【完結】鈴木さんに惚れました   作:あんころもっちもち
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第2章始まります〜


第2章《捨てられない過去》
17.私の家族


突然だが、どうやら私は生まれ変わったらしい。

 

綺麗な金髪に、くりっとした青い瞳の女の子。それが今の私だ。

私にそっくり、いや、私がそっくりなのか、とにかく似ている温厚なお母さんと、こげ茶の髪に深い青の瞳の快活なお父さんと、金髪に青緑の瞳をもつお婆ちゃんとの4人暮らしだ。

 

村長だったおじいちゃんは、私が産まれてすぐに亡くなったらしい。今はお父さんが村長をしている。

 

お父さんは 頭は良いが、運動神経が絶望的に悪い。だけど、村をまとめ上げる力(リーダーシップのことかな?)は、ある・・・らしい、とはお婆ちゃんから聞いた。

 

 

私の住むこの村は 川沿いに作られた20世帯ほどしか住んでいない こじんまりとした開拓村だ。

 

 

豊かな大地と青々とした空。

 

私が生きている この世界は、”前回”の荒廃した世界とは比べ物にならない程、何もかもが違った。

 

映像の中でしか見るのことが叶わなかった自然に、囲まれた電気も水道もない原始的な生活。危険もそれなりにあるが、それは前世でも同じだ。だいたい、私は強盗に襲われて死んだしね!

 

くそ!あの野郎め!

 

今となっては玄関の鍵をかけ忘れた自分も悪かったと割り切れているものの 、コチラに産まれたばかりの頃は、混乱やら 怒りやら 悲しさやらで 泣きじゃくる毎日。

 

本当に両親には迷惑をかけました。

私が1歳になる頃には、お母さんなんか ストレスで げっそり痩せちゃって・・・本当に申し訳なかった。

 

 

何故か前世の記憶を持って生まれてきてしまって、大変だったけれど 記憶を失わなくて良かったと思ってる。

 

大切な人達の事も、大好きだった鈴木さんの事もずっと胸に抱いて生きていけるもの。

 

 

あぁ、ナザリック地下大墳墓へ行ってみたかったなぁ。

鈴木さんには申し訳ないことしちゃった。・・・・・・私が死んで悲しんでくれたのかな。もし、少しだけでも私の事を想って泣いてくれたら・・・なんて想像しても どうしようも無いのに、何度も考えてしまう。

 

あのクソ野郎、強盗は捕まったのかな?

お兄ちゃんならきっと、捕まえてくれたよね・・・

ちゃんと手傷も追わせたし、私にしては頑張ったと思うんだ。

 

 

・・・・・・後悔はめちゃくちゃしている。

 

でも こればっかりは仕方ないと思うんだ。私みたいに理不尽に殺された人なんて、みんなこんな感じなんじゃないかな?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

開拓村といえば、ド田舎だし、大変そうなイメージがあるかもしれない。だけど、実際に住んでみた私の感想もしては”快適”の二文字に尽きる。

 

太陽が昇る時間に起きて、田畑を耕したり、木を切り倒したり と、各々仕事をして夕方には終了。太陽が沈んだら就寝だ。

もちろん、雨の日はおやすみである。

 

 

超絶ホワイト!!

「割りとホワイトに近いブラック会社」って言われてた前世の私が務めていた会社も真っ青になるぐらいには ホワイトな職場?だ。

 

 

これで、「金がない」だの「生活が厳しい」だの言ってる大人を見た時は、思わず、ビンタをしてしまった。

パチン可愛い音が鳴っただけだったし、場所も足だったのもあって痛くなかったみたいで、私がビンタした大人から笑われたけどね!

 

いや、彼らは何にも悪くないよ?

 

私なんか まだまだ子どもで働いてないし、何も言う資格もないけどさ。

 

朝5時から18時まで働いてた前世の私がね、黙ってられなかったんだよ!

さらに残業なんてしょっちゅうある。早残業(仕事前の朝にする残業)なんか くっそ めんどくさかったァ。

 

 

お前ら、恵まれてるんだからな!!

 

 

・・・とは、言うものの どうしたものやら

 

お金が無さそうなのは 見れば分かる。ボロの服きてるし。家も台風が来たら吹き飛びそうだな〜って思ってた。

 

だけど、食う物に困る程じゃない。

 

お金を稼ぐ方法か・・・

自然とは無縁の場所で生きていた前世の記憶はこういう時にこそ活躍してほしいのに、役立たないなぁ。

 

ぶっちゃけ、事務仕事で鍛えられた計算能力ぐらいしか取り柄ない。

 

う〜ん。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

上手い金策はないかと悩んでいる内に、私は3歳になり なんと家族が増えました。

 

しわくちゃな顔をした小さい生命。お父さん譲りの こげ茶の髪にタレ目っぽい青の瞳。可愛い女の子だ。

 

前世含めて、妹が出来るのは初めてだったので 本当に嬉しかった。

 

 

「気持ち良さそうに寝ておるの」

 

「かわいいね〜」

 

「うふふ、そうね。ツアレも赤ちゃんの頃はこんな風だったのよ」

 

「さわりたい!」

 

「どうぞ、優しくナデナデしてあげてね」

 

 

お母さんの腕の中で すやすや眠る妹に、優しく触るとぷにっと柔らかい感触がした。おぉ〜

 

「この子の名前は決めたのかい?」

 

「あーまだなんだよなぁ。エリアスとか?リーノとかどうだ?」

 

「うーん、どれもしっくりこないのよねぇ・・・ツアレは何か思い付かないかしら?」

 

「うーんと、うーー」

 

鈴木さんの顔がチラついて首を振った。流石に妹に好きな人の名前は無理だって!?

でも、私のネーミングセンスなんて皆無だしなぁ・・・

知ってる名前で女の子っぽいのは、

 

 

「ユリ、シャルティア、マーレ、アインズ?は、おんなのこっぽくないかぁ」

 

「お、アイン!とかどうだ?可愛いじゃないか」

 

「いい響きじゃの」

 

「ふふ、ならこの子の名前はアインロマーニャ・ベイロンね」

 

 

おお、まさかのあの悪名高いギルドが由来の命名になってしまうとは。私が全面的に悪いんだけどね!

 

 

「ツアレもお姉ちゃんだな。ちゃんと妹を守るんだぞ」

 

お父さんが私を抱き上げて笑いかけてきた。大きな身体に抱きしめられて、私は 堪らなく嬉しくて満面の笑みで返事をした。

 

「うん!」

 

前世では失ってしまった家族。

優しい両親とお婆ちゃん、そして可愛い妹。これが今の私の大切な家族だ。

 

絶対 失いたくないから。

この私、ツアレニーニャ・ベイロンがちゃんと・・・

 

 

 

「ぜったい、まもるよ!たいせつにする!!」

 

 

 




※ニニャの本名は公表されてないはず・・・

これって、タグは『転生』?『憑依』?
『成り代わり』タグ作って付けとけば良いのかな・・・??

☆沢山のコメントありがとうございました!
タイトルは(仮)を外し『鈴木さんに惚れました』にする事にしました
詳しくは活動報告にて報告しますね!

これからもよろしくお願いします!!


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