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【社会】

「属性による差別は許されぬ」 不正入試問題1年 東京医大学長に聞く

インタビューに答える東京医科大の林由起子学長=東京都新宿区で

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 東京医科大(新宿区)を舞台にした汚職事件で文部科学省前局長が逮捕されてから四日で一年となるのを前に、同大初の女性学長となった林由起子氏(57)が本紙の取材に応じた。捜査の過程で女性や浪人生を差別する不正入試が発覚し、他の大学でも同様の不正が相次ぎ判明した。林氏は「属性による差別は許されない」と話し「多様な背景を持つ医療者が生き生きと働ける職場づくりを目指す」と述べた。 (原尚子)

 事件で臼井正彦前理事長と鈴木衛前学長が贈賄罪で起訴された後の昨年十月、林氏は学長に就任した。公の場に登場するのは同十一月の就任会見以来で、インタビューに応じるのは初めて。

 不正入試について「寝耳に水、まさかと思った」と述懐。「これまで入試が一部の人たちで実施され、自分も含めた多くの教員が入試のあり方について注目していなかった」とし、「本来入試はどういう学生に来てほしいかを考える一番大切なもの。重みを意識する必要がある」と述べた。

 同大では九年前に設置した「ダイバーシティ推進センター」で、女性の離職防止や復職支援の活動を行ってきた。だが、入試での女性差別の背景として、出産・育児などでの女性の離職が挙がり、離職防止などの活動との矛盾が指摘された。

 林氏は「残念だ。問題の根深さがある」とし、「属性にかかわらずみんなが働きやすい環境をつくることが、患者さんに笑顔で接することにつながる」と述べた。

 本年度の入試については「三百六十度どこから見ても公正な入試ができたと自負している」と説明した。

<医学部の不正入試問題> 文科省の私大支援事業を巡り、文科省の前局長が東京医科大に便宜を図る見返りに息子を合格させてもらったとする贈収賄事件をきっかけに発覚。その後、同大では長年、女子や浪人生に不利な得点操作をしたり、特定の受験生を不正に合格させる不正入試が行われていたことが分かった。同大は一昨年と昨年に不正に不合格となった44人(うち女性29人)を今春の入試で追加合格させた。

 

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