先が読めなくとも勝つ方法はある。それが、文春オンラインが明かした「サロン生を食い物にする必勝法」である。
KAZMAXには、彼を取り囲む秘密の仲間がいて、「KTS」と呼ばれる運営者側の11人と、「KAZMAX」という35人のライングループが確認されている。
サロン生(ピーク時の7000人が今は1000人台)に、「買い」や「売り」のポジションを伝える行為を「サロン砲を撃つ」というが、その前に、KTSやKAZMAXグループには情報が共有され、“仕込み”は終わっていた。
売り抜ければいいので儲けは確実。文春オンラインの告発者は、サロン砲一発で、KAZMAXが数千万円の儲けを手にしたのを何度も見てきたという。
また、含み損を抱えた局面で、ドテン(逆ポジションに切り替えること)を利用、一度、損切りして、逆のポジションを持ってから「損切りしました」と、サロンやツイッターでつぶやき、真似て損切りが多発すると、逆張りのKAZMAXが儲かる、という悪らつな手口も公開した。
仮想通貨の天才トレーダーも、蓋を開けてみれば、昔の悪徳投資顧問と変わるところがない。もっとも、仮想通貨は金融商品取引法で縛られておらず、道義的にはアウトだが違法は問えない。
ただ、文春オンラインでは触れられていないが、KAZMAXは仮想通貨に加え、株にも進出していた。
あまりに当たらず昨年末から会員数も下降局面に入っていたためで、テクニカル分析が生かせ、取り扱い品目が増えるとサロン生の目先を変えることが出来ると思ったようだ。
だが、仮想通貨と違って株には、金融業者登録が必要で、投資助言を行なうにも資格が要る。そのためKAZMAXは19年に入り、登録会社のFIP投資顧問を購入、オーナーとなり、投資助言者の資格も得た。
ところが、顧問業者の選択を誤った。
FIP投資顧問は、(1)無料のメールマガジンを申し込んだ者に対し、誤解を生じさせる勧誘を行なった、(2)前代表による会社資産の私的費消があった、という2点を理由に、3月25日、金融庁から1ヵ月間の業務停止命令処分を受けた。
前経営陣のこととはいえ、助言開始が3月1日なので、1ヵ月も持たなかったことになる。