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富田直美 真説・IT考

官邸屋上で見つかったドローンは
落下でなく「着陸した」と見る

――知っておきたい最新のドローン事情

富田直美
【第17回】 2015年4月24日
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3.皆さんは今回の官邸へのドローン、どのように読みますか?

DJI Phantom Photo:www.dji.com

 今回の報道での多くのコメントでは操縦者が官邸の200~300m以内から飛行させたとの仮説があり、周辺の監視カメラ、目撃情報がカギと言っているが、上述したようにすでにWayPoint(GPSによる自動航行システム)が開発されており、電波の届かない数km離れた所からでも、首相官邸がGoogle Map上に載っていれば簡単に攻撃できる。

 実は今回使われたのは、形状と、ホワイトハウスで使われたのと同じという報道から判断すればDJIの「Phantomシリーズ」だと断定でき、その全てのシリーズでプログラム航行はオプションの組み合わせで可能だ。また「Phantom Vison2+」では、iPhoneが1つあれば、プログラミング航行が可能、ただしこの場合は送信機の電波が届く範囲が前提。

 恐らく白いボディのPhantomに夜間でも目立たない暗い塗装をし、元々装着されていた4つのLEDも消され、明確に原発再開と福島での復旧の遅れに対するプロパガンダであると私は考える。もっとシンプルに言い切れば、福島のセシウムの存在する環境をドローンに載せて官邸に直接届けたのだろう。

 この後は、賢明なる皆様の想像力と分析にお任せします。

4.結論:富田的真説考

 今回の事件はドローンがここまで有名になり、また将来の巨大なビジネスが展開されるだろうとの話と、危険、規制等々で安全国家である名目を保とうとする政府、官庁等々の対応する姿が浮き彫りになってきているが、私なりに分析すると…、

 (1)GoogleMap等への無対応:首相官邸がGoogle Mapに載っていることの危うささえ考えられていない(勿論、GUIでなくCLI [Command Line Interface]で位置情報を入力すればそれも意味をなさないが)。

 ただしホワイトハウスのケースでは、即、DJIがGPSと連動する中で、ホワイトハウスの周辺を飛行不可能地域として、全てのDJI製品のコントローラーをプログラムしたと聞いている。

 なぜ、日本政府は、DJIに対して首相官邸や皇居等についてホワイトハウスと同じ対応を求めなかったのだろう?

 (2)国家予算の無駄使い:ドローン関連ビジネスの巨大化が予測され、多方面の公官庁、大学、研究機関が、大童で、ドローンの国産化等々進んでいるようだ。しかし、現在話題にしているドローンは元々ラジコンの延長線上か、軍事産業の延長線上にプロットされるものであり、私が長年携わってきたラジコンの、特にヘリコプターのエキスパートからの移行者が日本のドローンの普及に貢献している。

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富田直美 真説・IT考

新しいIT技術に基づく製品やサービスは、人間、社会にどんな影響(ポジティブ、ネガティブ)を与えるのか? 先端IT企業9社の経営経験を経て、現在は名門シンクタンクの理事を務め、大学で人間力を教える著者が、わかりにくいITとIT業界の動きを人間力によって立つ問題意識を元に考察する。

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