逝ってGO!1

 「さぁ!今週もDDTVがお送りする『みんなで死亡ゲーム 逝ってGO!』の時間がやってまいりました!」陽気なオープニングテーマをバックに、派手なタキシード姿の司会者が叫ぶ。ADの合図で番組会場の体育館に特設された観客席から拍手が起こる。人気番組の収録が始まる。
 この番組は、様々な方法でだれが一番うまく死ねるかを競う番組で、毎回色々工夫した死に方が用意され、おおいに盛り上がる。優勝者には高額の賞金が出る事でも有名だ。もっとも優勝者自身がその賞金を受け取る事は普通できないのだが。しかし今回はそのめったにないチャンスだ。
 「今週のゲームは、首飛ばし競争です。この競技は、ペアで挑戦してもらいます。一人が日本刀でパートナーの首を刎ね飛ばし、その飛んだ距離を競います。」その後、解説者から細かいルールの説明がされた。大スクリーンには、説明用のビデオが映され、良い例悪い例が、実際にテストスタッフの首を刎ねる映像で示された。「とくに注意してほしいのは、首を刎ねる動作は一回のみという事です。一度振り下ろした刀を途中で止めたり、首を胴から完全に切り離してから刀で打って飛ばした場合はファウルとなり失格です。コツは首を切り離すその瞬間に刃を返す事です。切られる側の協力も大切ですね。」司会者が続ける。「それではゲームを始めましょう。挑戦者の皆さん、ペアでよく心を合わせて、がんばってください。」
 
 「では最初の挑戦者は、山田明夫さん33歳と朋子さん29歳、ご夫婦です。ではどうぞ。」呼ばれて山田夫妻が入場してくる。朋子は全裸だ。この競技では、首を刎ねられるのは女性の役となっている。そして女性の出場者は全裸となるのは、どの競技にも共通するこの番組のルールだ。番組の見栄えを考えれば、当然だろう。朋子はなかなかグラマラスないい体をしている。大きな胸と濃い目のヘアーが目を引く。夫の明夫は、たくましい体つきをしているが、パンチのかかった頭が遊び人的な印象を与えていた。
 司会者が明夫にインタビューする。「山田さんご夫婦は、なぜこのゲームに参加しようと思われたんでしょうか?」明夫が答える。「それがよ、俺らちょっと遊びすぎて、借金が半端な額じゃなくなってよ。どうしようもないので、まぁ一発賞金でも狙おうかなんてな、考えたわけよ。」「なるほど、それで奥さんはどうお考えで?」朋子が言う。「まぁこんなギャンブル狂いのバカ亭主でも、一応愛してるしね、借金は私も一緒になって遊んだ分もあるわけだし、まぁここらが潮時かなってね。」「よくわかりました。それでは是非優勝賞金を目指して、さぁチャレンジしてください!」
 朋子が指定位置にひざまずき首を差し出す。明夫が日本刀を構える。「じゃあ、いくぞ!」大きく刀を振りかぶる。ドラムロールが鳴り響く。朋子の「いいよ!あんた!」の声に、明夫は力いっぱい刀を振り下ろす。朋子の首が血しぶきの尾を引きながら飛ぶ。胴体は切断面から大量の血を噴き出し、ビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れこむ。朋子の大きな胸が床で押しつぶされる。
 計測員が転がった首に駆け寄り、飛距離を測る。やがて電光掲示板に記録が発表される。「記録は6m28です!もう一つ飛距離が伸びなかったか!」司会者が叫ぶ。大スクリーンには、VTRで朋子の首が切られる瞬間の大アップ映像が映される。解説者が説明する。「首を切り離す瞬間の刃の返しが甘かったようです。これでは距離は稼げませんね。」画面が切り替わり、明夫の悔しそうな表情が大写しになった。朋子の亡骸が片付けられ、飛び散った血もきれいに拭かれて、次の準備が整った。

 「では次の挑戦者、どうぞ。」呼ばれて入場してきたのは、若いペアだ。「今度チャレンジしてくれるのは、重田吉昭さん18歳と池上マリさん16歳の恋人ペアです。」吉昭はロン毛の茶髪で、ちょっとワルっぽいファッションできめているが、緊張しているのか、顔は青ざめ、気弱そうな目が落ち着きなく動く。身長はあるが筋肉質には見えない。大丈夫だろうか。マリは金色に近い茶髪で、歳に似合わぬ派手な化粧をしている。裸のその体は確かに若い少女の体ではあるが、どこか疲れたような印象がある。へそにはピアスをしており、肩にはタトゥーまでしている。
 司会者が例によって出場の動機を尋ねる。吉昭が答える。「いや、俺はあんまり乗り気じゃ...」マリが割り込むように喋りだす。「アタイさぁー、学校行ってもつまんないしー、遊ぶのもあきたしー、彼氏もぱっとしないしー、とにかくおもしろいことないしー、首切られてー、テレビに映ってー、有名になって終わんのもー、おもしろいかなぁー、なんておもったしー、それからー...」司会者があわてて止めに入る。「よくわかりました。それじゃ時間ですので、さっそくチャレンジしてもらいましょう。」
 マリが位置につく。吉昭は刀を構える。真剣の重さに少しふらついている。マリはというと、なにかモジモジしている。「どうしたんだよ。」「アタイ、今から死ぬんだと思ったらー、なんか感じてきちゃった。濡れちゃったー。」ついにあそこをいじり始める。吉昭はあわてて「おい、止せよ。じっとしてろよ。」と言うが、マリは止めない。ドラムロールが容赦なく鳴り響く。仕方なく吉昭は刀を振り下ろすが、マリがじっとしていない上に、吉昭は非力で焦ってもいる。うまく首が切れるはずがない。案の定、その刀はマリの肩口をざっくり切り裂いた。マリは絶叫をあげ、肩から血を撒き散らしながら転げ回る。「イタいよぉー!なんでー!ヒドいよー!」係員がマリに駆け寄りとどめを刺し、運び去る。吉昭は全身にマリの血を浴びて呆然としている。
 「悲惨でしたねー」と司会者もあきれた様子だ。解説者も機嫌が悪い。「話になりません。もっと覚悟を持って出場してもらわなければ困ります。出場者の選考もよく考えてもらわなければ。」「まあまあ、これも一つの色物という事で。それでは気をとりなおして、次にいきましょうか。」

