありますが、書いても仕方ないのでほとんど割愛します
先にまとめておく
なんで鬱病になったかというと、
- 遺伝と子供のときの環境 20%
- プライベート 40%
- 会社 40%
という感じだったと分析しています
遺伝や育ちは
- 子供の頃に親がしょっちゅう喧嘩していて最終的に離婚した
- 父親がアルコール依存症だったこと
- 小中学の同級生にいじめられて脳が変質したであろうこと
- 中学時代からことあるごとに鬱っぽいこと
プライベートは
- 一向に彼女ができないこと
- 精神的にゲームやカフェインやアルコール依存症になっていったこと
会社は
- 自己評価と会社からの評価がどんどん乖離していったこと
などが、今思う一因でした
ここからはだいたい時系列で書いていきたいと思います
2014年〜
最初の2年位は平和でした
自分の能力もそこまで高くないと思っていたので、勉強したり新しい技術を勉強したりしつつ普通にやっていました。給与は上げたかったが、そこまで欲望は強くなかったです
恋愛についても興味がなくて、周りも似たような独身男性の同期ばかり。会社の数値も上り調子。この頃がある意味一番幸せでした
2015
親戚や同期が結婚していったりして、自分もそろそろコイカツしないとなぁと思い、マッチングアプリとか、街コンをやります
結果得られたものは、何人もの女性からの唐突な連絡の失われでした。自分は失礼なことは多分全くしていないはずなので本当に解せませんが、ドデカイ恋愛市場に自分を投げ込むと、この程度の価値でしかないんだなというのがよくわかりました
ここで学習性無力感を獲得して恋愛を諦めることになり、こじらせ続けて無意識のうちに自己正当化してくれる理論を求めて反出生主義になり、出生主義者と喧嘩したりしてました
この頃から(世間一般的な目で見ると)精神異常者への扉を叩き始めました
仕事の面では、レガシーコードのおもりをいつまでもしていることに疑問を感じてきました。この頃の仕事はレガシー事情のせいで効率が非常に悪かったです
2016
仕事がつらい、恋愛できないこともあり、スプラトゥーンにハマっていきます
つらさを紛らわすようにゲーム依存になって、大声で叫んで大家から電話が来るなどの失態も犯しました。最終的にこれじゃヤバいと思って1年後くらいにディスクを売ることになりますが
漠然と「勉強していい大学に入ってそれなりの就職をすれば、普通の幸せを手に入れて良い結婚もできて人生は成功していく」と思っていたことが現実として揺らぎ始めた時期でもあります
肉体の面でも、まず目のまぶたが何ヶ月も痙攣するなどの異常が肉体に起き始め、そして眠れなくなりはじめました
スリープクリニックに通ったのを覚えています
また、体調が悪化気味だった理由は、引越し先のシェアハウスの環境が悪かったのもあると思います(シェアハウスに誘ってくれた友人を責める気は全くありません。入居を決めた自分の責任です。総じて楽しかったです)
エアコンがなくて、室温が夏37℃・冬5℃くらいになってましたし、日光が差さない部屋でした
エアコンのある部屋の同居人と部屋を開け放して空気を送り込んでもらって寝たりしてて、それはそれで楽しかったです
でも健康でいるために居住環境は大事です
今のままではいけない、モテるためと健康になるために始めた筋トレとランニングにハマり、24時間ジムに行き始めました
結論から言うと2年ほど続いて、肉体は10kgほどガタイがよくなりました
2017
ニコ生のコードの刷新をしたりしてました。仕事の能力面で中堅としての自信がついていきます。この辺から自己評価が高まっていき、会社からの評価と乖離していった気がします
プライベートでは、よくしてくれた親戚が死んだり、かわいがっていた実家のネコが死んだりしてショックを受けました。生き物って死ぬんですね。考えたこともなかったです
