漆黒の英雄譚 作:焼きプリンにキャラメル水
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謎の女???????
------助けて!!誰か助けて!!------
月が街を照らし誰もが寝静まる中、モモンは女の声を聞いた。
「!!?」布団をバッと捲って立ち上がり隣のべッドに目を向けた。
だがそこには寝息を立てて眠るナーベがいただけだ。
(ナーベじゃないのか?・・・だとしたら今の声は一体?)
隣のベッドで眠っているナーベを見て起こさないようにゆっくりと歩く。
寝室から出たモモンは一階に下り、家の玄関のドアを開けて周囲を見渡す。だが誰もいなかった。
念の為に家の周囲や中を確認するが誰もいなかった。
(誰かの悪戯か?)
一瞬そう結論付けた。だが先程の声はとても悪戯だとは思えない様な声だった。
(だったら一体誰が?)
モモンは一先ず一階にある椅子に座った。
-------助けて!!誰か助けて!!---------
「これは!?」ようやく気付いた、
それはまるで直接頭に語り掛けてくる様であった。
モモンは声の発生源にようやく気付いた。
(これは・・・間違いない・・・コレから聞こえる)
モモンを懐を・・
一枚目と二枚目をテーブルの上に置く。
-----助けて!!誰か助けて!!-------
モモンは意を決するとエメラルドタブレットに触れた。
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「ここは?」
そこは何もない空間の様に感じた。
空に位置する場所には川?湖?何か知らないが水の様なものがある。
地面に位置する場所には草花が一つもなく荒野の様なものが広がっている。
ただただ空には水の様なものが、ただただ地面には荒野の様なものが広がっている。
「ここは一体・・?」
そんな風に考えた時だった。
「助けて!!誰か助けて!!」
声がした。その方向を向く。
水の様なものが、荒野の様なものがまるでその場に現れた真っ暗い穴に吸い込まれていった。
代わりに現れたのは一人の女だった。何故か両手を前に組んでいる。
「!!?」
「助けて!!誰か助けて!!」
そう言った女の声は悲痛に満ちていた。
モモンは女の姿を見た。そこで気付いた。
夕日の様な黄金の長い髪、
青空を連想させる青い瞳、
雪のように白いが少し日焼けしたような肌、
プロポーションの比率は完璧であった。
だが気付いたのはそこでは無かった。
彼女の胸には何故か古びた槍が突き刺さっていたのだ。
「助けて!!誰か助けて!!」
胸に槍が突き刺さっているにも関わらず何故叫べるのかは分からないが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「君は一体!!?」
その声でようやく女は気が付いたのかこちらに視線を向けた。
「誰かそこにいるの?」
「私はモモン!!君は一体何故こんな場所に囚われているんだ?」
「モモン・・・・?」
「君は一体・・?」
「私は・・・
ヴァルキュリア」
「ヴァルキュリア、私が君を助ける!どうすれば助けられる!?教えてくれ」
モモンはヴァルキュリアに声を掛けた。
「モモン・・・・助けて!!・・・彼を助けて!!」
「彼?・・・・彼って一体・・・まず君を助けなければ!」
「違う。私なんかより彼を助けて!!」
そう言うとヴァルキュリアは前に置いていた両手を真っすぐ前に伸ばすと開いた。そこには見覚えのあるものが握られていた。
「どうして君がそれを?」
それはモモンがついさっき見たものと同じであった。
それが光り出した。
モモンの頭に何かが流れ込んでくる。
これは記憶?
----まだ神や悪魔の概念が無かった-----
----心優しきヴァルキュリアを、裏切った者は彼女の胸に槍を突き立てて滅びた----
----そして彼女も滅びたのだ----------
----未来と共に------------
----この一件は『ヴァルキュリアの失墜』と呼ばれた-----
その声は男の声だった。
だが随分と老練な印象を持たせる。
----
「アンタは一体?」
-----ツアーを探せ!!そうすれば自ずと己の役目を知ることになるだろう!!-----------
「ツアーって誰だ?アンタは何者だ?彼女とどんな関係なんだ?」
-----答えは六つの
「どういう意味だ!?」
----行け!預言者よ!また会おう--------------
水や荒野に満ちた世界が真っ白い光に包まれた。
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「!!?っ」
モモンは目を覚ました。急ぎ窓を見る。
既にエ・ランテルは朝の様だ。
(
モモンは椅子から立ち上がる。
(そろそろナーベが起きる頃だ。まずは相談してみよう)
ここからモモンの新しい戦いが始まろうとしていた。
タイトル「謎の女ヴァルキュリア」