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(なつ)もしもし。℡(富士子)もしもし なつ?
母さん! どしたの? 会社になんて…。何かあった?
(富士子)落ち着いて聞いてね。
今 千遥ちゃんが うちに来てるんだわ。えっ…!?
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
本当に… 千遥が来てるの?
千遥ちゃんには ないしょでなつに電話してんだわ。
どういうこと?
℡(富士子)なつには 来たことを知らせなくてもいいって言うんだけどそういうわけにもいかないっしょ。
どうして!? 千遥は 私に会いたくないって言ってんの?
そんなわけはないと思うんだけど…。
だって ここまで来たんだから…。
℡(富士子)とにかく何か事情があるんだわ…。
すぐ行く!
そっちに すぐ行くから!
千遥ちゃんのことはできるだけ引き止めておくけど…。
♪~
母さん…。℡(富士子)えっ?
そんで 母さんから見て千遥は 今 どんなふうに見えてるの?
とてもすてきな いいお嬢さんに見える。
本当? 本当に?
℡(富士子)うん…千遥ちゃんも 東京にいたらしいの。本当のことは 何も分かんないけど私には とても幸せそうないいお嬢さんに見えた。
本当かい…。
なつ 帰れるなら 急いで帰ってきな。
うん ありがとう…。
母さん 千遥をお願い!
分かった。
(玉井)奥原さん 何かあったんですか?
あ… すいません。
あの… また ここから電話かけてもいいですか?
いいですよ。すいません。
℡(亜矢美)うっさいな 本当 人が寝て…ずうずうしい!(せきばらい)
はい 風車でございます。
亜矢美さん!
千遥が… 見つかった!
うん? ん?
下山さん!
(下山)どうしたの? 血相変えて…。
すみませんが お休みを頂きたいんです。
休み?
すいません マコさん。
しばらく 北海道に帰りたいんです。
(麻子)北海道?何かあった?
妹が… 来たんです。
分かった。 いいよ。
えっ?えっ?
妹さんが来たんだろ?ほら いつか話してくれた…。
はい… 実は そなんです。
よかったじゃないか!ほら 早く行ってやりなさい。
でも…。何か よく分かんないけど短編のことならどこにいたって考えられるでしょ。
はい… すいません!
あっ お帰り!お兄ちゃんは?
うん… 連絡ついた。 すぐ帰るって。そですか…。
とにかく よかったね!
(咲太郎)なつ!来た 来た!お兄ちゃん!
千遥は! それで 千遥はまだ その北海道の家にいるのか?
うん…。
♪~
(泰樹)なつも ああやってここで生きてたんじゃ。
(照男)なつは 乳搾りが得意でな 昔から。
俺より うまかったんだ。
千遥もやってみるか? うん?
(千遥)いや…。あ~ その格好じゃ無理だな。ハハハ…。
あの…突然お邪魔して すみませんでした。
そろそろ失礼します。
えっ! ちょっと待って! どこ帰るの?
(明美)もう帰っちゃうの!?
ごめんなさい…。
(剛男)ただいま!あっ…。父さん!
あんたが千遥ちゃんかい?
農協に勤めてる私の夫。さっき知らせたの。
よく来たな… よく来てくれた…。
ありがとう!
(明美)ねえ もう帰っちゃうんだって!
千遥は私に会いたくないと言ってるみたい。
どうして?分かんない。
会いに来たのに会いたくないって どういうことだ?
電話してみる? こっちから。
いるんでしょ? まだ。えっ…。
そうだ! とりあえず電話してみろよ!
お兄ちゃん… 私 何だか怖いわ。
何言ってんだよ! それなら 俺がするよ。番号教えろ。
会いたくないって言ってんのはさ向こうも怖がってるからじゃないの?
今日は… 許して下さい。
すいません…。
こちらから また連絡しますから姉には…。
℡
なつかもしれない。
えっ…。
ごめんね。知らせないわけにいかなかったの。
なつも 本当に喜んでて今すぐ 飛んでくるって言ってたわ。
℡
はい。
℡「お出になりました。 どうぞ」。
℡(泰樹)なつか?うん。
じいちゃん… 千遥は 今 そこにいるの?
℡(泰樹)うん… 今 代わる。
℡(千遥)もしもし…。
千遥?
千遥なの?
千遥… お姉ちゃんだよ。
お姉ちゃん?
千遥。
お姉ちゃん。
千遥… 千遥 ごめんね…。
よかった…。
ご心配おかけして すみませんでした。
何言ってんの? 千遥…。
千遥! 俺だ… 兄ちゃんだぞ!
千遥。
お兄ちゃん?
そうだ 咲太郎だ!お前の兄ちゃんだよ!
℡悪かった… お前を あの家に預けて…本当に 兄ちゃんが悪かった…。すまなかった…。
今から すぐ そっちに行くから!
℡すぐ行くからな 待っててくれ!絶対に もう お前を放さないからな!分かった…。
えっ…。えっ?ん?
どしたの?切れた。
ちょっ… もしもし? もしもし?
何でだ?(亜矢美)あ~… バカ バカ バカ!
(富士子)大丈夫? 何かあったの?
いえ… 大丈夫です…。
すみません…。
私 昔のことは…姉や兄と一緒にいた頃のことはあまり よく覚えていないんです。
ところどころはっきりと覚えているんですけど…それが いつの記憶でどういう時のことだったのか細かいことは思い出せないことが多くて…。
無理もないわ…。
5歳までだったんでしょ?咲太郎さんや なつと一緒にいたのは…。
忘れてしまいたいようなつらいことも多かったろうしな。
でも 今…電話で 声を聞いたら…その途端に 私の姉だと分かりました…。
兄の声だと分かりました…。
そのことに 何だか驚いてしまって…何て言えばいいのか 分からなくなって…。
そう… そだったの。
相手の顔が見えん電話は わしも好かん。
好き嫌いは どうでもいいでしょや。
けど 向こうは心配してるんでないかい?
急に 電話が切られてしまって…。
そだね。 私だって びっくりしたも。
すいません… こちらから もう一度電話をかけてもいいでしょうか?
℡
はい。℡「北海道音問別4141番からです。お待ち下さい」。はい!
℡「どうぞ」。
もしもし! 千遥ちゃん?
℡(千遥)先ほどは すみませんでした…。お姉ちゃん?
千遥… 声が すっかり大人になったね…。
あ… それは お互いか…。
ねえ 千遥…お願いだから そこで待ってて。
今すぐ行くから…。
℡どうしても 千遥に会いたい…。
分かりました…。
私も… 会いたいです。
なつよ その瞬間に はっきりと家族の時がつながった。
千遥…。