「子どもを騒がせるな」「何があっても文句を言うな」で逮捕 どこからが脅迫?
「朝、駐車場で子どもを騒がせるな。静かにさせろ。できなければ何があっても文句を言うな」。こんな手紙を幼稚園児宅の郵便ポストに投函した70代の男性が、脅迫の疑いで逮捕された。
産経新聞(6月10日)によると、男性は送迎バスを待つ幼稚園児の声に腹を立て、以前から「声がうるさい」と園児が住むアパートに苦情を入れていたという。「脅迫文として投函したわけではない」と容疑を否認しているそうだ。
法的にはどこからが「脅迫」に当たるのだろうか。泉田 健司弁護士に聞いた。
●人に対して害を加える旨を伝えたかどうか
ーー刑法の条文は、どうなっていますか。
刑法222条1項は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と規定しています。これが脅迫罪の条文です。
刑法の条文では、人に対して害を加える旨を告知したか、が条件になっています。このことを、法律用語で「害悪の告知」といいます。
ーーどのようなことを言えば、「害悪の告知」となり、脅迫罪に該当するのでしょうか。
「殺すぞ」は、典型的な害悪の告知であり、脅迫罪に当たります。
「犬をほえさせるな、さもないと犬を殺すぞ」は、犬という財産に対して害を加えると言っていますので、脅迫罪に当たります。犬は、動物ですが、法的には、「物」です。
「村八分にするぞ」。村八分は名誉に対する害悪の告知として、脅迫罪にあたると考えられています(1957年9月13日、大阪高裁判決)。
「刑事告訴するぞ」は、権利の行使として正当であるならば罪に当たりませんが、適当なことを言った場合には、脅迫罪に当たることがあります。
「天罰が下るぞ」は、現実的な害悪ではないので、脅迫罪には当たりません。
「宿題しなさい、できるまで晩ごはん抜き!」。これが脅迫罪にあたると考える人はいないと思います。
ーーポイントはどのような点になるのでしょうか。
結局、害悪の告知は、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでないといけません。
また、「殺すぞ」「痛めつけるぞ」というのは直接的で分かりやすいですが、暗にほのめかす態様の場合にも、脅迫罪に当たることがあります。「おまえ、どうなるか分かってるよな!」とすごむ行為も脅迫罪に当たるでしょう。
●「人を畏怖させるに足りる程度といえる」
ーー今回の事件は「何があっても文句を言うな」と書いた手紙が自宅に投函されました。
これは、直接的ではありませんが聞いた人は、何かされると感じるでしょう。とくに、子どもになにか危害が加えられると感じるのではないでしょうか。ですから、一般に人を畏怖させるに足りる程度といえ、脅迫罪に当たると思います。
もちろん、脅迫罪は、殺人罪や強盗罪のような重罪とは違います。そのため、罪に当たるからと言いって、必ずしも逮捕されるとは限りません。今回、逮捕にまで至っているのは、子どもに危害を加えることをほのめかしていることが重視されたのではないでしょうか。おそらく、この件は、前科にもよりますが、被疑者が認めれば、重くても略式裁判で罰金刑ではないでしょうか。
子どもが騒がしいとき、イライラする人と、ほほえましく見守る人とふた通りに分かれると思います。イライラしてしまう人は、その騒いでいる子供ではなく、ほかに何か原因がある場合が多いと思います。このような極端な行動をとれば逮捕もありうるということで、イライラしがちな人は戒めとしてください。
>子どもが騒がしいとき、イライラする人と、ほほえましく見守る人とふた通りに分かれると思います。
これは状況次第で、いくらでも変わると思います。
時たま幼稚園などの傍を通る時に、子供が騒いでいるのを聞く程度なら微笑ましく思えるかも知れませんが、来る日も来る日も家のすぐ傍で騒がれたらニコニコしてはいられません。
聞くほうが病気で臥せっていたり、介護で疲れきっている場合なども、毎日騒ぎ声を聞かされたのでは精神的にまいってしまう事もあるでしょう。
そういう状況を無視して「ふた通りに分かれる」と断じてしまうのは、ステレオタイプを助長する以外の何ものでもないと思います。
弁護士がこういうステレオタイプを短絡的に吹聴する事に、私は大きな疑問を呈さざるを得ません。
>イライラしてしまう人は、その騒いでいる子供ではなく、ほかに何か原因がある場合が多いと思います。
泉田弁護士は、一体何を根拠にこれを主張しているのでしょうか?統計的に有効な調査をしたのでしょうか?
もしそうでないのであれば、泉田弁護士が勝手に思い込んでいる根拠のない理屈を弁護士という立場で公に発言しているわけですから、子供の騒ぎ声に苦しんでいる人達に対して非常に無礼な言い分だと思います。
これは、そういう人達に対し「他に原因があるのに、子供に八つ当たりをしている人間」というレッテルを貼る事になってしまいますので「それが弁護士のすることなの?」という、非常な憤りをもって受け止めざるを得ません。
子供の声をうるさいと感じるかどうかは個人の自由であり、うるさいと感じること自体を批判する権利は誰にもないと思います。
もちろん脅迫などの犯罪行為は良くありませんが、今回の泉田弁護士のような発言が、本当に苦しんでいる人たちをかえってドンドン追い詰めていってしまう事を肝に銘じていただきたいものです。
おっしゃる通り、状況は人それぞれです。
私の場合であれば、イライラはしないものの「耳がキンとして辛い、困ったな…」とは思います。
でもそうでない方もきっといるでしょう。
星の数ほどもあるであろう状況すべてに当てはまるパターンを記事にすることは現実的ではなく、弁護士は統計を取らなくては書いてはならないという法もありません。
ご自分の周りに比較的多く見受けられるケースや、パターンを書いておられるのだな、と寛容な気持ちで読むことは、私と同世代の男性のお立場上、それほどまでに難しいのでしょうか?