「自家採種の禁止」で…地域の多様な品種が食卓から消える

公開日: 更新日:

「自家採種によって、農家固有の品種が代々受け継がれ、日本の農業は地域の特色がある多様な品種を実現してきたのです」

 種子法廃止に続いて、農水省は自家採種を原則禁止する方向に動いている。種苗法で「自家採種を自由にできる」と規定しながら、省令で例外を次々に増やしているのだ。従来、花やキノコなど82種は例外的に自家採種が禁止されてきたが、昨年一気に209種が追加され、現在、禁止は356種類にも上る。タマネギ、ジャガイモ、トマト、ダイコン、ニンジンなどお馴染みの野菜も入っているから驚きだ。

 農業ビジネスを手がける多国籍企業が種の知的財産保護を要望したことを受けて締結されたUPOV条約は「自家採種原則禁止」をうたっている。日本は1991年に条約を批准しているが、ここへきて一気に多国籍企業寄りに舵を切ってきた。

AdChoices
ADVERTISING

「農業は作物から種が出来て、次の世代に引き継いでいく循環型の産業です。工業製品や著作物と同列に知的財産権のルールを農業に当てはめ、自家採種を“コピー扱い”するのは間違っています。一世代だけのF1品種が普及し、自家採種が原則禁止になれば、農作物の多様性は失われ、大量生産でき、企業が儲かる品種だけが生き残ることになるでしょう」(鈴木宣弘教授)

 地域の農家育成より多国籍企業の利益重視。いかにも安倍政権らしい姿勢である。 =つづく

 (取材=日刊ゲンダイ・生田修平、高月太樹)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

今、あなたにオススメ
(2019年6月26日)
(2019年6月19日)
(2019年6月20日)
(2019年6月25日)
(2019年6月26日)
(2019年6月18日)
(2019年6月1日)
(2019年6月5日)
(2019年6月28日)
(2019年6月8日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月12日)
(2019年6月14日)
(2019年6月26日)
(2019年6月26日)
(2019年6月24日)
(2019年6月26日)
(2018年3月27日)
(2019年6月20日)
(2019年6月27日)
(2019年5月30日)
(2019年6月28日)
Recommended by
こちらの記事もオススメ
(2019年6月27日)
(2019年6月25日)
(2019年6月23日)
(2019年5月29日)
(2015年9月1日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月27日)
(2019年6月26日)
(2019年6月26日)
(2019年6月4日)
(2019年6月21日)
(2019年6月13日)
(2019年6月28日)
(2019年6月25日)
(2019年6月27日)
(2019年6月22日)
(2019年6月26日)
Recommended by

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    錦織圭やはり問われる「チーム体制」万年8強止まりの元凶

  2. 2

    「闇営業」謹慎処分で一番ワリを食ったガリットチュウ福島

  3. 3

    花嫁の逆襲 私の結婚式を台無しにしたあの女が許せない!

  4. 4

    損しないために“ねんきん定期便”確認すべき3つのポイント

  5. 5

    若林ドン引き オードリー春日「浮気謝罪で100万円」の性根

  6. 6

    広瀬すずvs永野芽郁 NHK朝ドラの次は映画で対決か?

  7. 7

    超肉食同士は食い合わない?蒼井優が唯一落とせなかった男

  8. 8

    交流戦で打率急降下…G坂本が迫られる「本塁打か安打か」

  9. 9

    吉本興業と安倍政権は蜜月 官民ファンド100億円出資の行方

  10. 10

    【福島】元大臣のテングの鼻をへし折る無名の野党統一候補

もっと見る

Messengerマガジンはコチラ