@chablis777
シャブリ

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(なつ)ねえ 千遥…お願いだからそこで待ってて。
今すぐ行くから…。
どうしても 千遥に会いたい…。
(千遥)分かりました…。
私も… 会いたいです。
なつは 13年ぶりに妹 千遥の声を聞きました。
千遥…。
(咲太郎)じゃあ 母ちゃん 行ってくる。(亜矢美)うん。
帯広の信さんとは つながった?
さっき つながった。 話したよ。明日の朝 会いに行ってくれるって。
はい お弁当。
あんたたちもね 急いで…ていうか まあ ほどほどにねまず 気を付けて 行ってらっしゃい。
行ってきます。うん。
行ってらっしゃい。
なつと咲太郎は その日の夜行で北海道に向かいました。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(一同)頂きます。
(富士子)千遥ちゃんの好きなもん分かんないからなつの好きなもんばっかり作ってしまったわ…。
口に合うか分かんないけど 食べてみて。
ありがとうございます。 頂きます。
頂きます。
おいしい…。
とても おいしいです。ハッ… よかった。
(泰樹)それで いつ なつはこっちに着くんだ?
(照男)今夜の夜行に乗るんだべ?(富士子)そう言ってた。
(照男)上野から青森まで半日以上かかるからな…明日の午前中に 青森に着いたとして…。
(砂良)それから 青函連絡船に乗って5時間ぐらいかかるからね。
明日の夕方までには函館に着くってとこかな。
(剛男)帯広までは 半日以上かかるから着くのは あさっての明け方んなるなどんだけ早くても。
ごめんね 千遥ちゃん。そんぐらいは かかってしまうわ。
千遥は 待つと言ってんだ。
そったら心配することねえべや。 なあ?
お義父さん千遥と呼ぶのは 少し早すぎませんか?
随分なれなれしく感じますけど。
なつは なつ千遥は 千遥だべ。
家族が いちいちちゃんとか さん付けて呼べるか。
私は 半年間 砂良さんでした…。
ああ… そりゃ すまんかったな。
僕は いまだに剛男と呼ばれたことがありませんよ。
いつも 「あれ」とか「おい」で。
おい… 何言ってんだ。
ほら…。(笑い声)
千遥ちゃん こういうじいちゃんだから気にしないでね。偉そうにしてるからって偉いと思う必要ないからね。
いえ… すごいですね。
ん? 何が?
姉は… こんなに恵まれて育ったんですね。
千遥ちゃん…。
千遥ちゃんは…自分のお父さんのことは覚えてないの?
父や母のことは 全く…。
顔も思い出せないくらいで…。
そうか… 僕は 君のお父さんと戦地で 一緒に戦ってどっちが 先に亡くなっても残された家族に手紙を届けようって約束したんだ。
だから 僕は 復員して すぐ咲太郎君と なつを捜して会いに行った。
残念ながら その時千遥ちゃん もう いなかったけど。
はい。 そのことは兄が 親戚のおばさんに出した手紙に書いてありました。
千遥ちゃんは 6歳の時にその手紙を持っておばさんの家を出たんでしょ?
はい。それからは 随分苦労したんでしょうね…。
家出をして すぐ私は ある人に拾われて…東京の置屋に預けられました。
置屋!?(明美)おきやって?
芸者さんのいるところ。
(明美)えっ!千遥ちゃんは芸者さんなんかい?
明美。
私は まだ半人前で…お酌って呼ばれる見習いみたいなもの。
私は 運がよかったんです。そこで みんなからお母さんと呼ばれている女将さんがとてもいい人で…頼もしくていいお姐さんたちにも囲まれて私は 何不自由なく 食べるものにも困らず今まで育ててもらいました。
(富士子)ああ…。
本当? 本当かい?
本当に 千遥ちゃんは幸せに暮らしてたんかい?
