ロンドンでの歴史的試合に先発したヤンキースの田中は、1回途中で6失点KOされたが、負け投手にはならなかった。味方も表に6点取っていたからだ。ダルビッシュは26日に黒星でストップするまで、大リーグでも42年ぶりという「10戦連続勝ち負けなし」なる珍記録を打ち立てた。
先発投手に勝ちも負けもつかないことを、大リーグではノーデシジョンと呼ぶ。味方の援護で黒星が消えることもあれば、救援陣の乱調で白星が吹き飛ぶこともある。この日の柳は8イニングを、阪神・高橋遥も6イニングを無失点に抑えたが、そろってノーデシジョンとなった。今回は同点だから、降板した瞬間に白黒いずれもつかないことは決まっている。降板後のベンチでは、ひたすら仲間を応援していたはずだ。
「スライダーを効果的に使えたし、内容としては持ち味を出せました。チームが勝ったんでいいんじゃないですかね」
9勝目は逃したが、柳はお立ち台には上がった。暴投で決着がついたこともあるが、勝利に大きく貢献したことはファンも知っている。
両チームの先発投手がノーデシジョン。そんな試合はこれで14試合目だった。もつれた試合だったり、終盤に大きなドラマが待っていたことになる。実はこれでようやく3勝目。ということは11敗。明らかに分が悪かった。14試合目の登板で8勝2敗の柳も、3月31日(DeNA戦)、4月20日(ヤクルト戦)、28日(阪神戦)とチームは全敗していた。
この日のようなロースコアもあれば、冒頭のロンドンでの試合のような乱打戦もある。ただ、互いの先発がノーデシジョンということは、勝機も大いにあるということ。要は救援陣が11敗しているわけだ。自身に白星がつくのがベストだが、柳のようにせめて「チームが勝ってよかったです」と言わせる試合をいかに増やしていくか。上位浮上はそこに懸かっている。