 次の挑戦者は、黒川良治35歳と、今回最年少の出場者黒川愛9歳の父娘ペアだ。良治は、どこにでもいる普通のサラリーマンといった印象で、優しそうな父親だ。愛は、まだ胸も真平らで、かわいい割れ目も筋が一本あるだけだ。出場動機を聞かれて、良治は「娘がどうしてもこの番組に出たいというもんだから、それじゃ家族みんなでがんばろうかという事になったんです。」愛も「そう、みんなでがんばったの。おとうさんも、おねえさんたちで、しっかりれんしゅうしてきたの。だからぜったいゆうしょうするの。」とけなげだ。
 挑戦が始まった。愛が位置につく。小さいながらしっかり覚悟ができているようで、ちょこんと正座をして首を前へ突き出している。良治が「愛!いくぞ!」と叫びながら刀を振り下ろす。愛の小さな首が、ポーンと勢いよく飛んでいく。「これはいい記録が出たようです!15メートルはいったでしょう!いや、待ってください。あぁ!審議です!審議のランプが灯っています!」
 スクリーンに愛の首が切られる瞬間が大映しになる。愛の首が胴体を離れ、落下しかけた所を、刀の横面が打っている。「あぁ!ファウルです!二度打ちです!愛ちゃん、がんばったのに、残念!」良治が崩れ落ち号泣する。「愛、すまない。あんなにがんばってくれたのに。お姉ちゃんたちもがんばってくれたのに、ふがいない父を許しておくれ。」司会者がなぐさめる。「まぁまぁ、お父さんもがんばったですよ。愛ちゃんもきっとわかってくれてますよ。気を落とさずに、次は是非、奥様とチャレンジしてください。」

 

 こうして番組は進行していき、いよいよ最後の挑戦者の出番となった。
「最後の挑戦者は、今回審議の結果、とくに出場が認められた女性同士のペアです。一条晃さん22歳と月岡純さん21歳、お二人の関係は恋人同士だそうです。当然、お二人とも全裸でチャレンジされます。」
 首切り役の晃は、栗色の髪をショートカットにし、意思の強そうな大きな目、笑うと白い歯が魅力的な女性だ。背が高く、しなやかに鍛えられた素晴らしい体をしている。一見男性的な印象も与えるが、大きくはないが張りのある乳房、引き締まった腰、下腹部の茂みが女性的な美しさを見せている。首を切られる純は、黒髪をやはりショートカットにし、かわいらしい目鼻立ちをしている。晃より小柄でスレンダーな体は、少年を思わせるものがあった。女性の証である胸も茂みもささやかなものであるが、少年にはない愛らしさを感じさせている。
 司会者の質問に純が答える。「私は、晃の事、本当に愛しているんです。晃も私を一番大切にしてくれます。私、とっても幸せです。でも晃ったらとても浮気者で、かわいい娘には片っ端から声をかけるんです。私、心配で心配で。それに女同士ってなかなか理解されないし、田舎の親も帰って結婚しろとか言って来るし、もういいかなって思ったんです。幸せな今きれいに散って、晃の心にずっと残りたいと思ったんです。」晃は言う。「純みたいなかわいい娘がいなくなるのは残念だけど、彼女がそう望むなら、そのとおりにさせてやりたいんだ。」

 二人が位置についた。純はつま先立ちで片膝をつき、体を傾け首をすっと前へ差し伸ばす。晃も背筋をすくっと伸ばして立ち、高々と刀を構える。二人ともためらいは全くない。一瞬全ての動きが止まる。全裸の二人が微動だにせず呼吸を合わせている姿は、美しい彫像のようだ。次の瞬間、晃が「ハァーッ!」と裂帛の気合とともに、刀を振り下ろす。純も刃が自分の首に食い込む瞬間、全身の気迫を首に集中させる。刃が純の首を切り離すその瞬間、晃は刃を返し純の首を刎ね飛ばす。最後の皮一枚がちぎれ、純の首ははるか遠くに飛んでいく。
 司会者が叫ぶ。「すごい距離が出ました!少し待ってください。大丈夫です!ファウルのランプはつきません!」客席からは大きな拍手が起こる。スクリーンには晃の見事な刀捌きが、何回も映される。計測が行われた。記録が電光掲示板に出た。客席がどよめく。「なんと!18メートル62!大記録です!最後の最後で最高記録が出ました!優勝は一条晃さん、月岡純さんのペアです!おめでとうございます!」司会者が絶叫する。

 表彰式の用意ができた。中央の一番高い台に、晃が回収された純の首を抱えて上る。まだ返り血を浴びた全裸のままだ。表情はほとんど変わらなかったが、純の首に口づけをし、それから唇の端に優しい微笑を浮かべ、首をその血塗れの胸に抱きしめた。純の首は、気のせいか、とても幸せそうに笑っているように見えた。
 今一つのゲームが終わった。

(おわり)
練習台
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