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(雪之助)雪月を いずれ 雪次郎に渡してやらなくちゃならん。
そう思って 今は生きてるんだ。
それは間違ってるかい?
俺は それでも雪次郎を苦しめてるだけかい?
(なつ)間違ってないから雪次郎君は つらいんです。
雪次郎君は ちゃんと家族を大事にして生きてると思います。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
雪次郎が 家族を大事にかい?
はい。
(光子)お待たせしました。バターカリーです。
え… 頼んでないですけど。
(光子)今日は 私が ごちそうします。
えっ いいんですか?
雪之助さんは 今日一日タダで働いてくれたからせめてものお礼です。
いや~ ハハハ… そんな マダム…。
すいません 私までご迷惑を…。
いいえ。
おじさん マダム私が 今 漫画映画に挑戦してるのは北海道にいる家族を見てて自分らしい生き方を学んだからなんです。
(泰樹)東京を耕してこい!
開拓してこい!
それは 雪次郎君もおんなじだと思うんです。えっ?
雪次郎君はどこで どんな生き方をしようとおじさんのように生きると思います。
とよばあちゃんや妙子さんのように生きると思います。
大事なお店を継ぐことももちろん大事だけどそうやって 自分の夢を切り開いていくこともちゃんと家族を大事にして生きているからってことになりませんか?
雪次郎君はおじさんを裏切るような生き方は絶対にしないと思います。
(光子)よく分かるわ。
私が この店を守ってゆくことも結局は そういうことだから。
ただ お店を継いだんじゃなくて。
なっちゃんの言いたいことは分かった。
もういいから… 頂くべ。
せっかくのカレーが冷めちまうべ。
はい。
♪~
(妙子)父さんが いくら反対しても母さんは あんたの味方になってやるからね。(雪次郎)えっ?
あんたに 役者になってもらいたいからじゃないからね。
雪次郎が やりたいことを応援したいだけだわ。
母ちゃん…。
分かったら しっかり食べなさい。
♪~
うめえ…。
やっぱり 母ちゃんのカレーが世界で 一番うめえ…。
もう…。
♪「ラム・ラム ムーラン・ルージュ」
おふくろ!お兄ちゃん!
(咲太郎)おっ…。(とよ)よ~し 覚えた!
覚えたべさ!これで 私も役者になれるか?
ムーランルージュ入れるべ 咲太郎!
入れます! 役者みたいないい声!
おう 雪之助!
菓子作ってる時だけ いい男!
私は 役者になるぞ!
あ~ どんだけ飲んだんだ…。酒弱いのによ。
(亜矢美)えっ 弱いんですか!?
お強いって おっしゃってましたよ?あ~ もう 強がりです。
雪之助! 私も東京に残るぞ。
もう 好きなことやるぞ。母さんを頼るな!
分かった 分かった。分かったから もう帰るぞ。 な。
雪之助…たたいて悪かったな…。
あんたには 私の夢まで しょわせて…苦労ばっかりかけて 悪かったな…。
分かったから 何もしゃべんな…。
(雪之助)すいませんね。
♪~
おやすみなさい。はい おやすみなさい…。
そして 2日後の朝雪次郎君は 風車に呼び出されました。
(一同)おはよう。おはようございます。
父さん この前は…。話はいい。これ 見れ。俺が お願いして川村屋から調達したんだ。
えっ… 何する気だ?
お前は 東京で この2年近く時間を無駄にしたことになる。それが 本当に無駄だったかどうかずっと俺ら家族をだましてたのかどうかそれを確かめる。
何をすればいいんだ?
ここにある道具使ってバタークリームのケーキ作れ。
(雪次郎)バタークリームのケーキ?(雪之助)フランス菓子の基本だ。
まあ ジェノワーズはここには オーブンがないからフライパンで焼いて作れ。
それを デコレーションしてみんなに振る舞え。みんなが満足したら合格だ。
この2年近く お前が どう生きてきたかそれを しっかり味わってもらえ。いいか?
したけど オーブンがなくてケーキが作れんのかい?
それを聞くな!
自分で考えれ!
分かった。
やるべ!
♪~
よし…。
♪~
お~ すげえな!
出来た。
どうだい?
フライパンじゃジェノワーズは膨らまないからロールケーキにしたのかい?
はい。そうしないと ケーキにならんと思って。
そうかい。
食ってくれ。
(雪次郎)バタークリームのロールケーキです。
(一同)頂きます。
うん…。
おいしいわ 雪次郎。
本当かい?(妙子)うん。なっちゃん どうだい?
おいしい。 とってもおいしいわ。
咲太郎さんは? 亜矢美さんは?うん 普通にうまい!
通訳します。 普通にお店で食べるみたいにおいしいってこと!
いかった…。
どうなんだい?
あんた…。おじさん…。
雪次郎…何をするにも これぐらいやれ。
(雪之助)これぐらい努力しろ。
これぐらい… 一生懸命頑張れ!
父さん…。
ハハ…。
やったね 雪次郎君!
認めてもらえたね!
うん!これで やっと言えるな。
合格 おめでとう!
ありがとうございます!(拍手)
だけどな これだけは言っとくぞ。
お前が これからやろうとしてることはいくらでも諦めてもいいことだ。
諦める時は 潔く諦めれ。
諦めて 帯広戻ってこい。お前にはよお前の生まれた場所があるんだ。
父さん…。
何があっても恥ずかしがらずに帰ってこい。
んだよ… うん。
負けるのも 人生の味だ。
いつでも待ってっからね。
そったらこと待つなや…。
♪~
ごめん 父ちゃん…。
ありがとう…。
あ いてっ…。
こうして 小畑家は北海道に帰っていきました。
一つの夢を残して。
えいっ!
なつよ お前も 一生懸命頑張れ!