プログラミング 美徳の不幸

Ruby, Rails, JavaScriptなどのプログラミングまとめ、解説、備忘録。

クロスの破れに2万円請求するのは悪いことなのか

note.mu

気になるエントリーがあった。敷金・原状回復トラブルに立ち向かったという定期的に見る内容だが、 3cmほどの壁紙の破れで別途張替えが発生し、2万円が補修費としてかかる というものだ。

筆者はこれに異議を唱えてなんだかんだで3,000円ほどに落ち着いたという。「支払いを求められたら殺せ」「世の中には悪い人がいる」「正しい姿勢で臨めば成敗できる」などと、100%相手の会社が悪いと確信しているようだ。

ところでクロスの破れは実際いくらかかるのか

youtu.be

この動画は私が撮影・編集したものだが、クロスの補修にもいろいろと段階がある。破れた場所だけうまくごまかすのか、その壁一面を張り替えるかで費用が変わってくる。
破れた場所だけごまかすほうが当然安いわけだが、それは破れた箇所が小さく、かつそれと同じ状態のクロスを用意することが必要になる。柄やマテリアル調の比較的高価なクロス(一般品という)を使っていればまず同じクロスを用意するのが難しい。在庫がなければ買えばいいと思うかもしれないが、当然問屋は3cm四方でバラ売りなどしない。
賃貸の場合は白くて厚ぼったいクロス(量産品という)が主に使われている。これなら似たようなクロスの在庫はどこにでもあるが、数年経って使用感があると同じ白でも張り替えた部分だけ真新しくなって目立ってしまう。こういうときは洗面台をどかしてその裏からクロスを切り取って貼っ付けたりする。

こういった作業自体は手先が器用なら一般人でもギリギリできなくはないレベルだが、どのような補修方法を採用するかは現場歴の長い職人が総合的に考え、ベストだと思うやり方を採用している。

で、他に作業があったりしてついでに補修する程度なら、この作業は数千円とか、規模によってはサービスで行うような内容だとは思う。しかしもしこの作業のためだけに職人を手配するなら、1~2万円は妥当というか、少なくともぼったくりだとは感じない。

ある程度面ごと張り替えるにしたら、平米900円前後かと思う。剥がし・下地処理で10平米未満で出張費等込で2万なら、やはり妥当だろう。

とにかく、 クロスの種類、剥がれの状態、それによる工事の内容、他の工事の有無で金額感は変わってくる

それって「テキスト変えるだけですよね? なぜお金がかかるんですか?」と同じでは・・・?

昔ウェブ制作を積極的にやっていたとき、「テキストを変えるだけなのにお金とるんですか?」と言われたことがある。これはRails製のウェブサービスでテンプレートを編集するのにエンジニアが動く必要があるやつだ。保守契約があれば作業時間◯時間まで追加費用無しとかで良いにしても、常識的に単発だったら1時間ごとに5,000円(時間は切り上げ)とかになるだろう。

あるいはこういうこともあった。新しくワインを輸入販売する事業を始めるので、ワインのブランドサイトを作るのにいくらかかるか?と問われ、「クオリティ次第でピンキリだが、業者がやるなら最低10万、まぁ30万くらいで考えればよいのでは?」とざっくり答えた。
すると後日、「例のサイトだけどクラウドソーシングで1万円で作ってもらった」と報告を受けた。見ると何のことはなく、デザインテンプレートのようなのを画像とテキストだけ差し替えて公開したようなページだったが、その人が暗に私が吹っかけたかのような言い方をしてきたのが残念だった。


ウェブ制作でも原状回復でも金額はケースバイケースなわけだが、型にはめて相手の業界を悪徳・詐欺呼ばわりしたり、原価や作業内容を理解しようとしないのは、独善的ではないだろうか。