オンライン投資サロンの天才トレーダー「KAZMAX」に訪れた危機

取材を申し込んだところ…
伊藤 博敏 プロフィール

ネットを舞台に画像やテキストを提供、カネ儲けのノウハウを提供する情報商材の世界を出発点に、KAZMAXは運転手としての待ち時間を利用、株、為替、先物の徹底的な分析を行ない、そこで確立した投資原則が、「三尊」に代表されるテクニカル分析を通じた売買だった。

三尊天井とは、成熟相場で形成される三つの山形が形成されるチャートのこと。投資家心理を映し、これが出ると下降局面。逆に、上下を逆にした三つの山は「逆三尊」であり、買いのシグナルとなる。

ネット社会の怪しさの象徴である情報商材と古典的なテクニカル分析の三尊。この合体がKAZMAXだとしたら、その後の波乱も破たんも理解できる。

 

友人が明かす「裏側」

本人の弁によれば、投資に熱中、27歳で3億円の借金を返し終え、心酔した投資家から離れると、さらに投資にのめり込む。

そして、17年に始まった仮想通貨バブルを、いつかは破裂すると読み、17年末、「これから大暴落が始まります」と、ツイート、予言者となった。

ポジションを明らかにしたツイートが評判となり、それがオンライン投資サロン開設による「月収2億円弱」につながった。

同時に、サロン前、投資活動と並行して行なった「おカネは拾うものプロジェクト」という個人投資家からカネを巻き上げるだけの情報商材に参加、その発覚で批判を浴びた。

20代のKAZMAXを支えたのは、借金からの脱却であり、そのために手っ取り早い情報商材と投資を選んだ。

三尊の古めかしいチャート分析は、バブル崩壊を読むのに役立ったが、機関投資家の心理も経済のファンダメンタルズも仮想通貨やブロックチェーンの技術的なことも知らないのだから、メッキはすぐに剥げる。

サロンに関与していたKAZMAXの友人は、「売りの局面が終わると、彼はトレンドの転換をまったく読めなかった。昨年11月頃から負け続け。サロン生の不満も鬱積した」と、天才トレーダーの“裏”を明かす。