つらい気持ちをけものフレンズに救われ、ハマっていきますが、たつきショックで精神状態が悪化しました。「人間はいつまでも原因不明なことにストレスを感じる」と言いますが、けもフレのゴタゴタもまさに数年に渡ってそうでした
金については、親や祖母に仕送りしたりしている状態も考えて、「こんなんじゃ人生変わんねー」と思いつめて、12月の仮想通貨バク上げ相場に参戦したりしてました。バカですね。でもそのくらい毎日の疲れで自分を見失っていました
たしかこの頃に鬱が悪化し始めて、冬に隅田川の橋から落ちそうになるくらい死にたくなっていたのを覚えています
ツイッターですごくくだらない喧嘩しまくっていたのもこの頃だった気がします
また、この頃までに知っている人がどんどんやめていっていました。「会社が給与さえ潤沢に出していれば引き止めれる人も多かったのではないか。現場にとってケチった給与以上の損失だとわかっているのか」という思いでイライラしました
ただ余談ですが、 https://meso.github.io/post/farewell-dwango/ にあるように僕も「経験豊富なエンジニアが抜けるとその分社内における自分の価値が相対的に上がるのでは、という打算」の戦略をとり、居残ることにしました。これが成功したのかは、あまり時間が経っていないこともあり今でもわかりません。今の月給は35万5千円です。新卒の頃の1.26倍です。僕にとっては「5年間でお前は新卒の1.26倍しか価値がない」と言われている気がしてつらいです
僕があまり成功していない気がするのは、mesoさんの役職には希少価値があるが、僕の役職に希少価値はないというのもあります。会社のネームバリューで優秀な新卒や中途が無限に入ってきて1年程度で一定レベルに向上してくれるので、お前の代わりはいくらでもいるんだよ状態(というふうに会社からは見えている)なのが、釣ったエンジニアに対して会社が強気な原因かなと思っています。給与は能力の総量じゃなくて需要と供給で決まる。仕方ないね
僕も人生がうまくなりたかった…
2018
まず年初に仮想通貨で最終的に多分60万くらい溶かしました。当時はショックでしたが、相場の変動で損をしたそれ自体はいいです。コインチェックが僕の金をおめおめと盗まれたことが許せなくてそちらの方が精神状態が悪化しました。金を盗まれるって精神に悪いんですね
大金でギャンブルすることの怖さを身をもって知ったので、「会社で真面目に働こう…」という思いが強くなり、今思うと極端にそう振れたのも、その後の仕事に打ち込み過ぎの原因になって良くなかったと思います
仕事について、2014年に会社が nicocas というサービスをやって3日で撤退した(ニコキャスとは (ニコキャスとは) [単語記事] - ニコニコ大百科)のですが、どうやらまたリニューアルでやるとかいうので、僕に声がかかりました
- 「ニコ生よりこっちに行ったほうが給与は上がるだろう」
- 「社内サービス同士で競合し続けるはずはないから、いずれニコ生と一緒になるだろうし、一緒の技術で揃えよう。それならば自分がやるのが全体最適だ」
という思いで、引き受けました
ドワンゴには、「保守よりサービスリリースのほうが評価しやすい」という悲しき事情があり、「今はそうならないよう保守も正当な評価を受けるようにしている」と聞きましたが、部署によると思いますし、大まかに保守が評価されにくい傾向は今も残っていると思います
この頃、「自分は鬱病なんじゃないか」という疑惑が確信に変わりつつあり、6月に心療内科を受診しました。今でもそこを受診しています
7月に引っ越しもして、日光とエアコンという人権の得られる部屋になりました
人権は大事です
またスプラトゥーン2に逃避しすぎてまたゲーム依存症になっていたことに気づいたので、これも売って仕事に専念することにしました
