なぜ、相手が韓国になると日本の報道は歪んでしまうのだろう。もっと冷静に事実を報道して欲しいものだ。
今回の「韓国に対する輸出規制」に関しては、メディアは『半導体材料を“事実上の禁輸”』『対韓輸出規制を発動』などと、勇ましく報道している。それと同時に、記事では、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった指摘もしている。
果たしてそうだろうか。
私は以前、経済産業省で貿易管理の責任者だった。その経験を踏まえれば、こうした誤解に基づく報道には首をかしげてしまう。こう指摘すると、経産省の代弁、もしくは擁護ととられるかもしれないが、それを恐れずに、正確な理解の一助になることを願ってあえてコメントしたい。
以前の手続きに戻すもので「輸出規制発動」ではない
まずそもそもこれは、韓国に対して新たに「輸出規制を発動」するものではない。韓国向けの輸出について、2004年から特別に優遇して簡略化していた手続きを、2003年までの普通の手続きに戻すものだ。簡略化した手続きとは、3年間有効な「包括許可」を得れば、いつでも輸出できるというものだ。本来は、輸出の契約ごとに「個別許可」が必要だ。私が担当していた2003年当時は、韓国への輸出は個別許可が必要であった。まさにこの時の手続きに戻すのが今回の措置だと言ってよい。
また、輸出に際して「個別許可」が必要なのは、輸出管理の世界では国際的な原則で、特別に信頼できる相手国についてのみ、「包括許可」による手続きの簡略化が認められている。この対象国を、日本の制度では「ホワイト国」と呼んでいる。2004年にこの「ホワイト国」に韓国が追加されたのだ。
なお、この個別許可について、一部の報道では「出荷ごと」に許可が必要となり、日々、工場から韓国に製品を出荷しているようなビジネスが停滞してしまうというような報道によって、輸出企業の現場は混乱しているようだ。これは誤解で、個別許可は”契約ごと”に必要で、一契約で何回にも出荷を分ける通常のビジネスは当然、一度個別許可を得ていれば出荷ごとに許可を得る必要ない。
コメント113件
くろ
つまり、これで大騒ぎしている韓国外交部は、情報源がマスコミってことか…。そりゃ外交失敗するわなぁ。
この先、いろいろと、韓国はこの件を引き合いに出してくると思うけど、わざわざ向こうから失点してもらうというゲームになりそうだねぇ。
やらかしまん
面白いのが大韓民国の報道もまるで日本が輸出禁止措置を取るかのような内容だということ
そして日本側は現実として何も報復措置を取っていないのにまるで大型対抗措置を発動すると勘違いしている日本人が多いこともちょっとビックリ
Darth Vador
Jedai Master
実際、実態がご指摘の通りとして、その通りなんでしょうが、日本政府はなぜ客観的事実を世界に向けて発信しないんでしょうか。発信しているようには見えません。逐一報道を見ているわけではありませんが、、、、まさか、何も言わなくても世界は分かってくれ
る、などというおめでたい考えでいる訳ではないでしようね。嘘を言われても反論しなければ何も知らない第三者は嘘を「ふうん、そういうことなのか。」と頭に焼き付けます。焼き付いてから「いや実はこうなんだ。」と言っても、焼き付いた嘘を引き剥がすことはなかなか出来ません。かえって「何を今更言い訳がましい。」と逆効果になりかねません。この観点で、日本は情報の発信、管理に関して全くの無能です。日本に非好意的な人を大量生産してますね。...続きを読むまた韓国側が「待ってました」とばかりに日本を攻撃する材料にするのは見え見えにも関わらず、「執行猶予」もなく発動するとは、、、呆れます。
マスコミ、報道のひどさも相当なものです。本件だけでなくあらゆることで事実が何かを確かめもせず、たとえ確かめても、発言を切り取って騒ぎ立てているようにしか見えません。三流タブロイド紙ならともかく、一流と目されている「はず」の各紙もそうですから。
K
非常に分かりやすいコメントでした。日本政府はもっと情報発信すべきと思いました。そして、せめて日本のマスコミは、責務としてしっかり真実を報道すべきだと思います。
Acchie123
なし
細川氏の解説で、今回の件が、純粋に貿易管理上の問題への対応であり、氏が伝聞の形で言及している「輸出管理の協議」のための打診や交渉が先行していたが、結果は不調であることが推測された。いずれにしても、いわゆる「徴用工判決」自体への「報復措置」は
、どの時点であっても日本政府には、「日韓協定」の趣旨からも不可能であり、他方、日本政府による何らかの「報復」は、(その理由が何であれ、韓国側によって)日本籍の企業に「実害」が生じたなら、むしろ、政府の義務として措置しなければならないはずのことである。しかし、今回の件についての報道では、「報復」という字が躍っており、小生、政府は何という軽率なことを!と感じ、特に、「終え方」をどうするのか、と思った。どうも、非常にタイミングの悪い時点で取らざるを得なかった措置のようであることが、細川氏の説明でわかった。この点に工夫はなかったのかとは思うものの、ともかく、韓国側が、輸出管理の協議に「誠実に」対応することで、措置終結への期待を持つことができることではある。ところで、コメントを拝見していても、現段階では、「徴用工判決」に付随しての日本籍企業の「原告団」の請求は未達なのだから、日本政府が「報復」を発動できる条件が満たされてはいないことを明確に意識できているものが多くはなかったことが残念ではある。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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