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2019-07-01

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・読まないままになっている本やマンガが、
 けっこうたくさんあります。
 そのまま、読まないままになることもあるでしょうし、
 なにかの偶然というか、なにか縁のようなもので、
 あらためて読みはじめる本もあります。
 人と人との関係なんかも、そういうところがありますね。

 「TOBICHI」での「土田世紀原画展」が終わった日に、
 この原稿を書いているというのも、縁なのかなぁ。

 たどってみたら『雲出づるところ』というマンガを、
 なんだか読まなきゃと思って買ったのが、
 2015年の11月のことだったようです。
 まさしく、この上下巻は積ん読になっていて、
 読まれないまま本棚のどこかに隠れてしまっていました。
 土田世紀の短編集『かぞく』を買ったのが2016年の2月、
 これは短編集だったので読了しましたが、
 作者の絶筆を刊行しましたということだったので、
 なんだかこれも読まなきゃという気持ちで読みました。
 「ほぼ日」のなかでも語っていますが、
 2014年に「京都国際マンガミュージアム」で、
 「土田世紀全原画展」が開かれたことと、
 そこに行こうと思いながら間に合わなかったことが、
 ぼくの土田世紀とのつながらない縁を感じていて、
 それをちょっと取り戻すようなつもりで、
 少しずつマンガを買ったりしていたようです。

 本棚を探すよりも、新しく買ったほうが早いので、
 新装になった『雲出づるところ』を家に持って帰り、
 いよいよという感じで、読みはじめました。
 いやぁ、まいったなぁ。
 ボディに重いパンチをどすどすと叩き込まれました。
 後半になってからは、何度か嗚咽してしまいました。
 マンガですよ、もちろん、つくり話ですよ。
 でも、描きたいもの、伝えたいものが届いたのです。
 ぐるぐる遠回りしたけれど、いま読んでよかった。
 作者は、もう亡くなっていていないし、
 ぼくも、こんなに年をとってから縁がつながったことは、
 なんだかいいことのように思えました。
 なにかのついでのようには、読めないものだったし。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
縁がつながるかどうか…これはもう、縁なんじゃないかな。


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