少し精神状態が改善した気がしたので、この炎上気味のプロジェクトを自分比でめちゃくちゃ頑張って、みんなでなんとか期限内のリリースにこぎつけ、その後もしばらく頑張りをやっていましたが、いつまでも生とcasの偉い人2人体制が変わらず、サービスが今後どうなるのか全く不明な状態が長く続きました
サービスがどうなるかわからない、というのは精神に悪影響を与えます。秋までに有給を使い切るくらい体調は悪化していました
また、あれだけ僕が何も得られなかったマッチングアプリで、同期が何人も結婚まで持っていったという情報が入ってきたりして、自分と彼らを比べてしまってコンプレックスがこじれていきます
人間というのは、あまりに違う世界の人間にはコンプレックスを感じず、比べる共通の基準がある人間に感じるそうです。「同じ会社にいた同じようなレベルの人間」と見なしていた人たちに差をつけられていくのが理解できなくて苦しみました
毎日つらく、眠れず、心療内科に睡眠改善薬と強い睡眠導入剤をもらいました。この睡眠導入剤が面白おかしくラリれることに気づいて、いわゆる薬物乱用もするのですが、ツイッターに見に覚えのないことを書いたり、作ったコンタクトを1日でなくしたりして、怖くなってやめました
評価面について、この時期に完全に自己評価と会社からの評価が乖離しているように感じており、そこに精神上折り合いがつかなくなってきました
詳しくは省きますが、評価テーブルに書いてあるランク定義を明らかに仕事でやっているのに、そこに位置づけてくれないし、ぼくは会社にとって「半人前エンジニア」らしいです。これにはプライドを傷つけられ続けて、上司にも言ってあったのですが12月の評価でも少ししか変わることはありませんでした
また、二期連続で2人の上司から「会社の経営状態が悪いから本来よりあんまり上げれませんでした」と言われて、会社への希望が霧散していきました
時期は忘れましたが、家族が倒れたとか難聴になったとかということもあり、更に人生の不安要素が増してきました。一人は寂しいとか帰りたいとかつぶやいていた気がします。完全に東京に消耗して人生に疲れていました
2018年の後半には、完全に自分の心がコントロールできなくなってきて、社員の些細な言動にslackでしつこく追求したりする危険人物になっていました
鬱病に伴う不安障害と、アルコールの量が増えたのと、1日3Lくらいのお茶コーヒーを飲むくらいカフェイン依存になっていたのと、薬の副作用(飲んでいたサインバルタはノルアドレナリンが増えるのでイライラする人がいるらしい)などが原因と思います
2019
徐々にサインバルタの服薬量は増やされていったのですが、全く病状は改善せず悪化の一途をたどりました
15時に起き、布団の上で6時間ほど腕一本動かせず、夜に出社して、歩いて帰り、不眠で朝10時に眠る、みたいな生活になっていきます
帰ってきたらすべてを忘れるために頻繁に泥酔するまで酒を飲んでいました
筋トレもできなくなっていました。筋トレしていたら鬱病にならないなんて嘘です。確率を下げますが、なるときはなります。2年以上、週3くらいでクリスマスまでジムに通っていた自分が断言します
常に頭の中が自分への仮想敵対者への反論でいっぱいになっていきました
2月上旬についに1日じゅう体が動かず出社できない日がでてしまい、もうだめだと思って主治医に相談し、休職診断を下してもらいました
このとき、生放送のwatchページの大きなリファクタリングをやらせてもらっていて、大まかな設計と実装が終わって心が限界を迎え、
これって燃え尽き症候群?自分が燃え尽き症候群になっていないかどうか確認する4つのチェックリスト : カラパイア
にあるように、燃え尽き症候群にもなっていたのだと思います
休職後
5月くらいまで毎日がとにかくつらかったです。i☆Ris のライブとプリパラのフレンドシップツアーがなければ本当に死んでいたかもしれません。
関係ないけど、アイドルを好きな人を馬鹿にする人がたまにいますが、じゃあお前が代わりに同じ救いや楽しみを提供できるんか?という感じです。あらゆる娯楽に対してそう思います