はい… とても幸せです。
(剛男の泣き声)何さ 泣くことないしょや。
いや… それを知ったらなつや咲太郎君だけじゃなく亡くなられた奥原さんやお母さんもどんなに ほっとするか。
ありがとう 柴田君。
でも 私と家内は知っていました。
ずっと 見守っていますから。
でも… 幸せでは私は 姉に かないそうにありません。
よし。
明日は早起きして 一緒に働くべ。
いや… 何が よしですか?何言ってるんですか。
はい! 私にも教えて下さい。
(剛男)えっ?うん。
これ。
これが 私のお姉ちゃん?
(明美)そう。
覚えてる?
こんな人だったんだ…。
明美ちゃんに似てるね。
えっ そんなわけないしょ。
あるわよ。 人は 一緒に暮らしてる人に似てくるものだって。
ふ~ん… だったら うれしいけど。
千遥ちゃんにも似てるよ。
あの 漫画映画を作ってるって…。
(富士子)ああ それが なつの夢だったの。
なつが帰ってきたら 直接聞いてみて。
何をしてるかは なつが 自分で話した方がきっと伝わると思うわ。
あの子は 本当にきちんと しつけられてるわ…。
洋服も姿勢も行儀もきれいだし…きっと ちゃんとした置屋でそんな悪いところじゃないでしょ。
もし このままここにいたいと言ったらどうする?
なつも いないのに?
あの子は幸せだと言ったけど…つらいことが ないはずないけどな…。
芸者のこと よく知ってるの?
えっ?
いや… 本物は見たことない…。
うそでしょ。本当だって。
うそ。本当。
こっち見ろ。わっ! いや 本当…。
(富士子)おはよう。おはようございます。
(悠吉)お~! 何か懐かしいべ。
(菊介)なっちゃんが帰ってきたみたいだ。
おはよう。おはようございます。
あんまり こき使わんでよ。後で なつに怒られっからね。
分かってるよ。
牛は大丈夫かい? 怖くないかい?
大丈夫です。 かわいいです。
そうかい? なっちゃんも初めから めんこがってたもんだ。
でも 油断してっと蹴られっからな。
大丈夫だ。なっちゃんの時みたいにこの菊介のおっちゃんが全ての危険から守ってやっから。
それが一番怖いべさ。
ちょっと 砂良ちゃん…。(笑い声)
千遥 搾乳やってみっか。
はい。
(照男)後ろ足 気ぃ付けてな。
数を数えるように上から指を折るようにして搾れ。
指を…。
♪~
数を数えるように上から指を折るようにして搾るんだ。
♪~
あっ…!(泰樹)ハハハハ… できた!
(笑い声)
うまい うまい… うん それでいい!
♪~
(泰樹)大したもんじゃ。ありがとうございます。
(シャッター音)
(信哉)あっ ごめん 驚かした?
何ですか?
千遥ちゃん この人 誰だか分からんかい?
分からないよね…。
信哉だ。 佐々岡信哉。
昔は 信とか…なっちゃんと千遥ちゃんには信さんって呼ばれてた。
信さん?
そう… 覚えてる?
少しだけ… 何となくですけど…。
よかった… 何となくでも覚えててくれて うれしいよ。
信さんは 帯広の放送局に勤めてるんだ。
去年 東京から赴任してね。
東京ではなっちゃんと咲太郎とも会ってたんだよ。
それで 昨日 連絡もらったんだ。
本当に あの千遥ちゃんに会えたんだな…。
その写真は どうするんですか?
(信哉)あっ… これ? どうもしないよ。ただ 何となく撮りたくなっただけ…。
誰にも見せないで下さい。
えっ?
どうして? 千遥ちゃん。
どうしても… 写真が嫌いなんです。
分かった… ごめん 勝手に撮って。
いえ… すみません。こちらこそ変なこと言って…。
すいません…。
♪~
その翌朝。
(ノック)
(雪之助)なっちゃん。おじさん朝早くに すいません。今 着きました。
なつよ やっと来たか。


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