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2019-06-30

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・四月に、丸の内で「生活のたのしみ展」をやったとき、
 お店の商品を置く場所だとか、休憩所だとか、
 本部として人が集まっている場所だとかの、
 いわゆるバックヤードを確保するのに苦労しました。
 近所の駐車場とかにクルマを置いて、
 それを倉庫がわりにするとかも考えたのですが、
 それも無理だったので、千葉のほうに置いたりしました。
 つまり、丸の内のように「べんりで名の知れた場所」は、
 やたらに地価が高くなってしまうので、
 ムダな土地やら空間がほとんど無くなっているんですね。
 それはそうだとも思う。
 中央区銀座の山野楽器銀座本店の土地だったら、
 1平方メートルが5千500万円だっていうからねぇ。
 一坪じゃないの、1メートルの四角い土地ですよ。
 そんなところに公園つくったり、だれもしないよね。
 「おれは、つくる」って言う人もいるだろうさ、
 それは、まぁ、口で言ってるのはタダだからねー。
 丸の内の一等地に倉庫だの空き地だのつくりにくいのは、
 それなりに理解できるわけですよ。
 しかし、このままじゃまずいんだろうなぁと、
 そういうことも思うんですよね。

 京都の地図をグーグルマップの航空写真で見ると、
 想像以上に緑と土が目立っています。
 あのたいへんな数のお寺があるおかげで、
 都市開発みたいなことには不都合でも、
 人に気持ちのいい環境になっているかもしれません。
 稼ぐのに効率がいいとか、べんりだとかだけでは、
 いずれは、人にとって居心地のわるい場所になります。
 そうかといって、企業やら個人やらが、自前で、
 何百億円も出費して空き地をつくるのも考えられないし。
 むつかしいところですよねー。

 そんなこと思いながら、先日、神田の街を歩いたら、
 もちろん、江戸時代から続く古い街ではあるし、
 緑だの土だのはないのだけれど、なんか落ち着くのよ。
 地元の人と、訪れた人とが、溶け合ってる感じなのだ。
 お茶をしたり、時間を過ごせる場所もたくさんある。
 これが、商業的にうまくいってるのかどうか、
 わからないのだけれど、なんなのだろうあの親しみは?

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
都市というより、街を考えるのっておもしろんだよなぁ。


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