休職してすぐ、決算の大赤字報告にとてもショックを受けました。僕は偉い人を信用していたのが裏切られた気分でした。偉い人が忘年会やことあるごとに「今度こそ本気で儲ける」って言ったことを、ナイーブな僕は本気で信じて期待していたということもあるでしょう。そもそも僕より圧倒的に高給を貰っている有能なはずの偉い人の肝いりの案件がことごとく失敗しているのは僕の中で理解できないことでした。
「前回の大量退職後にそこそこの給与で雇ったエンジニアの活動はだいたい技術的に成功してるのに、更に高給を貰っている経営がなんで失敗する?」という思いでいっぱいでキレてました
そして偉い人が変わるのですが、そこで「社員が本気を出していなかったことになります」という文面が書かれた全社メールが送られてきて、僕は完全に発狂しました。僕は間違いなく本気を出していました。燃え尽き症候群になるほどに。初めて3日ほど連続で怒りが収まらなくて、しまいには手足がビリビリ痺れてきてヤバかったです。今もアレは許していません
さっきけものフレンズに触れたのでまた書きますが、この時期にけものフレンズ2を見たり、延々と新しく発生する場外乱闘を見て、「なんで会社も けものフレンズも 全体最適が分からないんだ?」みたいに、重ね合わせて ひたすらつらくなっていました
「俺はもうダメだ。助けてくれ」と母親に泣きついて電話し、帰省したのですが、病気のことをよくわかっていない家族とも揉めたりしました。
このときに「親を本気で殺す」事を考えたことから、薬の副作用で明らかに憎悪を抑えられなくなっている事に気づきました。世の中の異常者も薬でそうなっているだけかもしれません
家族については、今では徐々に理解してくれるようになったので良かったと思います
そして今に至ります
ぶっ壊れてわかったこと
- 精神の病気で肉体にも症状が出る
- 人間は簡単に依存症に突入する
- ぶっ壊れると治るのに時間がかかるし、壊れる前には戻らない
- 完全無視するか、全く変わらず接してくれる人が一番ありがたい
- 「○○をしていれば鬱病にならない」は嘘
特に最後の項目について言いたいのは、体調管理と精神の調子は、互いに原因であり結果であるサイクルであり、そこに内因や外因が作用するものだということです。つまり、遺伝的に唐突に精神疾患になることもあるし、外的な精神ショックが始まりで体調管理ができなくなって悪化サイクルに入ることもあります。メンタル強者がメンタルを壊した人について これを分かっていないトンチンカンな感想を残しているのを見たときに非常にイライラしたし悲しくなりました
鬱を改善するために自分が効いたと思うこと
ひたすら時間をかけて
- ネコを撫でること
- 朝に光を浴びること
- 薬の作用と副作用に意識を傾けて把握すること
などをして、ほんの少しずつ体力と気力が回復するのを待っていました
最後に
今回、脳と体がぶっ壊れたのは自分を見つめ直すいい機会になり、今後の人生を壊れず続けるためのいい勉強になったと思います。また、いわゆる社会的弱者に転落したことで、弱者の気持ちが少しわかるようになりました
ドワンゴについては、知っていることだけを述べると、ニコ生の現場はとても環境が良いです。印象を悪くしたら申し訳ないですが、ドワンゴ自体はいい現場を持つ会社だと思います。上の方は知らないですが
ぼくにも「学生時代から付き合ってる彼女(💢)」がいたりしたらここまで壊れなかった気はしてるし、鬱病の回復エッセイとかでそういう存在が出てくると速攻で閉じるくらい羨ましいのですが、今回僕が回復するにあたって友人や家族や実家のネコが多大な役割を果たしてくれたことを考えると、それを持っていない人からすると僕も恨めしい対象なのかもしれません
人間は自分が持っていないものを他人が運良く手に入れていると羨むんだと思います
いまは復職に向けて体力を回復しています
よろしくおねがいします