国立美少女剥製館
独読出版「全国博物館美術館案内 20XX」より

 今回は国立美少女剥製館を紹介しよう。名前の通り、当館はわが国が誇る美少女たちの姿を、未来永遠に残す事を目的に、今から10年前に開設された。展示されているのは全国選りすぐりの美少女たちである。国立施設である当館に永久展示されるのは、全国の少女たちの最高の憧れとなっている。生きながら剥製となり、当館に展示される事を望む少女は数多いが、その夢をかなえるためには、高い競争率を勝ち抜き、厳しい審査にパスしなければならない。剥製として展示される最も栄誉ある方法は、毎年国の主催で開かれる全国美少女コンテストに優勝する事だ。その優勝者には、無条件で永久展示権が与えられる。その他、若くして何らかの分野で大きな業績を残した少女が、自ら展示を希望して認められる事もある。もっともそれだけの容姿が伴う場合に限られるが。死亡した美少女の遺体を剥製化して展示する場合もあるが、特殊な例としては、大きな事故や事件の犠牲者となった少女が、メモリアルのために、後述する第四展示室の展示に加えられる例もある。
 仮にあなたが美少女で、めでたく展示権を得たとしよう。あなたは、まず剥製館付属の剥製工房に送られるだろう。そこで優秀な専門スタッフが、あなたを美しい剥製にしてくれるのだ。あなたは、まず衣服を全て脱いで、生まれたままの姿で、身体測定装置の中に入らなければならない。装置は瞬時にしてあなたの体のあらゆるサイズを測定登録するだろう。これは剥製化後、あなたの美しいプロポーションを復元するための、重要なデータとなるのだ。それからスタッフは、優しく生命停止剤の注射をしてくれるだろう。あなたは二度と目覚める事のない安らかな眠りに沈んでいく。するとスタッフは、あなたの体を、裸のまま、特殊な保存液に浸して防腐処理をする。その後、口や鼻、肛門などから挿入したマイクロマシーンによって、あなたの美しい肌に傷一つつける事なく、内臓や脳髄を粉砕除去する。代わりに保存充填剤をつめてから、プロポーションを整え、固定液に浸せば、人々を魅了する完璧な剥製の出来上がりである。剥製といっても、昔の物とは全く違う。技術の進歩により、生きている時と全く変わらぬ肌の色艶が保たれ、その弾力さえ残っているのだ。そして剥製となったあなたは、永久に剥製館に展示され、少女達の羨望の眼差しを浴び続けるだろう。
 前説明が長くなったが、いよいよ剥製館の中に入ろう。入場すると、まず広いロビーがあり、そこに最初の剥製が立っている。一糸纏わぬ姿で優雅に立つ美少女は、当館の設立に尽力した当時の首相のお嬢さんである。彼は、我が娘の美しさを永遠に残したいがために、当館を設立したと噂されている。なんにせよ、彼のおかげでこのような素晴らしい剥製館ができたのだから、感謝しなければならないだろう。
 第一展示室は、標準標本形式の剥製展示室である。何十体もの剥製少女たちが、全裸で気を付けの姿勢をとり、整然と並んでいるのは、壮観である。今でも生きているようで、心臓の鼓動さえ聞こえてきそうな少女たちの体は、艶やかな肌、よく締まった体、張りの有る胸、さわやかに茂る陰毛までが、永遠にその若さを主張している。全国美少女コンテストの歴代優勝者も、ここに展示されている。さすがにすごい美少女ばかりである。また友好の印として、世界各国から贈られてきた、様々な肌の色、目の色、髪の色の美少女たちが並んでいるのも一見の価値がある。
 第二展示室は、ジオラマ形式の剥製展示室である。少女たちの生活の一コマを切り取って再現した、今にも動き出しそうな剥製が並ぶ。クラブ活動のスポーツ少女たちは、ある者はラケットを構え、ある者は和弓を引き絞り、またある者は今まさにバーを飛び越えようとしている。文化系少女たちも、絵を描いたり、楽器を演奏したり、あるいは化学実験をしたり、様々である。ベンチで静かに読書する少女、授業中にあくびをする少女もいる。ティータイムを優雅に楽しむ少女の、かたわらの子猫の剥製は、彼女の愛猫であろうか。
 じつはこの部屋の展示には、面白い仕掛けがあるのだ。一見全員が衣服を着ているように見えるのだが、実際には、それらはすべて特殊な立体ホノグラムであり、それぞれの展示の前のタッチパネルに触れると、一瞬にして衣服は消え去り、少女たちは生まれたままの姿となるのだ。それぞれのポーズの肢体の動きを、よく見せるための工夫であるが、筋肉の躍動までが見事に再現されており、当館の剥製技術の高さが納得できる。
 第三展示室は、通称「愛の展示室」である。この剥製館で、唯一男性の剥製が展示されている部屋である。そうこの展示室は、カップルで展示される事を望んだ恋人たちの部屋なのだ。もちろん美少女のパートナーの男性にも、それなりの容姿が求められるが、厳しい審査をパスしたカップルたちは、裸で、あるいは手をつなぎ、あるいは抱きしめあい、またあるいは熱いキスを交わし、永遠の愛を誓っている。とくに本人たちが望んだ場合は、なんと情熱あふれるセックスの姿そのままに、剥製となって展示されている。最高の剥製技術を要する展示であるが、当館の熟練したスタッフの手により、恋人たちは、様々な体位で深く結ばれながら、幸福な永遠のセックスを続けている。
 第四展示室は、心臓の弱い人は入らない方がいいかもしれない。なぜなら「死の展示室」とも呼ばれるこの部屋は、病気や事故などのため、全身を無傷で剥製化できなかった美少女のための展示室なのだ。技術的には、剥製化の際に傷や欠損を修復して、まったくわからないほどにする事も十分可能だが、当館の方針は、作り物ともいえるその技法を、よしとはしないようだ。頭部だけの剥製や胸像剥製、手足のない少女の剥製などが並ぶ。しかしそれはそれで、妖しい美しさを持っているといえよう。
 また本人の特殊な嗜好による希望で、解剖標本のような状態や、全身を左右真二つに分割されて断面を見せた状態で、あるいは切腹をしている姿や、首を吊った姿で剥製化された少女もいる。いろんな趣味の少女がいるものだ。内臓を剥製化するのは大変難しい技術であるが、さすがである。壁に掛け拡げられた、見事な刺青の入った皮も、少女のものである。皮の元持ち主の少女は、首だけになり、自分の皮の前に、誇らしげに飾られている。
 とくに衝撃的なのは、大きな事故や事件の犠牲となった少女たちが、今後への警鐘のため、そのままの無残な姿で展示されているコーナーである。彼女たちは身をもって安全対策や防犯対策の大切さを訴えかけているのだ。自ら望んで剥製となった少女は美しい。たとえ、それが首吊りの姿であっても。しかし、本人の意思に反してこのような姿になった少女は悲しい。今後このコーナーの少女だけは、増えないことを祈るしかない。
 以上、当剥製館の主な展示を紹介した。いずれも最高の技術を駆使して作製された芸術品ともいうべき剥製ばかりである。このわが国が世界に誇る剥製館に、あなたもぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

追記
 以前から要望の強かった、別館「美少年剥製館」の計画が、いよいよ動き出したとの噂である。 但し、真偽の程は定かではない。

(おわり)
国立美少女剥製館 第四展示室
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