(cache)講和のため日本人1400万人を特攻で死なせると大西は言った|日刊ゲンダイDIGITAL
保阪正康
著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇 」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。

講和のため日本人1400万人を特攻で死なせると大西は言った

公開日: 更新日:

 先に述べたように、2大汚点のひとつである「特攻は全員が志願した」との言い方は、特攻を生み出した責任が隊員個人に転嫁されることを意味する。同時に隊員は「救国の英雄」呼ばわりされていく。国を挙げてのこの称賛は戦時下の日本社会がいかに歪んでいたかを我々に教えてくれる。



 昭和20年4月以後、沖縄を目ざす特攻は比島決戦のときに比べると著しく命中率が落ちた。学徒出身の搭乗員の技術が大幅にダウンしてしまったからだ。沖縄戦は天一号作戦といわれたが、4月、5月は「まるで特攻隊員の屍を積む」といわれるほど出撃が相次いだ。

 なぜ命を粗末にする作戦が続いたのであろうか。私はあえて2点を指摘しておきたい。特攻作戦は本土決戦を意識していたというのが第1。第2は国民を戦争による死に慣れさせるためだった。

 本土決戦、そして一億総特攻に慣れさせるには、連日のように特攻隊の死を国民に伝える必要があったのだ。大西瀧治郎(写真)が第1航空艦隊司令長官のポストから東京に戻り、軍令部の次長に就任したのも本土決戦に備えてのことだっただろう。その大西にある新聞記者が、「このような血染めの作戦を進めて、戦争にめどはあるのか」と尋ねている。大西はこう答えた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

今、あなたにオススメ
(2019年6月10日)
(2019年6月19日)
(2019年6月28日)
(2019年6月28日)
(2019年6月27日)
(2019年6月1日)
(2019年6月19日)
(2019年6月26日)
(2019年6月20日)
(2019年6月28日)
(2019年6月27日)
(2019年6月21日)
(2019年6月28日)
(2019年6月26日)
(2019年6月28日)
(2019年6月21日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月12日)
(2019年6月27日)
(2019年6月10日)
(2019年6月28日)
(2019年6月28日)
(2019年6月27日)
Recommended by
こちらの記事もオススメ
(2019年6月26日)
(2019年6月25日)
(2019年6月14日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月26日)
(2019年6月7日)
(2019年6月26日)
(2019年6月24日)
(2019年6月28日)
(2019年6月25日)
(2019年5月31日)
(2019年6月22日)
(2019年6月17日)
(2019年6月28日)
(2019年6月26日)
(2019年6月27日)
(2018年2月2日)
Recommended by

最新の政治・社会記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    マッチは独から沈痛帰国…ジャニー喜多川氏“緊迫病棟”24時

  2. 2

    「首相動静」から消え…“官邸のアイヒマン”に飛び交う臆測

  3. 3

    日ハム輝星は3回5失点KOでも…中日打者から相次ぐ称賛の声

  4. 4

    中日・根尾と二軍首脳陣に聞いた プロ5カ月目の“現在地”

  5. 5

    海外ドラマのメインキャストに 山下智久の気になる英語力

  6. 6

    たかられる日本 トランプ放言「普天間1兆円返還」のルーツ

  7. 7

    ジャニーズ春ドラマ主題歌売り上げに“新高古低”の異変アリ

  8. 8

    【大阪】維新2議席 人気がない自民・太田房江が落選危機

  9. 9

    政治家の事情を知って手を貸すマスコミはただのお太鼓もち

  10. 10

    職員が取材を無断録音 維新独裁で“大阪スパイ天国”の異常

もっと見る

Messengerマガジンはコチラ